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国会活動報告 【7月】

◆経済成長と財政再建の好循環を実現する◆

6月26日、私が事務局長を務める自民党の財政改革研究会(会長:中川秀直政調会長)は『経済・財政一体改革』を取りまとめ、公表いたしました。
本格的な少子高齢化社会に突入する中、従来どおりのバラマキ予算を続けていては、将来の大増税や子どもたちの世代への付け回しにつながってしまいます。
一方、わが国の財政状況は先進国中最悪の水準にあります。先の総選挙の政権公約である「2011年度の基礎的財政収支の黒字化」を実現し、財政再建を着実に進めなければなりません。
ところが政府の審議会からは、財政健全化のために消費税率を20%以上に上げるか、あるいは、極端な歳出削減により社会保障、警察、防衛などといった政府の基本的な活動を維持することもままならなくなるといった国民の不安を煽る試算も示されました。
官に任せていては、大増税になってしまうという強い危機感から、政治主導で、まずしっかりとした成長戦略、政府資産・負債のスリム化、徹底した歳出削減、制度改革を検討することとし、半年間、党内で集中的に議論を積み重ねてまいりました。
『経済・財政一体改革』の基本方針は、「健全で活力ある経済があってこその財政」であり、経済成長を通じて経済全体の規模を拡大する中で財政の健全化を図る好循環を目指すことです。
具体的には、今後5年間(2007年度~2011年度)を「経済・財政改革集中期間」と位置づけて、高い経済成長の実現と歳出・歳入両面からの改革を行います。
今回党がとりまとめた『経済・財政一体改革』は、政府の『経済財政運営と構造改革に関する基本方針(骨太の方針2006)』にそのまま反映され、7月7日閣議決定されました。この方針を下に、2007年度予算が編成されることになります。

こうしたことは今までなかったことであり、「政治のリーダーシップによって改革を進める」ことができたと考えています。国民負担を最小限にとどめるために、「官から民へ」の流れをさらに加速させ、政府の肥大化を防ぎ、「簡素で効率的な政府」を構築するために、今後も一層努力してまいります。

「経済成長と財政再建が相互に響き合う好循環」を実現する経済・財政一体改革」の四本柱

第1の柱
『成長国家日本』へ「経済成長戦略大綱」策定

わが国経済の潜在能力を最大限発揮させ、欧米並みの実質経済成長率2~3%、名目成長率4%の実現を目指します。そのために、政府・与党一体となって政策を総動員すべく、新たな「経済成長戦略大綱」を策定しました。
今回の財政健全化の基本方針は、「経済成長と財政再建が相互に響き合う好循環」を実現することです。諸外国の成功した財政健全化の過程では、民間設備投資が大きく伸びて内需主導の経済成長が実現しています。
また、これまでの構造改革の努力により、わが国経済の潮目が変わりつつあります。本格的な少子高齢化社会の到来を前に、経済が上向いているこの数年の間にこそ、『成長国家日本』への取組を進めなくてはなりません。
歳出改革によって懸念される経済への影響は、成長戦略によってしっかりと補い、成長力強化が税収増につながる好循環を実現します。すなわち、経済成長戦略と歳出改革を財政改革の「車の両輪」として、一体的に進めてまいります。

 

第2の柱 政府資産・負債改革

政府資産・負債についても、「官から民へ」の流れを加速させ、政府によって抱え込まれた資産を民間に開放する必要があります。
政府資産の売却など、民間の知見も活用しあらゆる手法を講ずることにより、国民負担の増大、金利変動の財政への影響を極力小さくすることを目指します。これは、ストック(残高)の点からの「小さな政府」への取組なのです。
【活用手段】
1.国有財産の命名権(ネーミングライツ)の売却等
2.小規模・低利用の庁舎・宿舎等の売却及び有効活用
3.国有財産の有効活用に関する市場化テスト
4.証券化等の金融技術による国債残高の圧縮
【実施体制】
1.民間専門家を集めた第三者機関の設置の検討
2.政府資産負債一体改革法(仮称)の制定の検討
3.政府資産・負債(ストック)の管理に必要な公会計制度の整備
4.党内に監視及び協議を行う機関を設置

 

