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国会活動報告 夏号

民の英知を結集し、政策の力で政治を変える

150日間にわたる通常国会が閉会し、参議院選挙が行われましたが、今回の選挙は小泉政権3年間の成果と今後の改革のあり方を問う大変重要な選挙でありました。困難な問題ほどより丁寧に説明しなければいけないという国民の皆様方の審判を真摯に受け止め、今後の構造改革に生かしていかなければいけないと思います。
特に年金問題については、2001年から連続して年金会計の赤字が続くなか、その対応として改革を行いました。年金問題は2つの次元の違う大きな課題を抱えています。1つは、若い世代の方々にも信頼が得られるような制度を設計すること。もう1つは、今まで支払われてきた保険料に対する給付をどのように確保するかという問題です。
今年5月に政府代表として参加したOECD閣僚理事会においても、経済財政担当大臣と保険担当大臣が一堂に会して、年金問題を含む社会保障制度の今後のあり方について、熱心に議論が行われました。改革のモデルといわれるスウェーデンにおいては、長い時間をかけて与野党の議論がなされ、その間に政権交代もおきました。しかし、年金問題を政争の具とすることなく、与野党が協力して新しい制度設計に取り組んできたことが、改革を成功させることにつながったと担当大臣からの報告がありました。
年金制度は、小泉政権や野党のためのものではありません。国民のための制度です。スウェーデンよりも多くの人口を抱え、複雑な制度でありますが、与野党がしっかり議論をして、この問題の解決を図りたいと思います。
また、担当している金融改革や経済財政運営についても、さらなる改革が必要です。構造改革を支えるより強固な金融システムを構築していくためには、新たなルールづくりにも挑戦していかなくてはなりません。また、景気回復の明るい兆しを、日本の隅々まで拡げていくためには、民の活力を引きだす税制改革や規制改革、公的部門の改革など経済構造改革をより強力に進めていかなくてはなりません。
小泉構造改革は、「官から民へ」「国から地方へ」をスローガンに、民と地域を豊かにするための改革を進めてきました。この改革を成功させるためにも、民の英知を結集し、政策の力で政治を変え、新たな国づくりを実現すべく全力を尽くしてまいります。
暑い日が続きますが、くれぐれもご自愛をいただき、皆様の益々のご活躍とご多幸を、心より祈念申し上げます。引き続きご指導、ご鞭撻を賜りますようお願い申し上げます。

内閣府副大臣
衆議院議員   伊藤 達也


◆国民生活白書

今年は、「地域」に着目して暮らしと社会を取り上げました。介護や子育てなど家族内で解決できない問題を地域ぐるみで支援したり、防犯や防災に住民が結束して取り組んだり、魅力あるまちづくりに向けて住民が主役となった活動が行われるなど、今、人々の多様な活動が地域に活力をもたらしています。
平成16年度国民生活白書では、先進的な活動事例として、三鷹市の不登校児の居場所づくりをされている文化学習協同ネットワークや、高齢者の起業自立支援を行っているシニアSOHO普及サロン三鷹などを紹介し、その意義や活動を支えるものを考察しています。


◆銀行で株取引

今年12月から、身近な銀行等の窓口で株式や社債などの売買の取次ができるよう、証券取引法を改正しました。個人投資家層のすそ野拡大が予想されることから、インサイダー取引や相場操縦、風説の流布などに対する課徴金制度の導入など、市場監視機能・体制も合わせて強化します。また、組合型ファンドへの投資家保護範囲の拡大や、投資家のコスト軽減のため、目論見書の合理化も実施します。
さらに株式をペーパーレス化する法律が成立しました。公開会社の株券は5年以内に全て廃止されます。世界の先進諸国の中でも遜色のない法制の導入で、金融分野のIT化を飛躍的に前進させることにもなります。


第159回通常国会で成立した主要な法律一覧

平成16年1月19日から6月16日までの150日間にわたり開催された第159回通常国会では、予算、法律、条約など170の案件を精力的に処理しました。そのほとんどが総選挙で掲げた政権公約で成立を約束したものです。今国会で成立した法律などの主なポイントをまとめました。

