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国会活動報告 No.43


調布市ソフトボール連盟開会式にて

選挙公約の達成度をご報告します。

私は、93年の初当選以来、「具体的な公約を掲げ、常に改革への取り組 みを報告すること」を自らの政治信条として、今日まで公約達成度の中間報告や国会会期ごとの活動報告をしてまいりました。今回は前回の総選挙(96年10月20日執行)での公約に基づき、「伊藤達也の公約達成度報告書」 を提出します。

これは自己評価であり、また達成された政策も一人の力で成し得たもので はありませんが、「官主導体制を打ち破って、もっと民間の力を信じ、市民 社会に根ざした活力ある国づくりを」という理想に向かって全力を尽くして きました。また、前回総選挙の新進党の枠組が崩壊する中で、ご指導を頂き 行動を共にしてきた細川元総理が議員辞職された後、政党選択をし、この1年8ケ月、与党の立場で公約実現に向け取り組んできたことも含め、皆様の ご批判や評価の材料として頂きたく、本報告書を作成しました。

前回の選挙の際、私は皆様に対して5つの決断をお約束しました。その内容は、「行財政改革」「透明な社会の実現」「経済構造改革」「地域主権」 「消費税引き上げ反対」でした。これらは、概して、市民が今の行政のあり 方や税金の使い道をチェックし、自らの判断をもとに「投票」を通じて望ま しい社会の方向性を決めていくという、市民本位の政治を実現するための前 提条件と言えるものです。また、これからの日本を支えていく主だった柱が ここに含まれていると考えています。

幸いにも、それぞれの決断が形となって、今まさに改革が進行していると ころです。しかし、これらは本来の政治を実現する上での前提条件に過ぎず、 改革のスピードもまだまだ遅いと言わざるを得ません。これからも私は、現実をしっかり見すえ、公約の達成と理想の実現に向け、任期の限りあらゆる 努力をしていくことをあらためてお誓い申し上げます。


伊藤達也 公約成績表 1996~2000
公約の達成度に付いては、宮田義二(財)松下政経塾前塾長に評価していただきました。そして、改革をさらに推進するため、今後の課題や取り組みについても明らかにしました。皆様にご指導頂ければ幸いです。

決断1:「行財政改革」-政府の仕事の徹底した見直し
決断5:「消費税5%引き上げ反対」

「中央省庁等改革基本法」の成立

達成 行政組織の効率化を図るとともに、政策の基本方針の企画に関する内閣機能の強化を通じて、官僚機構の縦割り弊害を取り除き、内閣のリーダーシップのもとで機動的かつ効果的な対応策を打ち出せるようにした。

課題 しかし、来年1月の中央省庁の再編は行政改革の第一歩に過ぎないため、特珠法人の民営化までを視野に入れた改革をさらに推進するとともに、内閣のリーダーシップの強化が実質的に機能するようにフォローアップを充実させる。

「財政構造改革法」の成立とその凍結 

結果 97年11用に成立。これは将来的に財政健全化目標を示すものだったが、長引く深刻な不況を考慮し、機動的な景気対策の余地を担保する意味から98年12月に「停止法」によって凍結された。

課題 今後は、景気動向に配慮しつつも、未曾有の赤字大国になった状況から脱却すべく、行政の無駄を徹底的に封じ込めることによって、公債費関連を除く基礎的収支(プライマリー・バランス)の早期均衡を図るべく全力を挙げる。

消費税率5%への引上げ反対

結果 97年4用の消費税引き上げについては、増税の前に行政の無駄を取り除くべきとの信念から反対運動を積極的に展開したが、残念ながら消費税引上げが実施される結果となった。

課達 今後は、当時よりも、ますます国や地方の財政状況が悪化する中で、結果的に負担を甘受した国民の立場から、さらに持株法人や自治体の業務までを含めた政府部門の徹底的な見直しによって行政改革の一層の推進を図る。