第3の柱 歳出歳入一体改革

歳出改革はまさに「国民負担の最小化」と「小さな政府」実現のためには避けて通れない道です。
国・地方の歳出には、まだまだ無駄や不効率な歳出が残されています。まずは、それらを徹底的に削減し、可能な限り国民負担の抑制を図ります。
2011年度ベースの歳入不足額16.5兆円のうち、最大で14兆3000億円、最低でも11兆4000億円の歳出削減を実施することを決定しました。5つの歳出分野で約2ヶ月間、延べ100回以上の会議に100名を超える議員が参加し、個別項目ごとに真剣な議論を積み重ねた結果です。結党以来の画期的な政策方針であり、だれもが予想し得なかった大胆な改革案となりました。

諸外国の財政再建の成功事例では、歳出削減と歳入改革が7対3です。今回の歳出改革では、その比率は下限でも7対3、上限では9対1とすることができました。

 

第4の柱 金融面における新しい政策協調

政府・日銀が適切かつ整合性のある金融政策を運営するよう意思疎通を円滑にしてまいります。

政府開発援助(ODA)改革を進めるとともに、援助現場の視察、
海外要人との面談など精力的に行っています。

ODA改革を断行 
党対外経済協力特別委員長として、ODAの効率的な実施のため提言を行い、国際協力銀行(JBIC)の円借款部門、外務省の無償資金協力と国際協力機構(JICA)の3つの機能の実施機関をJICAに統合し、援助のスキームを確立しました。さらに、一元化されたODAの機能を戦略的に有効活用するため、首相の下、官房長官、外務、財務、経済産業の4閣僚からなる「海外経済協力会議」を新たに設置しました。
これらは、政治主導で縦割り行政の弊害を排除し実現したものです。外交一元化と小さな政府の流れに沿った効率化を実現させてまいります。

日中与党交流協議会で訪中
2月19日から23日まで、「日中与党交流協議会」の初会合に出席するため、中国側の招きにより、中川秀直政調会長、公明党の井上義久政調会長等と訪中いたしました。
この5日間の対話は極めて率直なものでした。日中関係は重要であるということ、新しい歴史的条件のもとで両国が一方的な負けなしの「WIN-WINの関係」をつくることが両国のみならずアジア地域全体利益になるという「共通の認識」を確認したうえで、現在の政治関係に関する「意見の相違」について、本音の突っ込んだ意見交換を行うことができました。その中で、「日中与党交流協議会」を与党・政権党の間の新しいチャンネルとして、首脳間メッセージをしっかり伝え合う場とすること、次回東京での開催で合意できたことは、最大の成果でありました。

海外要人と意見交換
政府開発援助の党の責任者として、メルケルト国連事務次長をはじめ、インドネシアのクントロ復興長官、国連開発計画クラベロ危機予防復興支援局長等と会談を重ねてきました。環境、資源エネルギー、貧困削減のため、より実効性の高い政府開発援助を実施できるよう取り組んでいます。

援助の現場を視察
4月28日より5月3日まで、カンボジア、ラオス両国を訪問いたしました。
カンボジアでは、浄水場や日本カンボジア人材開発センター、地雷対策センター等を視察しました。また、現地で農村開発、教育支援、職業訓練などに活躍されているNGOの方々からも貴重なお話を伺うことができました。
ラオスでは、ブンニャン首相、ソムサワート副首相兼外相、トンルン副首相、と面談いたしました。さらに、ナムグムダム水力発電事業等を視察するとともに、ODAタスクフォースや青年海外協力隊の方々とも懇談いたしました。
今後の戦略的、効率的なODA改革に活かしてまいります。

 

◆国会内外で活動、政策を実現しています◆

視察:公務員宿舎
3月6日、中川秀直政調会長とともに、財政改革研究会政府資産圧縮プロジェクトチームのメンバーで、都心一等地の公務員宿舎等を視察しました。
下の写真は「南青山住宅」です。高級ブティックが立ち並ぶ地区で、隣接する億ションに引けを取らない概観、3LDKで、家賃は約7万5000円です。
本当にこうした公務員宿舎が必要なのかどうか、国民に負担をお願いする前にするべきことはあるのではないかという視点で真摯に検討した結果、プロジェクトチームでは、全国の国有財産について、
・更地:原則としてすべて売却
・宿舎:小規模・低利用の物件は原則すべて売却
・庁舎:低利用・小規模の物件は、売却及び有効活用の方法を検討
という方針を打ち出しました。当初財務省は非常に消極的でしたが、何度も議論を重ねた結果、党の案を大幅に受け入れ、政府としてしっかり取組むこととなりました。