平成16年度予算
これまでの構造改革を継続しつつ、地域経済の活性化をはかるため、一般歳出は47兆6300億円に抑制する一方で、雇用や中小企業政策等の分野を手厚くしました。また「三位一体の改革」も大きく一歩前進しました。

裁判員法
政府が進めている司法制度改革の柱のひとつで、重大な刑事事件の審理に国民が参加する裁判員制度を創設しました。幅広い国民の良識を判決に生かすことで、司法の信頼回復や裁判の迅速化などを図ります。

有事法制関連法

日本で有事や大規模テロが起きたときの、国民の保護や、自衛隊と米軍との協力の在り方を定めました。国際貢献活動を行う自衛隊と米軍の協力を強化した改正日米物品役務相互提供協定等3条約も承認しました。

公益通報者保護法
国民生活の完全・安心の観点から、企業や官庁などの不祥事を一定の要件を満たして通報した人が、解雇など不当な扱いを受けないようにします。

金融機能強化法
地域金融機関の不良債権処理を促し、地域経済の活性化につなげるため、地域金融機関を主な対象に、経営基盤の強化のために公的資金を投入できるようにしました。(2008年3月末までの時限措置)

改正児童手当法
児童手当の支給対象を、現行の未就学児から小学校3年生までに引き上げました。その結果、支給対象の子どもは650万人から940万人に増えることになります。

年金制度改革法
基礎年金の国庫負担割合を2分の1に引上げ、保険料の水準の上限と、給付の下限を定めました。さらに三党合意に基づき、医療、介護と一体となった社会保障制度全般の改革を進めます。

道路関係4公団民営化関連4法
「官から民へ」の方針に従い、日本道路公団などを、高速道路の建設、管理、料金徴収などを行う特殊会社6社と、道路を保有して40兆円以上の債務を返済する独立行政法人に再編しました。45年以内に債務完済され、高速道路は無料開放されます。

景観緑三法
景観形成地域等に指定された地域では、市町村が、建築物の高さや色彩などを制限することができるようになります。地方都市の再生、観光立国の実現、ヒートアイランド現象の緩和につなげたいと考えています。

改正外為法・特定船舶入港禁止特別措置法
日本独自の判断で経済制裁や特定の外国船等の入港禁止を可能にしました。北朝鮮に対する制裁カードです。


◆OECD閣僚理事会

5月13-14日、パリで開催された第43回OECD(経済協力開発機構)閣僚理事会に、日本政府の首席代表として出席し、経済見通しのセッションでリードスピーチを務めるなど3つのセッションに参加しました。
経済見通しのセッションにおいて、冒頭、マンキュー米CEA委員長に引き続き、日本経済に関するリードスピーチを行いました。その後多くの国から、日本が10年来はじめて本格的な回復を持続させていることを評価する発言がありました。また、OECD経済がアメリカ、および中国などアジア経済の好調に牽引されて力強く拡大しているという認識を共有しました。
高齢化セッションにおいては、先進加盟各国が少子高齢化に直面するなか、持続的な経済成長をどのように確保するかがテーマとなりました。日本の雇用、年金制度、生産性向上への改革の取組みについて発言。成長持続へ医療・年金など社会保障制度を中心に構造改革を加速する必要性があることで一致しました。
また、医療システムのセッションでは、医療供給の効率化や競争の導入、公的保険と私的保険の役割分割などについて、日本の考え方や今後の改革の方向について説明しました。
今回のOECD閣僚理事会では、世界経済および日本経済について明るい雰囲気だったことが印象的でした。特に、日本経済については、2~3年前は厳しい声が相次ぎ、なかでも不良債権問題に対する指摘が多かったのですが、今回の会議ではそういった指摘はまったくなく、日本の金融システムに対する信認が国際的に大きく回復したことを実感しました。

OECD(経済協力開発機構)とは?
先進諸国の経済政策の協調・調整を目的に1960年に設立。本部はパリ。加盟国は30で、日本は64年に加盟。
閣僚理事会は、マクロ経済政策を中心に討議するOECDの最高議決機関。サミットをはじめ国際的な政策論議に大きな影響を与える。

