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国会活動報告 No.46

改革の好機を逃さず、経済・政治の再生を


変革への大きな期待を受け、小泉純一郎政権が船出しました。国民の危機感が政権の推進力であり、構造改革の機運を経済・政治の再生につなげ、この国の未来を切り開いていかなければなりません。

首相は所信表明演説で、「聖域なき構造改革」を断行する決意を表明。「痛みを恐れず、既得権益の壁にひるまず、過去の経験にとらわれず」との考えを強調し、新世紀にふさわしい経済・社会システムを築き、特に「経済の立て直し」を最重要課題とし、「構造改革なくして景気回復なし」と訴えました。

しかし、問題は何をどう変えるかであります。痛みをどこまで覚悟し、新しい成長基盤をどのようにつくるのか、国民の前に明らかにする必要があります。  私は、日本が再び繁栄を取り戻すためには、2つの視点からの構造改革が必要だと考えています。1つは経済の緊急的立て直しのための守りの改革、もう1つは日本が持っている潜在的な成長力を引き上げるための攻めの改革です。

まず守りの構造改革は、3つの課題を解決しなければなりません。まず急務なのは、構造改革推進の最大の関門である不良債権問題の最終処理と過剰債務を抱える企業の再生の断行です。そのためには、本年9月までの短期決戦で金融行政を強化し、隠れた不良債権を洗い出して、金融システムへの不透明感を払拭しなければなりません。この結果、自己資本が不足する銀行があれば、国民の理解を得て公的資金の再注入をすべきです。

第二は、活力ある金融資本市場の構築と不動産取引の活性化です。個人投資家を呼び込めるような魅力ある税制を整備するとともに、市場への信頼回復のために、強力な市場監視体制の確立等、証券業界全体の改革も実現すべきであり、一方で不動産取引の活性化のために不動産証券市場の育成なども図る必要があると考えます。

第三は、雇用のセーフティネット(安全網)の整備です。構造改革を進める中で古い分野から新しい分野への人の移動は避けられません。その対策として、再訓練期間中の雇用保険給付の延長や、民間の人材サービスを活用できるよう規制改革を進めること、採用の際の年齢制限の緩和などが必要です。

次に、攻めの構造改革について述べてみたいと思います。まず、産業構造を改革し、供給サイドを強化しなければなりませんが、その実現のためには規制改革のやり方を変えなければなりません。今までの規制改革は、テーマごとに利害調整をしてきましたので、大変な時間と労力がかかりました。そこで、早期に成果を上げるためにも、新産業創出を妨げている規制は一旦全てを廃止し、その上で、必要な規制は国民の理解を得て新たな法律で復活させるという「ゼロ・ベースでの見直し」を断行すべきです。

また、象徴的な分野をつくることも大切です。その一つがIT(情報技術)です。小泉首相は、「5年以内に世界最先端のIT国家を実現する」というIT国家戦略の中間目標として『IT2002プログラム』をつくることを表明しました。このプログラムの作成に当たっては、①インターネット時代にふさわしい競争政策の導入と不必要な規制の撤廃、公正取引委員会の機能強化、②国民的視点での事業推進、③世界的視野に立ったルール設計と情報発信の3つの視点から具体的な目標と施策をつくるべきと考えます。

首相の「構造改革なくして景気回復なし」の理念は正しい。日本経済の将来について、国民や企業が不安では、活発な消費は期待できず、総需要は縮小していきます。このため、政府が一定期間で財政構造を改め財政悪化を防ぎ、財政再建への信頼に足る道筋を国民に示すべきです。国民が安心できるような財政構造改革の長期的な青写真を200日以内に明らかにする、特に、最大の支出項目の社会保障については、安定し持続可能な将来像を早急に明確に提示すべきだと思います。 小泉首相は、日本の再生について「処方箋はすでに示されている。今私がなすべきことは決断と実行だ」と強い決意を示しました。私は引き続き新政権でも党の経済産業部会長をはじめ、IT、行革、環境、教育改革を担当します。首相を支え「改革断行内閣」にふさわしい実績をあげられるよう、全力で行動していきますので、皆様のご指導の程お願いいたします。