安倍官房長官に申入れ:電子政府
2月14日、幹事長を務めている党のu-Japan特命委員会では「オンライン利用促進行動計画に対する申入れ」を取りまとめ、15日、安倍官房長官へ申入れました。
03~05年の3年間に政府は1兆2653億円にのぼる予算を電子政府構築のために費やしています。 しかしながら、その成果を検証したところ、利用率が1%以下、オンライン1件あたりのコストが数10万円以上かかっている手続が数多くありました。
そこで、添付書類の原則省略、電子署名の簡略化、インセンティブの付与、入力画面などシステムの改善などと同時に、2010年度までにオンライン利用率50%以上という政府目標の達成が不可能なものについては、予算計上を凍結することも、強く政府に求めました。
これを受け、財務省は予算執行調査で、一件1600万円コストのかかっているパスポートの電子申請制度に対し廃止を外務省に求め、今年度で中止されることにつながりました。

決算行政監視委員会
2月より、衆議院決算行政監視委員会で与党筆頭理事をしています。
決算行政監視委員会では、各省庁の決算を執り行い、行政の苦情等の処理に関して審査、勧告を行っています。また、国有財産、政府関係機関の経理に関する事項や行政監視などについても調査しています。
第164国会では4つの分科会が設置され、第一分科会の主査になりました。第一分科会では、皇室費、裁判所、内閣、外務省などの会計について審査します。
6月5日、6日に第一分科会が開かれ、上記の省庁等の決算概要説明、会計検査院の措置についての説明を聴取し、質疑を行いました。

 

◆第164回通常国会で成立した主要法案◆

【2006年度予算】
一般会計総額79兆6860億円。05年度当初予算比3.0%減で8年振りに80兆円を割り込む緊縮型。一般歳出は1.9%減の46兆3660億円と2年連続で減少。プライマリーバランスについても3年連続で改善し(対前年度+4.7兆円の回復)、国債発行額も30兆円を下回る水準を達成した。

【行政改革推進5法】
「行政改革推進法」は、「簡素で効率的な政府」を作ることを目標に、(1)国家公務員を5年間で5%以上削減(2)8政府系金融機関を統廃合や民営化で一元化(3)31特別会計を1/2から1/3に削減(4)閣僚による独立行政法人の組織、業務の点検(5)10年間で国の資産の対GDP(国内総生産)比半減-などを盛り込んだ。「公益法人制度改革3法」は、公益法人格取得を、所管官庁による許認可制から登記制へと変更。「公共サービス改革法」は、公共サービス事業をめぐって国や自治体と民間企業などで競争入札を行い、質・価格の両面で最も優れたものに担わせる「市場化テスト」を導入する。

【金融商品取引法】
証券取引法を大幅に改組して金融商品取引法とし、幅広い金融商品・サービスについて横断的な制度を整備する。従来型の縦割り、個別法に基づく規制の下では、規制のすき間が生じ、投資者保護が十分でない事態も生じていたことから、幅広い金融商品・サービスについて、横断的な制度を整備し、利用者保護ルールの徹底を図る。これは、伊藤が金融担当大臣時代に策定した「金融改革プログラム」に基づくものです。

【がん対策基本法】
がん対策の一層の充実を図ることを目的とした議員立法で、国と自治体の責任を明記した。がん検診の受診率向上、全国どこでも同水準の治療を受けられるような専門医の育成などを盛り込んだ。

 

◆2006新春の集い、新時代政経セミナー御礼◆

新春のつどい
各市で、2006年新春の集いを開催いたしました。多くの方々のご参加、誠に有難うございました。会場の皆さま方からいただいた温かいご指導、ご激励をはげみに、さらに懸命に努力してまいります。

新時代政経セミナー
5月24日、伊藤達也新時代政経セミナーを開催いたしました。
第1部は、政務調査会長中川秀直先生の講演、第2部では、平成研究会会長津島雄二先生をはじめ、駆け付けてくださった閣僚の先生方、また、友人代表として俳優今井雅之様よりご挨拶をいただきました。


 

『国会活動報告 【7月】(pdf)』

 

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