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国会活動報告 No.45

21世紀を「新たな飛躍の世紀」へ


1月31日から今世紀最初の国会がスタートをしました。振り返ってみると20世紀は日本にとって2度目の世界大戦を経て、経済大国に大きく発展しましたが、バブル崩壊後、経済は低迷し、国民に停滞感と閉塞観が広がった激動の世紀でした。この100年間を支えてきた先人たちの努力を改めて再認識するとともに、新世紀への期待を現実のものとし、21世紀を「新たな飛躍の世紀」にすべく、改革への明確なビジョンを持って全力で国政に取り組んでいきます。
昨年は、平沼通商産業大臣の下で、省庁再編を目前に控え、事実上最後の政務次官として、副大臣制を機能させることを意識しながら、経済構造改革の推進と産業政策の立案及び実行を最重要課題として、個々の政策の企画、経済対策、平成13年度予算並びに税制に取り組んできました。こうした貴重な経験から強く感じたことは、時代のニーズに応えた経済産業政策を戦略的に実行することができなければ、力強い成長と活力あふれる経済社会を構築することはできないということです。
現在、日本経済は、IT関連産業を中心に穏やかな改善がみられますが、依然、雇用や個人消費は力強さを欠いており、今後設備投資がどういう状況になるかがポイントになります。また、米国やアジアなどの国際経済環境などに注視し、細心の注意を払った経済運営を行う必要があります。一方で、日本経済には大きな潜在的能力があり、これを十分に引き出すことが大切です。特に未処理の不良債権問題を先送りすることなく解決をし、新たな成長に向けて、自由で創意工夫にあふれた経済活動を可能とするような環境を整備していかなければなりません。そのためには、IT革命の取り組みと経済構造改革推進は欠くことのできない重要な課題です。
私は、こうした問題意識の下に、新たな成長を実現していくための課題が4つあると考えます。
第1は、企業の創造的な経済活動と新規産業の創出を促進することです。そのためには、柔軟かつ機動的な経営資源の移動を可能とするための、企業法制、税制の改革と雇用の流動化対策が重要です。さらには、オープンで効率的なネットワークによる新たな価値やビジネスを創出するIT革命の推進、革新的イノベーションを生み出す先端技術開発のための環境整備、そしてこれからの対策の基盤として重要な知的財産の適切な保護などを推進することで経済の活性化を図っていかなければなりません。
第2は、いわゆる高コスト構造の是正です。企業活動の基盤である流通、情報通信、金融などの分野の高コスト構造を是正しなければ日本の国際競争力を回収することはできません。透明性のあるルール型行政と独占から競争を基本方針として規制改革や競争を促進することによって、利用者の立場に立った新たな制度設計と市場の目標策を実現することが必要です。
第3は、少子高齢化や環境問題などの経済成長制約要因を新たな成長の要因に転化して行くための条件整備です。少子高齢化については、女性や高齢者の就労環境を充実させるとともに、効率的で質の高い医療、福祉サービスを実現することが重要です。また、環境問題については、その克服が新たな経済の発展要因となるような経済社会システムを構築し、効率的な循環型社会を築いていかなければなりません。今国会から環境委員会に所属することになりましたので、こうした問題にも積極的に取り組んでいきます。
第4は、所得の再配分についての見直しです。経済の活力を維持していくためには、都市から地方へ、若者から高齢者へといった旧来型の所得配分システムを見直していくことが不可欠です。雇用、年金、医療、介護といった社会保障制度全体を総合的に改革し、安定的で良質な社会保障サービスを確保すると共に経営的な視点をもって財政構造改革に正面から取り組むことが必要です。
こうした課題を解決し、21世紀の日本全体のグランドデザインを明確にしながら構造改革をスピード感を持って果断に実行していきたいと思います。私は官主導体制を打ち破って、もっと民間の力を信じ、市民社会に根ざした活力ある国づくりを進めていくことを訴え、政治活動をスタートさせました。そして、『政治が決断すれば日本は変わる』をスローガンに具体的な政策を訴えてきました。これからも『政治を変えたい』という多くの国民の皆様の声を忘れることなく、新しい世紀の中で自らの使命を再認識し、決意も新たに全力で行動していきます。今年もご指導のほどお願い申し上げますと共に、新しい世紀の中で皆様のさらなるご発展とご多幸をお祈り申し上げます。


第151回通常国会で審議予定の主な法案


(第151回通常国会・・・平成13年1月31日から6月29日までの150日間)

 