※ 今後の経済政策について「VOICE7月号」(PHP研究所)に掲載されますのでご高覧いただければ幸いです。

衆議院議員 伊藤達也


議員立法でフロン回収法案を提案


フロン類※は、大気中に放出されますと、オゾン層を破壊し、また地球の温暖化に深刻な影響を及ぼすために、フロン類の回収・破壊対策は極めて重要な課題です。強力なオゾン層破壊能力と温暖化能力を持つ特定フロンは1995年に製造が中止されましたが、これ以前に製造した自動車に特定フロンのカーエアコンが搭載されており、廃車時期を迎え、処分方法が課題となっています。また、製造中止後に使われるようになった代替フロンも強力な温暖化能力を持っているなど、地球環境への悪影響が大きいため、早急にフロン類の回収・破壊システムの構築が求められていました。これまでの対策は、国の支援のもと、関係事業者による自主的な取り組みに任せていましたが、その回収実績は必ずしも十分なものとなっていません。
こうした問題意識のもと、伊藤は議員立法に取り組んできました。伊藤も参加し、具体的提案をしてきた与党3党プロジェクトチームは、10回以上の会合を積み重ねた結果、5月11日に「フロン回収法案」を固めました。今国会中の成立を目指します。
この法案は、フロン問題の緊急性に鑑み、公布から施行までの期間をEUと比べても大幅に短縮させました。自動車メーカーは、自社製品が廃車として処分された際、回収されたフロンを費用を払って引き取り、さらに処分業者に費用を払って分解してもらう、「回収と破壊」双方への責任を負う「拡大生産者責任」を定めました。費用の外部化にも踏み込んだ、わが国の環境政策として国際的にも誇れるものであります。
環境問題は現実性のない理想を主張するだけでは全く先には進みません。いかに迅速に実効性のあるシステムを構築するかが重要です。多くの協議を重ねて関係者と信頼関係を築き、自動車業界などの関係者の理解と協力を得られたことで、業界が先頭に立って環境問題に取り組む、このような法案をまとめることができました。

※ フロン類…特定フロン(CFC)と代替フロン(HCFC、HFC)がある。CFCは強力なオゾン層破壊能力と温暖化能力があり、95年に製造が中止された。HCFCは現在も使われており、先進国では2020年に全廃予定。オゾン層破壊能力と、強力な温暖化能力を持つ。HFCも現在使われており、オゾン層は破壊しないが、超強力な温暖化能力を持つ。

<法案の概要>
1、 業務用冷凍空調機器等(第一種特定製品)については、最終使用者が廃棄時にフロン処理費用を回収・破壊業者に支払う。

2、 カーエアコン(第二種特定製品)については、フロン回収業者は、回収したフロンを自動車メーカーに直接引き渡し、①フロン回収業者は回収・運搬費用を、②フロン破壊業者は破壊費用を、自動車メーカーから受け取る。

3、 ユーザー側の費用分担については、現在検討している自動車リサイクル法案の流れの中で定めることとする。

4、 フロン破壊業者を許可制にすることで、確実なフロンの破壊を担保する。

5、 施行は基本的に平成14年4月1日とする。カーエアコンのフロン回収の規定については、準備等の期間が必要のため、平成14年10月31日以前の政令で定める日としつつ、早期の施行を図る。


衆議院憲法調査会


3月8日 ソフトバンク株式会社の孫正義代表取締役社長を参考人としてお呼びし、IT革命やグローバル化を前提とした21世紀の日本と憲法のあり方について孫参考人のご意見をお聞きしたあと、伊藤がIT政策とIT社会における憲法のあり方という2つの視点から質問を行いましたので、一部を抜粋・要約してご紹介致します。