日銀金融政策決定会合

日本銀行の最高意思決定機関である政策委員会で、政策金利の水準等、金融政策の運営方針を決定するのが金融政策決定会合です。現在はいわゆる「ゼロ金利政策」ですので、量的金融緩和政策の目標、具体的には当座預金残高目標をいくらにするのかが、ここで決まります。
経済財政政策を担当する副大臣として、1月20日、3月16日、6月15日の3回、金融政策決定会合に出席し、議論に参加しました。
1月20日の会合では、政策変更が行われ、当座預金残高の目標値が30~35兆円に引き上げられました。景気回復の中での一段の金融緩和はサプライズの反応もありましたが、回復に向けた動きをより確かなものとする措置だったと評価しています。
しかし、デフレ克服は「道半ば」です。6月15日の会合では、骨太2004に沿って、政府・日銀の協力体制を更に強化すること、デフレ克服の道筋を示すことを含め、金融政策運営の透明性の一段の向上に努めるべきと、政府を代表し、発言しました。


骨太2004

「経済財政運営の基本方針2004(骨太の方針)」が、6月4日閣議決定されました。この基本方針は、経済財政諮問会議が当面の経済財政政策の枠組みを示し、次年度の予算の方向を定めるとともに、構造改革を進めるための重点政策を打ち出すものです。
まず、平成16年度は「集中調整期間」の仕上げの年として、不良債権問題を終結させると同時に、早期のデフレ克服を目指し、バブル崩壊後の負の遺産からの脱却に目途をつけてまいります。また、地域再生や雇用問題への取組みを重点的に講じることとしています。
平成17年度および18年度の2年間を、「重点強化期間」と位置づけ、新たな成長基盤の重点強化をはかるべく、5つの改革を柱としています。第一の柱は「官から民へ」、「国から地方へ」の徹底。第二は、政府部門の本格的な改革。第三は、民間の成長力を強化するための改革。第四の柱が、「人間力」の抜本的強化。第五が、「持続的な安全・安心」の確立です。
私は、政府と与党の橋渡し役として、竹中平蔵大臣をサポートし、各方面からの意見を成案にまとめるべく奔走してまいりました。集中調整期間から重点強化期間への移行期に構造改革をどういう道筋で進めていくのかを示す、極めて重要な経済財政運営の基本方針を打ち出すことができたのではないかと考えております。今後、この「骨太2004」に沿ってしっかり平成17年度の予算を具体化し、また構造改革を一層加速、強化してまいります。


総理大臣主催の政策会議

総理が本部長などをつとめ、官邸で開催される会議に
出席し、内閣の重要な政策決定に携わっています。

経済財政諮問会議 知的財産戦略本部 対外経済関係閣僚会議
月例経済報告等に関する関係閣僚会議 IT戦略本部 食料・農業・農村政策推進本部

講演まとめ

●生活達人見本市●
構造改革の先に、私たちの暮らしがどう変わっていくのかをわかりやすく説明することも、仕事のひとつです。
自分らしい生き方に近づくために、自分のやり方で挑戦している「生活達人」の方々の暮らしをヒントに未来の生活ビジョンを模索するため、1月24日に仙台、3月21日に金沢でそれぞれ開催した「生活達人見本市」に参加しました。
未来に夢と希望が持てる経済社会を実現していくための基盤整備に努めてまいります。

●地球温暖化問題●
地球温暖化問題は、100年単位で取り組むべき息の長い問題ですが、同時に一刻も早く解決への取組みに着手すべき目前に差し迫った危機でもあります。
経済との両立を図りながら、地球温暖化問題にどう取り組むのか。内閣府経済社会総合研究所は、地球温暖化問題に関する国際フォーラム「未来に引き継ごう、私たちの地球環境」を3月5日に開催しました。
持続可能な循環型社会の実現は、私の公約のひとつの柱です。これからもさまざまな立場、機会を通じて、強力に取り組んでまいります。

