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国会活動報告 新春号

構造改革を成功させるために


昨年も大変お世話になり有難うございました。

1月21日から通常国会がスタートしますが、今年は「聖域なき構造改革」の真価が問われる重要な年になります。昨年は、特殊法人改革など公的分野に大きなメスが入りましたが、これからは政府そのものをさらにスリム化していくだけでなく、経済構造や社会制度の改革に取り組み、日本全体の再生を実現していかなければなりません。


10.15マイクロソフト社ビル.ゲイツ会長と対談

構造改革については様々な議論がなされていますが、具体的な改革の方向として、守りと攻めの構造改革を同時に総合的に進めていくべきだと考えています。厳しい経済状況下でこの対応を誤ると、日本経済の底が割れてしまうとの危機感を強く持っています。中でも緊急性の高い「守りの構造改革」は、3つの課題を解決しなければなりません。特に急務なのは今だに引きずっているバブル時の負の遺産との決別であり、構造改革の最大関門である不良債権問題の最終的な解決と過剰債務を抱える企業の再生の断行です。金融サイドをコントロール下に置いた上で、銀行と企業の再生を実現するための大手術が必要です。この点については昨年、小泉総理に直接提言をさせていただきましたが、総理自らの手による「金融問題終結宣言」を決断をしていただきたいと思います。

第2の課題は、活力ある証券・不動産市場に再構築していくことです。個人資産が1400兆円もあるといわれながら、それが十分に活用されない状況に対し税制などの抜本改革を実現しなければなりません。

3つ目の課題は、構造改革の痛みに伴う雇用不安に対する新たなセーフティネットの確立です。失業率が5%を超えたのにもかかわらず現在の雇用政策は失業率3%を前提にした政策や執行体制にあります。雇用政策を大転換し、100万人以上の長期の失業者を徹底的にサポートする体制を確立するためにハローワークのあり方を見直すべきです。さらに、失業者の大部分を占める雇用のミスマッチを解消するために民間の活力を最大限利用し、新規の失業者や雇用調整に直面している方々個人個人の能力や、求人の実態に合致した再就職支援を充実していかねばなりません。

こうした緊急的な政策を通じて、金融システムの不安を解消し経済の再活性化への基盤を作ると共に、日本の国際競争力を回復していく「攻めの構造改革」が必要です。特に、技術の開発力を再生し、新しい日本を作り上げていく力を取り戻していかなければなりません。そして大学や研究所から次々に新しい技術をもった企業を創出をしていく環境を整備していかなければなりません。また、民間の潜在能力を十二分に引き出し、新しい産業やビジネスを作り出していくために徹底した規制の改革や経済分野での公的関与のあり方を抜本的に見直していくことが、政治サイドに強く求められています。

そして、こうした日本再生の動きを支援していくために、「構造改革推進ファンド」を創設し、複数年度にわたって重要な事業を支援をしていく財政的な仕組みを確立すべきと考えます。その財源は、国有財産の売却や活用に求めることとし、財政再建と両立をさせて政府のスリム化を推進していく中で、基金の設立をすべきと考えます。

さらに現在の不況が、IT不況といわれるようにIT産業の失速が経済の大きな影を落としています。こうした状況に鑑み、e-Japan構想を強力に推進していくために世界最先端のIT政策を展開していかなければなりません。この点についても、昨年、党のe-Japan特命委員会(委員長 麻生太郎政調会長)の事務局長として、具体的な政策を総理に緊急提言させていただきました。そのさきがけとして電子政府の早期実現は重大な課題であります。電子政府の本質は行政改革にあり、自宅にいながらあらゆる手続が24時間いつでも簡単にできるように、政府のあり方を大きく変えると共に、基幹業務の改革を通じて外務省のような不祥事が絶対起こらないような不正防止の改革と行政効率の最大化を実現する政府に生まれ変わる必要があります。

