伊藤達也がメディアに登場しました!

テレビ東京「株式ワイド・オープニングベル」出演

伊藤は12月14日(金)8時55分から放映されたテレビ東京「株式ワイド・オープニングベル」の生放送に、コメンテーターとしてゲスト出演しました。そのときの様子をまとめましたのでご覧下さい。
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出演
八塩圭子(テレビ東京アナウンサー)
伊藤洋一(住信基礎研究所主席研究員)

伊藤達也

今週は国会議員を呼んで、日本経済再生の道を聞いてきた。今週最終日の今日は、日本経済の将来がかかっているといってもいいITについて伊藤議員にお聞きする。

(八塩)小泉改革の進展具合は?
(伊藤達)官から民へ、中央から地方へといった改革の方向性は明確になっており、それが国民の支持を得ている。しかし、今は構造改革の痛みの部分ばかりが前面に出ており、構造改革の痛みを乗り越えたらどんな未来になるかが見えてこない。そこを作り出していく政策を次々に打ち出せるかどうかが小泉構造改革を成功できるかどうかの鍵である。
(伊藤洋)今週4人の政治家が来たが、負の部分をどうするかばかりで、これからどうなるかが見えてこなかった。そこが小泉内閣の弱いところであり、これからどうすべきかをこれから聞きたい。
(八塩)では、構造改革には何が必要か?
(伊藤達)私は構造改革には2つの側面が必要だと考えている。1つは守りの構造改革で、バブルのときの負の遺産を清算して、これからの新しい日本の基盤を作り上げるためのもの。2つ目は攻めの構造改革で、日本の潜在力を引き出して、国際競争に勝ち抜けるような強い体質を作っていくような構造改革である。
(八塩)まず、守りの部分は、どう考えているか?
(伊藤達)3つ大きな柱がある。まず不良債権問題を最終解決して企業の再生を断行する。10年もかけてまだ解決できない。これは小泉内閣で必ず解決しなければならない。
(八塩)何年で解決すべきか?
(伊藤達)何年かではなく、極めて短期で決着をつけないと。これに引きずられていたら新しい未来は開けてこない。
2つ目は、1400兆円の個人資産があるのにそれが回っていかない現状を踏まえ、証券市場や不動産取引を活性化させるような施策を打ち出さなければならない。
3つ目は、雇用の不安を解消するセーフティネットを作っていきたい。特に今までの日本の雇用政策は失業率3%を想定して作られており、これを失業率5%、100万人の失業者の現状に対応した雇用政策に転換していかなければならない。

(八塩)守りの改革の後には攻めの構造改革があるということだが?
(伊藤達)特にやらなければならないのはIT。ITというと不況の代名詞のようにいわれているが、ITは技術であり道具である。これをいかに活用して国民の幸せを実現させるか、日本の競争力を高めていくか。攻めの構造改革で一番大きな柱である。
2つめには、あらゆる分野に日本は競争力を持っている。その潜在力を引き出すためにはあらゆる規制を取っ払って、根本的な規制改革を行わなければならない。
3つめは、大学や研究所がもっと活性化して、そこから新しいビジネス、新しいアイデアが生まれていくようにならなければならない。

(八塩)先ほどケンウッド、ヤマハ、そしてベンチャー企業が携帯のスピーカーを合同で開発したというニュースがあったが、おっしゃる通りそういう流れがどんどんと起きてこなければならない。
(伊藤達)4つめはこれから日本が新しく生まれ変わる、その流れを支援するファンドを作ったらどうか。これは新たな国債を発行するのではなく、現在、国有財産が実は106兆円近くあり、それを売却したり活用したりしてそれを原資として、小さな政府を作りながら新しい流れを応援するファンドを作ったらどうかと思っている。
最後に、これからの行政改革の大きな柱に電子政府の実現がある。これを積極的に推し進めて、世界最高の電子政府、自治体を作り上げていきたい。
これが攻めの構造改革の5つの柱である。

(伊藤洋)「ブロードバンド」などのカタカナ言葉が政府のIT関連の資料には多く使われている。そうではなく、もっと平易な言葉で、ITを使うことでこれからどんなに生活が便利になるかが見えてくるようにしてほしい。
インターネットを使ってどう便利になったか?

(伊藤達)世界中の人と交流でき、知りたい情報がすぐ手に入る。また遊び・趣味の部分でも色々楽しいコンテンツがある。
(伊藤洋)スウェーデンではインターネットバンキングが一番利用されているが、それは移動もせずに夜中でも資金の送金などができるから。日本でもJRのチケット予約などができ、私も便利なので利用している。これからは情報だけでなく、利便性を提案していったほうがよい。ネット家電などができることで、いかに主婦の人の生活の利便性が向上するかを示していくことなどが重要。
(伊藤達)おっしゃる通りで、情報を引き出すだけではなく、利用者の利便性が向上する、消費者や生活者のウォンツやニーズを多様に引き出していく手段がITである。
(伊藤洋)ブロードバンドでいかに高速道路を作っても、走る車がいなければならない。その意味でも電子政府の実現は非常に重要。戸籍謄本を取るにも我々サラリーマンは休んでわざわざ役所まで出向かなければならない。こういう面をまず変えていってほしい。
(八塩)電子政府についてはまずどこからやっていくべきか?
(伊藤達)これは全部一度にやっていく。24時間いつでも申請や手続きができるようにする。そして、これまでいろんな役所を回らなければできなかった手続きをワンストップにして、1回の手続きで全部できるように変えていく。また、単に紙を電子化するだけでは国民の利便性は向上しない。電子政府を作るタイミングで色んな手続きを簡便にしていくことも同時に進めていく。