●日米金融テクノロジーセミナー●
4月20日、米国大使館と在日米国商工会議所の主催で「日米金融テクノロジーセミナー」が開催され、「金融機関におけるITと金融庁の取り組み」と題した基調講演を行いました。
金融機関のIT化による利点と課題を整理し、金融庁の取組みを紹介しました

●教育シンポジウム●
5月27日、三鷹ほか三市の青年会議所が主催のパネルディスカッション「激論 どうするわがまちの教育」に、パネラーとして参加させていただきました。清原慶子三鷹市長をはじめ、武蔵野市長、小金井市長、西東京市長に鈴木寛参議院議員をまじえ、300人余りの市民の皆様の前で、教育改革をテーマに白熱した討論を2時間半にわたっておこないました。

●e-Japanと企業改革●
5月21日、100人ほどのベンチャー企業経営者、大手企業システム部門の方などIT関連産業でご活躍の方々に対し、「e-Japanの現状と日本経済および企業経営改革にもたらす効用」と題した講演を行いました。

●伊藤達也新時代政経セミナー●
6月10日大勢の方々にご参加賜り、伊藤達也新時代政経セミナーを大変盛大に開催させていただきました。誠に有難うございました。
第1部には、プロサッカーチームを調布に実現するために奔走した同志であり、スポーツジャーナリストとしてご活躍中の二宮清純先生をお迎えし、リーダーの素質についてのご講演を賜りました。
第2部では、橋本龍太郎元総理をはじめ、津島雄二元厚相、石破茂防衛庁長官、竹中平蔵大臣ならびにベンチャー企業経営者の方々から過分なご挨拶をいただきました。会場の皆さま方からいただいた温かいご指導、ご激励をはげみに、さらに懸命に努力してまいります。


伊藤達也は、みなさまの声を、政策に変えています!

●障害者・高齢者の豊かな生活のために
障害者や高齢者の社会参加を促進するとともに豊かな生活を送ることができるよう、地域のNPOなどが、そうした方々の外出を自動車で手助けをしています。
ところが、道路運送法上ではいわゆる白タク行為との線引きがあいまいな状態が続いていました。そこで、昨年4月、構造改革特区制度を利用し、タクシー免許のない市民団体の移送サービスは地域限定で認定されたのです。
この規制緩和を、ぜひ全国に拡大してほしい、またその際、普通免許、自家用車での移送を可能にしてもらいたいとのご要望を、三鷹で活動をしていらっしゃるハンディキャブの方々や仙台出張で、現地のNPOの方から承りました。
こうした声を受け、関係省庁と折衝した結果、3月16日、国土交通省はNPO等の自家用車による有償運送を許可するガイドラインを通達し、4月1日より全国で実施できることとなりました。

●円滑な中小企業金融のために
金融庁は金融機関の経営実態を把握するための金融検査マニュアルを策定していますが、「中小企業融資の実態に沿っていない」、「マニュアルを口実にした貸し渋りや貸しはがしが行われている」など各方面からご意見を伺っておりました。そこで、債務者サイドを含め約4000の関係者にアンケート等を実施し、検査マニュアル中小企業融資編を改訂いたしました。
中小・零細企業の経営実態に即したよりきめ細かな金融検査を行うため、企業の再生に向けた金融機関の積極的な取組みを検査において評価することとしました。
具体的には、債務者の経営改善計画の一環として、貸出金を資本金劣後ローンに転換している場合、当該劣後ローンを資本とみなすことができることとしたほか、検査結果が良好な金融機関については、検査を省略できる債務者の基準を引き上げることができることと致しました。
中小企業が元気になり、地域が活性化してこそ、日本経済の再生があるのです。現場の方々の声を国政に反映させていくことが私の使命と思い、皆さまのご指導のもと、山積する課題に真摯に取り組んでまいります。


ご意見、お問い合わせは伊藤達也事務所までお気軽にお尋ねください。また、もっと伊藤達也を知りたい!という方は、議事録などもありますのでご連絡ください。

電子メール…tatsuya@tatsuyaito.com