決断:2「透明な社会の実現」 -行政機能を原則ガラス張りに

「情報公開法」の成立

達成 来年4月に施行されるこの法律は、国民が知りたい行政情報を行政側に開示靖求できるようにし、行政の無駄を市民の立場からチェックする条件を整える必要が有るとの観点から、その成立に努めた。

課題 しかしながら、この法律では78にも及ぶ特殊法人や、認可法人が対象外となっているため、「税金の流れ」の透明性を高める上でも、今後は自治体も含めた政府部門の情報公開環境の一層の充実を図る。

決断3:「経済構造改革」-活力と持続性のある経済社会の実現

バブル経済の精算

達成 長引く不況を阻止するため、「金融再生関連法」によって金融機関の崩壊を防ぎ、「産業活力再生特別措置法」によって産業の再生を促す環境の整備に努めるとともに、中小企業対策にも力を尽くした。

課題 しかし、不良債権問題を含むパフル後遺症から完全に抜けきったわけではなく、    企業や産業もすべてが進むべき新たな方向性を確立できたわけではない。特に、    不況下で困難に直面する中小企業に対して、日本経済の長期ビジョンを示せるよ    う、早急に検討を続ける必要がある。

ニュービジネスのチャンス拡大

達成 不況対策にとどまらず、情報通信分野など、日本経済にとって戦略的な意味を持つ分野での規制緩和の着実な実行や、将来的にニュービジネスのチャンス拡大につながるよう、「中小企業基本法」の改正や「新事業創出促進法」の成立、エンジェル税制の拡充や留保金課税の停止、ストック・オフションの強化など中小企業対策やベンチャー支援策を強力に推進した。

課題 今後は、国際化や情報化、さらには科学技術の方向性といった流れを見据え、将   来に向けて持続可能なきちんとしたルールを設定し、個人や企業に創造性ある    自由な経済活動を通じて社会に貢献できる環境をつくる。特に、「情報化への適    応力」の高い社会づくりと科学技術創造立国に向けた基盤整備を推進する。

民事再生法の成立

達成 これまで未整備であった再建型の倒産手続きがとれるよう「民事再生法」を成立  させた。リスクをとってでもベンチャー企業を起こそうという起業家精神を刺激し、企業経営に失敗しても再びチャレンジできるような経済社会を築くための環境整備を行った。

課題 今後は、コーポレートガバナンスのあり方も含め、競争政策を通じて不透明なや    り取りがなされないよう、できる限りオープンなシステムつくりを目指す。

リサイクル社会の育成 

達成 製品などを循環的に使用し、天然資源の消費を少なくして、環境への負荷を少なくする循環型社会に転換していくため、「改正リサイクル法」、「家電リサイクル法」「容器包装リサイクル法」などを成立させた。

課題 これまで、廃棄物やリサイクルに関する個々の法律を成立させたが、今後はこれらの個別法がばらばらにならないよう基本理念をまとめ一体的に運用できるよう「循環型社会形成推進基本法」の成立を目指す。

決断4:「地域主権」-「地域」から「国」をつくり直す

「NPO法」の成立

達成 「市民」実質的な地域・街づくりの重要な担い手となるべく自主的で積極的な市民活動を支援することが重要であるとの観点から「特定非営利活動促進法」(NPO法)の成立に尽力した。

課題 しかし、この法律は、小さな政府と豊かな福祉の共存が可能な形で行政だ企業に市民との関係を工夫していく素地を築いたものだが、今後は、市民活動を実質的なものとするという課題に着手する必要がある。特こ、NPOに対する寄付者への税制優遇措置の実現が必要である。

「地方分権一括法」の成立

達成 国の地方への機関委任事務を廃止し、地方が国の従属ではなく、国と地方が対等の関係として地域つくりができることを目的としたこの法律の成立に努めた。

課題 しかしながら、この法律は、国から地方への権限移譲に財源委譲が伴っていない点で不十分であり、自治体間の財源調整を目的とした地方交付税の抜本的見直しや、市町村合併による「基礎的自治体」の再編を通じた体力増強、地方債制度の検討も含め、「地域主権」確立のための整備に今後とも力を尽す。