◎行政機関政策評価法案 大規模事業等について、企画立案段階で事前評価を行うことを義務付ける。
◎インターネット情報流通適正確保法案 インターネット上での権利利益の侵害に対し、接続業者の責任範囲の明確化、被害者の情報開示請求権を定める。
◎電子商取引等契約法案 電子商取引における意思表示について民法の特例を定める。
◎不正競争防止法改正案 ドメインネームの不正使用等を民事上の差止請求、損害賠償請求の対象とする。
◎電気通信事業法改正案 電気通信事業者間の公正競争のため、支配的電気通信事業者制度等を整備する。
◎学校教育法改正案 奉仕活動、自然体験の充実、問題行動を起こす児童生徒へ厳格な対応を行う。
◎公立義務教育の学級編成及び教職員定数標準法改正案 小学校の少人数指導。小、中高校での柔軟な学級編成をおこなう。
◎地方教育行政組織・運営法改正案 不適格な教師を教職から追放する。公立高校の学区域をなくす。
◎育児・家族介護を行う労働者の福祉法改正案 子育てや介護のために時間外労働の免除を請求できる。
◎地方公共団体の特定事務の郵政官署取扱い法案 住民票の写しの交付などの事務を郵便局において取り扱えるようにする。
◎※酒類販売管理法案 未成年者への酒の販売を防ぐため、酒類販売店に販売管理人を置くことを義務付ける。
◎自動車排出窒素酸化物の特定地域総量削減のための特別措置法改正案 大気汚染を防ぐため、要対策物質に粒子状物質を追加する。
◎※自然エネルギー発電促進法案 太陽光、風力などの自然エネルギーを利用した発電事業者に国が助成。
◎確定拠出年金法案(継続案件) 運用実績次第で年金の受取額が増減する確定拠出型年金を導入する。
◎※永住外国人地方参政権付与法案(継続案件) 永住外国人に都道府県・市区町村の首長・議員選挙の選挙権を認める。

※は議員提出法案


「NIKKEI2001ビジョンフォーラム
-21世紀の新しい旗手たちへ-」


昨年の12月14日に行われたNIKKEI2001ビジョンフォーラムにおいて、伊藤は関口和一氏(日経新聞論説委員)の司会の下、中村伊知哉先生(マサチューセッツ工科大客員教授)、町田潤一氏(狭山市長)とともにパネルディスカッションに参加しました。「21世紀のビジネスと政治・行政との関わり」というテーマで行われましたが、その中で伊藤は、IT政策担当の通産政務次官の経験から、政府がIT革命に対応して、どのような構造改革をやるべきかを以下のように具体的に主張しました。

政府がやるべきこととして、①民間の活力を引き出すための環境整備に特化する、納税者である市民や企業に高いサービスを提供する、透明性を高めるといった3つを備えることにより、優秀な企業が次々に誕生するような電子政府を作る。②必須設備の開放と、独占の弊害の排除により、ネットワークインフラの競争環境を整備する。そのためには、新しい情報通信法により競争政策を進め、独占を抱えるNTT、NHKのあり方を再検討する。また、振興政策、規制監督、政策評価の全てを郵政省(現総務省)が行っている現状を改革する。③IT社会を支える人材を育てる、この3つを提言しました。そして、日本がITで遅れているのは今まで競争に参加していなかっただけで、競争に参加し潜在能力を最大限発揮すれば、3年でIT先進国に追いつき、IT革命に対応した経済社会を築くことができる、と発言しました。


「第12回21世紀構想フォーラム特別企画
『歴史の中の日本』」



12月20日には、佐々木毅東大教授の司会の下、渡辺喜美、玄葉光一郎、松沢成文各衆議院議員、林芳正参議院議員、吉田慎一朝日新聞編集長、芹川洋一日経新聞編集委員とともに、(財)社会経済生産性本部主催による21世紀構想フォーラムの特別企画に参加しました。「政治家よ、そして国民よ」というテーマで、現在の政党不信をどうするか、政治主導のあり方、直接民主制などについて話し合いました。

 その中で伊藤は、長野や栃木の県知事選などで顕在化している現在の政党不信は、政党政治が国民からの構造改革を行うべきとの声にずっと応えてこなかったからであり、まず政党が政策を体系化させ、それをどういうスケジュールで実現するかを戦略化し、明らかにすべき、そして対立軸をはっきりと打ち出し、有権者が選べる選択肢を示さなければならない、と述べました。また、政治主導のあり方については、①政府と与党が一体となって改革の企画立案から実行を行うべき。②基本的な政策の方向性と優先順位を大臣、副大臣の責任の下で決めるべき。③事務次官会議に変わり、副大臣会議を作り、省庁間の調整をそこで行うべき、と主張しました。そして、首相公選制については、導入を支持しつつも、現在、首相がリーダーシップを発揮できない内閣法など制度面での問題を解決しながら、直接民主制導入の環境を整えていくべきだと主張を述べました。


通商産業政務次官としてかけぬけた150日間の活動報告


 

7月8月9月10月11月12月


「競争政策なしにIT革命なし」




伊藤はVoice(PHP研究所)の1月号に、「競争政策なしにIT革命なしーバラマキではなく利用者の視点に立った制度設計をー」というテーマで論文を寄稿しました。その中で、日本がIT先進国として立脚するために必要不可欠なネットワークに関する国家戦略を中心に、いま行政や政治が何をなさなければならないのかを具体的に述べました。将来を見据えた、利用者の視点に立ったこのような改革を一日も早く実現できるよう、訴えた内容ですので、具体的な施策について、全文をお読みになりたい方は小冊子もございますので、事務所の方までご連絡ください。

ご意見、お問い合わせは伊藤達也事務所までお気軽にお尋ねください。また、もっと伊藤達也を知りたい!という方は、議事録などもありますのでご連絡ください。

電子メール…tatsuya@tatsuyaito.com