伊藤達也がメディアに登場しました!

フジテレビ「報道2001」に出演しました。

7月21日(日)朝7:30~ フジテレビ「報道」2001

『米国発世界不況で、日本どうする?』(概要)

財団法人日本総合研究所 理事長 寺島実郎氏
マネックス証券株式会社 代表取締役 松本大氏
伊藤 達也
コメンテーター 竹村健一氏

NY株価急落 日本経済直撃か!

(司会)アメリカ経済に何が起こっているのか?

(寺島氏)米国株主資本主義の根幹である、透明性を支える監査法人に対する信頼が揺らぎ始め、アメリカだけに向っていたお金のながれが変わった、というのが株安、ドル安の引き金。

(伊藤)米国経済を引っ張ってきたITを見ている。ワールドコムは、IT関連の企業だが、ITがトリプル不況になっている。株式市場の問題と米国実体経済の中身をよく見分けた上で考えていかねばならない。

(司会)アメリカ型経済に対する揺らぎなのか。

(寺島氏)米国は冷戦後、産業構造が変化してきている。極端に金融だけが肥大化した経済に対する反省期に入っているという見方も出来る。

(松本)そうは思わない。米国ではここ10年、20年くらい、不必要な分野の人材が新規に産業を興すなど、全員参加型の経済を構築している。金融部分は大きくない。株価の推移については、若干マネーゲーム的なところもあったとは思うが、経済全体でみると極めて裾野の広い経済だと思う。

(伊藤)米国経済の実体はしっかりしている。ITの部分でもドットコムカンパニーの株価はピーク時に比べて1/4に落ちた。また米国のIT不況の原因の中には、パソコン関連企業の徹底したリストラや、通信会社の過剰な設備投資の調整時期に入っていることもある。ただ良く見てみると、ネット系のビジネスの株価が戻ってきている。例えば、アマゾンドットコム、eBayなどは株価が戻ってきているし、IT関係の設備投資も戻ってきている。少し戻りに時間はかかるかもしれないが、回復基調がある。
さらに、米国は第2のITの黄金時代を作ろうと、新しい戦略を組み立てている。高速無線LANの世界で、第3世代のネットワークを作ろうと徹底的な規制緩和をやっている。これにのって新しいベンチャー企業が今、次々誕生している。選手交替をしながらたくさん出てきていることは事実。

(司会)米国は回復してくるか?

(寺島)ルール作りは米国は非常に機動的。日本にとって参考になる。ただ、一日に世界で取引されるモノの動きは180億ドル。これに対して為替の取引が100倍を超えた。

(司会)アメリカの株価の今後はどうなる?

(松本)株価は水物。株価と経済は別物。株価はスクリーンに映っている絵であって、実体ではない。粉飾決算と米国経済についてだが、粉飾決算によって、ある国の経済なんて変わらない。決算や会計の問題と経済とは全然別個の問題。信頼が揺らいだので株が売られたから株価が下がった。徹底的に対処することによって米国は復活してくると思う。

(伊藤)米国は政府も議会も迅速な対応をした。上院も企業改革法を全会一致で決めて、不正する経営者は刑務所に送る、会計事務所も、コンサルと監査業務を完全に分離するという対応をすぐやっている。しかし、日本では不良債権処理を取ってみても、金融監督は官僚に任せきり。政治が考え、政府が決断してやっていく、政治のリーダーシップを発揮することが重要だ。

日本再生への秘策

(司会)アメリカに左右されないためにどうするか。

(寺島)外需を当てにして国を再生するのではなく、製造業を中核にした実体経済を大事にしなければならない。しかし、海外生産比率は15%。空洞化が進行している。付加価値の高い新産業創生が必要だ。技術の突破口を開く。日本は、総合戦略が欠けている。

(松本)モノづくりをしっかりすべきという点は同感。だが、新産業創出という考え方は止めた方がいい。今日本で国際競争力があるのは、車、カメラ、テレビ。これらは国がほっといた分野。国が手を出した金融や通信はぼろぼろになっている。米国経済に見習うべきは、保護をせず、かわりに中抜きと再配分で裾野の広い経済を構築すること。

(司会)政治の役割として、目標を与えるべきか、それともとにかく規制だけ取っ払ってしまえばいいのか。

(伊藤)両方大事だ。方向性がどこにあるかは、示さなければならない。ものづくりは極めて大切。技術が付加価値の源泉。製造業が復権して日本の経済、産業を活性化していかなくてはならない。この方向を明確に打ち出していくことはとても大切なことだ。製造業にIT、ナノテクで武装してグローバルのトップ企業群を生み出していく方向が重要だと思っている。一例だが、ブロードバンド戦略を国がやると打ち出した。ADSLは去年6000円したのが、今年は2500円に下がった。民々規制を含めて色々な規制をショットガン方式でガーっと外していった。情報家電を始めとした新しいモノづくりの市場が広がってきている。そういう環境整備が必要だ。

(寺島)官営工場をつくって、国が旗を振る時代ではないことは確か。民活が基本。成長のプラットホームを提示していくことは大事。

(伊藤)そこでもう一つ重要なことは、日本経済復活のために、金融をどうするかという問題だ。金融力をどう高めるか。間接金融から直接金融へのながれをつくっていくことは極めて大事だが、直接市場から資金を調達できる企業は日本企業の中でわずか10%位しかない。中小零細企業は、間接金融に頼らざるを得ない。しかし間接金融の現状はメタメタだ。私は、新しい銀行をたくさん作ることもしなくてはならないと思っている。私は松本さんに直接金融だけでなく、銀行をどんどん作ってもらいたい。これが日本経済を復活させる一つの道筋になっていく。

(松本)銀行の数は減らすべきではないか。

(伊藤)金融機関は、数ではなくて質。質のいい金融機関がないということが大変大きな問題だと思う。