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「決断1 行財政改革」
「決断5 消費税5%引き上げ反対」 

政府の仕事の徹底した見直し

結果 決して安易な増税策ではなく、行政の無駄を 徹底的に排除することを通じて、450兆円の借金を抱 える国の財政の「再建」を目指しました。行政改革につ いては「中央省庁等改革基本法」を成立させましたが、 財政改革については消費税率の5%への引上げが実 施される一方で、いったん成立した「財政構造改革法」 は、不況対策を最優先とすべき状況から凍結されると いう結果となりました。

今後の取り組み 税の引上げという選択は、国民に とって大変重い問題であるはずです。私は、消費税引 上げの前にやるべきことはたくさんあると考えてきました。 これは、行政の無駄を徹底的に洗い直して支出を減ら すか、現状の財政支出の配分を変えずに増税で上乗 せするかの方法論の問題です。国や地方の財政状況 がさらに悪化する中で、結果的に税の追加的負担を甘 受した国民の立場から、今後とも行政改革の問題に鋭 くメスを当てるべきと考えています。
来年1月には、中央省庁が再編されます。これは、効 率的な行政を実現する上での第一歩です。しかし、官 僚組織の縦割りの弊害が改革を遅らせてきたことを考 えると、政治が内閣主導のリーダーシップによって横断 的な問題解決を図る必要に変わりはありません。今後 とも、小さな政府と活力ある経済の実現に向けて公共 事業や特殊法人の改革など、行政の無駄を見直すよ う全力を挙げなくてはなりません。徹底した行政改革 によって、公債費関連を除く基礎的収支(プライマリー・ バランス)の早期均衡を取り戻すべき、というのが現時 点での私の考えです。

「決断2 透明な社会の実現」
行政機能を原則ガラス張りに

達成 皆様とのお約束に基づき、その成立に全力を 冬くした「情報公開法」が来年4月から施行されます。 これは、中央省庁の行政文書を対象に、国民が知りた い情報を行政側に開示請求できる権利を明文化した 法律です。この法律の意義は、時代遅れの政策や行 政の無駄を市民の立場からチェックする仕組みが整っ たということにあります。また、市民活動や地域活動に 広がりをもたらす前提が整ったということでもあるわけで す。

今後の取り組み しかし、「情報公開法」には、まだ不 十分な面もあります。官僚の天下りや高額の退職金な どで問題になっている78にも及ぶ特殊法人、また日本 銀行などの認可法人は、この法律では情報公開の対 象外となっています。 今後は、このような特殊法人や認可法人に対する情報 も可能な限り公開されるよう、また国や自治体の財政 関連情報の速やかな開示が実現するよう、引き続き改 草を進めてまいります。
何故、執拗なまでにこの課題に取り組むべきなのか。 それは、現実に「税金の流れ」が不透明であることを痛 感するからです。私たちの税金が適切に使われている かどうかを判断するには、行政サービスに対するしっか りした「評価」を行う必要があり、そのためには「情報」 が不可欠です。したがって、この「税金の流れ」の透明 性を確保する改革によって、税金の使途の適正化を 図るとともに、行財政改革をさらに前進させることが可 能になる、というのが私の考えです。

「決断3 経済構造改革」
活力と持続性ある経済社会の実現

達成 国の財政をむしばむ長引く不況を阻止するため、 「金融再生関連法」によって経済の血行障害を除去し、 「産業活力再生特別措置法」によって産業組織のスリ ム化と筋力強化をもたらす環境を整備しました。同時に、 単なる不況対策にとどまることなく、将来の活力ある日 本経済の再生に道筋をつける努力を行いました。例えば、 情報通信分野など、日本経済にとって戦略的な意味を 持つ分野での規制緩和の着実な実行や、ニュービジ ネスのチャンス拡大につながるような中小企業対策や ベンチャー支援策などです。特に、「中小企業基本法」 の改正や「新事業創出促進法」の成立、エンジェル税 制の拡充や留保金課税の停止、ストック・オプションの 強化を図りました。また、起業家精神を刺激し、企業経 営に失敗しても再びチャレンジできる経済社会を作るた め、倒産法制の改正を目的とした「民事再生法」を成 立させました。  さらに、今後は、大量廃棄から、製品などを循標的に 使用することによって天然資源の消費を抑制し、環境 に対する負荷を引き下げていかなくてはなりません。こ のような循環型社会に転換する上で、「改正リサイクル法」、 「家電リサイクル法」、「容器包装リサイクル法」などを成 立させました。

