活動報告

首相補佐官に留任~この国の新しい未来を拓く

社会保障を含む経済社会構造改革担当という立場から、首相補佐官に留任することとなった。

子どもからお年寄り、そして、まだ見ぬ将来世代のための政治を丁寧に行っていきたい。小泉構造改革のせいで経済や社会が悪くなったとの批判が一部にあるが、これは誤った指摘だ。グローバル化の流れに目をつむって内向きになっても世界の激しい変化の中で日本だけが取り残されるだけだ。むしろ、人々の働き方や、企業の国際競争条件、規制、行政システムのあり方が硬直的で柔軟性がないため、身動きがとれないというところに閉塞感がある。既得権益に対する反感もある。柔軟で公正な経済社会構造にすること、そしてもう一度日本の潜在力を引き出し、日本の力を強化しながら活力ある国づくりを進めなくてはならない。

マスコミでは、私は「政権に残る上げ潮派最後の一人」ともいわれている。私は、2年前、中川秀直政調会長(当時)のもとで日本版上げ潮政策を提案した。バラマキ政治ではなく、また官僚の上に乗った政治でもなく、元気のある日本を将来に引き継いでいくという信念で、経済財政一体改革へ道筋をつけるべく多くの同志とともに取り組んだ。今こそ、構造的な要因にメスを入れて、10年、20年後を見据えた改革を加速しなければならない。

そのために3つの対応策を実施する必要がある。

第一に、重要な構造改革に関する方針を明確にすることだ。

経済活力と財政再建は車の両輪である。行政に対する信頼の確保と社会保障の給付と負担をめぐる国民的合意を図るため、まずは「徹底的な無駄ゼロ」、「政策の棚卸し」を福田政権の最優先課題とする。同時に、公務員制度ならびに人件費改革についても優先課題として取り組む姿勢を明らかにすることだ。

社会保障分野については、「ムリ・ムダ・ムラ」を省き、人口構造の変化にも対応するという視点から、社会保障制度を抜本的に見直すことが不可欠だ。財源が不足しているためサービスがカットされているという指摘があるが、財源を増やせば、問題が解決するのだろうか。制度が効率的なものとなっていなければ、ただ負担が重くなるだけではないだろうか。レセプト、カルテの電子化、重複診療の防止、診療・介護報酬体系、年金と生活保護の関係、労働市場改革、新たな次世代育成システムなどについて踏み込んでいかなくてはならない。

地方分権については、道州制移行が真に地域にとって成果のあるものとなるよう、地域における行政のあり方をはじめ、地域の能力や体制の整備を図る。このことにより、民主党より数段進んだ分権化に対する政府のスタンスを明確にし、推進していく。

第二に、緊急経済対策については、改革加速とその果実を成長に結びつけることが求められている。経済活性化、将来世代のための財政再建を成し遂げるには、増税でもバラマキでもなく、総理の改革に向けた指導力が不可欠だ。したがって、低炭素社会の実現、少子高齢化社会への対応に有効な経済構造改革に資するものにすることが肝要ではないか。

そして第三に、中期的な国のビジョンを示し経済社会改革への具体的で実現可能な道筋を描くことである。日本が戦後、経済成長とともに保ち続けてきた「豊かな暮らし」と「経済競争力」は、グローバル化や高齢化の進展の中で、大きく揺らいでいる。2030年に日本が世界トップレベルの一人あたりGDPを確保するために、今、何をなすべきか。社会保障制度のあり方を含め、経済財政一体改革を超えた10年20年先を見据えた骨太な構想を打ち出す必要がある。

総理からは「改革を進める」という力強い意志を伺っている。その意志に応え、自らの思いを重ねあわせながら、この国の未来を切り拓いていきたい。