こうした具体的な構造改革をスピード感を持って果断に実行しながら、目に見える形で日本の再生を実現させていきたいと思います。私は「官主導体制を打ち破って、もっと一人一人の国民の力を信じ、市民社会に根ざした活力ある国づくりを進めていくこと」を訴え、政治活動をスタートさせました。その初心を忘れず「政治が決断すれば日本は変わる」をスローガンに具体的な政策を訴え、なんとしても構造改革を成功させたいと思います。これからも「政治を変えたい」という皆様の声を忘れることなく、自らの使命を再認識し、決意も新たに全力で行動していきます。今年もご指導ご鞭撻のほど、心からお願い申し上げますと共に、皆様の更なるご発展とご多幸をお祈り申し上げます。


e-Japan重点計画特命委員会 緊急申入書


伊藤が事務局長を務めるe-Japan重点計画特命委員会では、6月から精力的に議論を重ねてきました。そこで、IT革命によって我が国経済の建て直しを行うとともに、行政改革に資する効率的で利便性のある電子政府を構築するため、これまでの議論をとりまとめ、緊急申入書を作成しました。11月6日には竹中経済財政政策担当(IT担当)大臣に、7日には小泉首相にこの緊急申入書を手渡して、これを確実かつ早急に実行に移すよう強く申し入れを行いました。なお、特命委員会では適時フォローアップを行い、責任をもって各省庁にこの申入れの実現を求めております。

緊急申入書(要点)
自由民主党e-Japan重点計画特命委員会(委員長;麻生太郎、事務局長;伊藤達也) 

1.IT関係予算
(1) 「5年以内に世界最先端のIT国家になる」との目標に照らし、厳正に査定。 (2) 全省庁が取り組む電子政府予算、複数の省庁が取り組む地域の情報化予算などは重 複を排除。

2.電子政府
(1) 電子政府の本質は行政改革。
よって、手続の電子化、規制や手続の廃止・見直し及び 簡素化、業務の外部委託など業務合理化などの総合的 な取り組みが必要。

(2) 以上の一大プロジェクトを行う場合の視点は以下のとおり。
① 国民、企業など利用者の利便が最優先
② 省庁横断的に一挙に取り組むことが重要
③ 予算を使って作るシステムに係る契約は、全面公開
④ 各省庁に業務改革・情報化の責任者を置き、取り組み が進まない場合の責任の所在を明確にする。 同時に、各省庁の取り組みを外部から監視する(各省 庁が,利害優先で非効率が生じていないかどうか等を チェック)ための組織を整備。

(3) 個別には、
① 全ての手続を電子化するとの基本思想が明確になる 一般的な通則(各省横断)法案を次の通常国会に提出。
② 不正を排除し、効率性を確保するため、公共事業の 電子入札を早急に実施。当初計画を1年前倒しして 本年より実施を開始し、平成15年度までに完全実施。
③ ソフト・システムに関する調達は、社会問題化している 大手事業者による安値落札を根絶。そのために現行 調達制度を見直し。

3.光ファイバーの有効利用
(1) 道路管理や河川管理のために敷設された公共用の光 ファイバー、電力会社や鉄道会社が保有する光ファイ バーを開放。情報公開を通じて、その利用を促進。    その結果、ファイバー利用コストが下がり、ひいては一般 国民の支払う通信料金が下がることが見込まれる。
(2) 集合住宅に対する光ファイバー敷設を円滑化させること により、家庭生活の充実を促進。より高度な行政や医療 サービス、より多様な娯楽を享受。

4.経済効果のある規制緩和

民間事業者から要望の強い約35項目の規制緩和について、要望に沿う方向(役所(規制)の論理ではなく)で一定の結論。   一方で、規制の緩和、見直しが独占の弊害を助長することのないよう、独禁法などの運用を強化。 <例>通信・放送ビジネスの制度の根幹からの見直し、無線・電波等の規制緩和など。


2001年活動写真。
  


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