(八塩)e-Japan構想は現在、どのように進んでいるか?
(伊藤達)政府は世界最先端のIT国家を作っていくという基本的な考え方をまとめたIT基本法を作った。それに基づいて具体的にどうやって実現するかを重点計画としてまとめた。
(八塩)その中で伊藤さんはどういう役割を担ったのか?
(伊藤達)私はIT基本法などができた当時、通産省の政務次官だったので、政府の側からそれらを作ることに力を入れてきた。そして今度は党で麻生政調会長のもとに、関係部会長や若手議員などが総結集して、そこで議論してスピード感もって具体的な政策を決定していこうと特命委員会を作ったが、その事務局長として活動している。
(八塩)その特命委員会で緊急申し入れ書というものを提出したそうだが?
(伊藤達)政府のIT戦略本部の本部長でもある小泉総理に出したもので、4つ大きな項目がある。
まず1つはIT関係予算。ITといっただけで何でも予算がつくようなバラマキは絶対にさせない。そしてITの予算を見てみると、大切なセキュリティや研究開発の予算が少ない。ムダを排除して、必要なところに予算をつけていく。その意味で、予算の構造改革である。
2つ目は、電子政府。これは先ほども言ったようにただ紙を電子化するのではなく、本質は行政改革であり、いかに国民にとって利便性の高い政府を作っていくかがと問われてくる。国民の目に見えるところは1回の手続きで全てできるようにワンストップ化する。そして目に見えないバックオフィスも、人事や会計、給与などのシステムをITの技術を使って、徹底的に改革していく。
3つ目は一番世界で速く高品質で安いネットワークの基盤を作っていく。そのときに光ファイバーをもっと有効に活用していく。調べると、政府や自治体はたくさん光ファイバーを持っており、90%以上が使われていない。これを開放して、多くの人が自由に使えるよう、新しいビジネスの種になるようにしていく。また、集合住宅にも高速の通信インフラが入れるように制度を変えていく。
4つ目に経済効果の高い規制緩和として、35項目を打ち出した。インフラの部分や、新しいビジネスを展開していく上で障害となるもの、新しい端末を作り出していく上で障害となっている規制を撤廃していく。これで民間活力を徹底的に引き出していく。
このような内容を総理に提言し、IT戦略本部に次々とこの中身を実現していってもらっている。

(伊藤洋)良いポイントがいくつも出てきた。ITはワールドワイドなビジネスのバックボーンとなるもの。以前は、IT不況といいながらその当時に出てきたのは財務大臣だったり、サミットといいながらITについてわからない人が集まって会議したりしていた。IT不況といいながらITで対処しようとせず、マクロ経済政策で解決させようとした。話を聞いてて、伊藤さんのようなITに本当に詳しい人が世界中から集まって、ITサミットをやって、世界中にバックボーンを作っていってほしい。
(伊藤達)私も積極的にいろんな国際会議に出ているが、特に象徴的なのは、日本を追い抜かす一番の武器だと考え、アジアの国々がITを積極的に取り入れていている。アメリカも追いつかれないように新たな政策を打ち出してきている。
(伊藤洋)ある程度の競争意識も必要だが、ITは世界中が繋がらないと意味がないので、ある程度の共通の基盤を作っていくという意識も必要。韓国がADSLを普及させたから日本も、というような発想にはしないようにしてほしい。
(八塩)ITは手段だから、どう使うかだと思うが、どういう分野がどのようになるか教えてほしい。
(伊藤洋)生活がいかに便利になるか。足を運ばなくてもよくなるということが重要。
(伊藤達)例えばお父さんであれば仕事の関係だし、お子さんであれば教育や趣味・娯楽の関係、お母さんであれば生活周り、この全ての分野がITを使ってもっともっと便利に楽しくなっていく。
(伊藤洋)介護の分野も非常に大切。今、離れたところに住んでいる両親が具合が悪く、東京からその部屋を見れたらと思う。これは技術的には可能なので、政府がもっと支援してくれたらと思う。こういう具体的なことをもっと提案していくことがよいと思う。
(伊藤達)これからブロードバンドの時代になれば、田舎にいるおじいちゃんおばあちゃんが、都会にいる子供と1日何度もコミュニケーションをもつことができるようになる。ITはインターフェイスを構造していく、今までのフェイストゥフェイスの繋がりを無限な世界に広げていくことになっていく。こういうことを実感できるように、政治が決断して目に見える形で実現していきたい。
(八塩)e-Japan実現に伴う経済効果が総額30兆円だという試算もあるが、それを考えると経済向上にも繋がるのか?
(伊藤達)繋がる。ITの持っている潜在的な力を引き出して、これで経済を活性化していく。そのためには具体的にターゲットを決めて、生活の周りを活性化させ、その上に花咲く産業を育てていく、そういう発想に産業政策全体を転換していく。そのためにはまず政府自身が電子化して、世界に開かれた政府を作っていかなければ。
(伊藤洋)政府の電子化の際に注意してほしいのは、霞が関を見ていると役職が上の人ほど、全て部下にやらせているケースが多い。電子政府を作っても結局上の人が使えずに二重三重の手間になってしまう可能性がある。ある程度強制権をもって、役所の全ての職員がクリアするべきITの基準を設けていかないと、ただのかけ声だけに終わってしまう。
(八塩)ITは道具であり、使うのは人である。
(伊藤達)役所もえらい人ほどITがよくわかっていない。だから、各役所で本当にわかっている人をITの責任者に置いて、そのもとでしっかりやっていくようにさせる。
ここに各役所のITの取り組みを全部分析してまとめた大きな表がある。政治サイドで問題はしっかりと把握しており、これからも問題提起していきたい。