今後の取り組み 以上は「構造改革」と言われる内 容です。その意味は、「構造」や「制度」など、これまで のやり方をここで大きく変えなくてはならないということ です。その理由を一言で言えば、その前提が大きく崩 れてしまったからです。すなわち、これまでは、「規制」 を政策手段として用いる官僚主導型の経済であり社 会であったわけですが、そのやり方が今では効果を発 揮しないばかりでなく、新たな活力を封じ込め、経済社会に悪影響さえもたらしている、というのが私の考えです。  それでは、引き続き、どのように改革を進めるべきか。 それぞれの個人や企業に対して公平に、かつ自由に 行動できるような環境をつくるためには、単に一律に規 制を緩和すればよいというものではありません。国際 化や情報化、さらには科学技術の方向性といった流れ を見据えながら、将来に向けて持続可能なきちんとした ルールを設定し、そのもとで個人や企業に創造性ある 自由な経済活動を通じて社会に貢献してもらうという のが、「構造改革」の主旨です。  そして、この「構造改革」において、私が今最もカを 入れているのが、「情報化への適応力」を持つ社会づ くりと「科学技術創造立国」というテーマです。また、コ ーボレート・ガバナンス(企業統治)のあり方も含め、「競 争政策」を通じて不 透明なやり取りがな されないよう、できる 限りオープンなシス テムづくりを目指しま す。さらに、今後は、 大量廃棄から、製品 などを循環的に使用 することによって天 然資源の消費を抑 制し、環境に対する 負荷を引き下げてい かなくてはなりませ ん。そこで、「資源循 環型社会」に転換し ていくため、さまざま なリサイクル法を束 ねた「循環型社会 形成推進基本法」 の成立に全力を挙 げてまいります。

「決断4 地域主権」
「地域」から「国」を作り直す

達成 高度成長以降の地域社会は、「行政」と「企業」 が主に形作ってきたように思います。私たちが本当に 望む「コミュニティー」を実現するためには、行政、企業 に加え、「市民」が地域・街づくりの重要な担い手とな らなくてはならないと考えています。この観点から成立 させた法律が、自主的で積極的な市民活動を支援す る「NPO法(特定非常利活動促進法)」でした。一方、 市民自らが主体的に地域・街づくりを考え、実際に自分 たちの手で作っていくからには、その障害となっている 制度を変えることも必要となります。その意味で、地方 が国の従属ではなく、対等の関係として地域づくりが できるよう、「地方分権一括法」の成立に努めました。

今後の取り組み「NPO法」の重要なポイントは、小さ な政府と豊かな福祉の共存が可能な形で、行政と企 業に市民との関係を工夫していく素地を築いたという 点です。同時に、このことは、今後、市民活動というソフ トウェアに磨きをかけるという課題に着手しなくてはなら ないということでもあります。日本において、本格的な NPOは一般的にまだ未発達なため、NPOに対する寄 付者への税制優遇措置を実現していきたいと考えて います。 「地方分権一括法」にも、まだ不十分な面があります。 というのは、国から地方への権限移譲に財源委譲が 伴っていないことや、受け皿となる市町村が合併によっ て体力をつけなければならないといった問題が残され ているからです。今後とも、市民が自らの意志で、暮ら しやすい地域・街づくりを進めるために必要となる「地 域主権」のための整備に尽カして参ります。

ご意見、お問い合わせは伊藤達也事務所までお気軽にお尋ねください。また、もっと伊藤達也を知りたい!という方は、議事録などもありますのでご連絡ください。

電子メール…tatsuya@t-ito.com