(伊藤)IT戦略会議の中心メンバーとしてIT基本戦略を取りまとめた孫先生から見て、IT戦略本部が発表したe-Japan重点計画をどのように評価しているか。

(孫)
基本的にすばらしい内容だが、期限を決めて不退転の覚悟で実行しなければならない。中でも一番大事なのはアジアと比べても大変遅れている高速インターネットのインフラである。光ファイバー自体は安価なのだが、工事にかかわる届け出の許認可が煩雑で、手数料で高い。つまり、日本国が作ったルールが日本国の進化を妨げており、そこを一刻も早く直すべきである。

(伊藤)
民間主導でオープンな仕組みを作るためにも、規制を改革し、競争政策を体系化していくべきである。具体的には、独禁法の中に線路敷設権、NTTグループの問題、電波の配分及び利用に関して、独占を排除し公正競争を確保するためのガイドラインをつくるべきであり、また規制についても、電気通信関係の法律に残る307近い許認可を見直し、インターネット時代にふさわしい競争政策を導入していくべきだと考える。

(孫)おっしゃる通りで、独占的企業はいかなるものも認めないと21世紀の憲法には定めるべきだとも考えている。NTTやその他の独占企業に対して、一刻も早く競争政策を導入することで、国民がより安く高品質なものをより自由に手に入れられることになる。また電波に関しても、何十年も活用していない企業等から一刻も早く開放し、多くの企業が自由に競争して、国民の資源である電波を活用し、国民へのサービスの向上を図れるようにすべきである。

(伊藤)これからの憲法を考える上で一番大事なことは、いかに国民一人一人の可能性を引き出すかにある。自由主義を自己実現の保障としてしっかり定義することが大切である。その上で、自己実現の保障のためには、社会に一定の規範が必要であり、それを維持・確保するために国家の役割があるということを明確にしていく必要があると考える。21世紀の日本の憲法を考えた場合に、基本原理としてさらにしっかり考えるべき点をお答えいただきたい。

(孫)全く同感である。日本国民が自らの国に誇りや愛着を持ち、自らのため、家族のため、多くの人のために、自由に、フェアに、グローバルに幸せを分かち合えるように生きていくことが大事である。そのためには憲法においても、ネットアクセス権やプライバシーの保護など新しい時代に際してより明確化すべき基本的人権について議論が進められるべきと考える。


緊急経済対策


景気の不透明感から、金融再生と産業再生を一体的に進めることなどを目的とした緊急経済対策が、4月6日に政府・与党3党で決定しました。公共事業による需要刺激中心の従来型経済対策ではなく、経済の長期低迷の主因である構造問題にメスを入れ、その抜本的解決に取り組むものとなっております。伊藤は党の緊急経済対策特命委員会の不良債権処理策グループのメンバーに入り、この対策の大きな目玉である不良債権の最終処理策の取りまとめに尽力しました。特に、その中で、不良債権の処理に関し、期限を明記させることができたのは、大きな成果でした。そして対策の決定後は、党の経済産業部会長として、緊急経済対策に実効性を持たせ、個人の株式投資を促進するために、証券関連税制の改正要望をまとめ、党の税制調査会に提案しました。

<緊急経済対策>
1、金融再生と産業再生
不良債権の最終処理
・ 破綻懸念先以下の貸出債権を今後2年以内にバランスシートから落とす(新  規発生分については今後3年以内)
銀行の株式保有制限
・ 銀行保有株式取得機構の設立 企業再建の円滑化
・ 金融機関による債権放棄のガイドライン策定
・ 建設産業の再編促進
・ 会社分割法制の活用

2、証券市場の構造改革
金庫株の解禁
確定拠出年金法案等の早期成立
株価指数に連動する現物出資型の上場投資信託(ETF)の制度整備

3、都市再生・土地の流動化

4、雇用創出とセーフティネット構築 5、税制の見直し


ご意見、お問い合わせは伊藤達也事務所までお気軽にお尋ねください。また、もっと伊藤達也を知りたい!という方は、議事録などもありますのでご連絡ください。

電子メール…tatsuya@tatsuyaito.com