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国会活動報告 号外・普及版

国会活動報告(1998年7月~1999年9月 )


国会活動報告書を提出します

私は、前々回の総選挙(平成5年7月18日執行)以来、「具体的な公約を掲げ、常に改革への取り組みを報告すること」を自らの政治信条とし、今日まで公約達成度の中間報告や国会会期ごとの活動報告をしてまいりました。今回は、これまで約1年間の「国会活動報告書」をここに提出します。

この7年間いくつもの連立政権が誕生するなど、現在の政界はめまぐるしく流動化し、新しい政治体制が確立するまでの過渡期にあります。こうした時代だからこそ、若い政治家が自らの具体的な政策を明らかにしながら、政策で日本全体の構造改革を実現していかなければなりません。

本報告書では、議会での本会議並びに所属委員会の出席率や法案の賛否とその理由、そして委員会での主な論戦を公開しています。特に先の通常国会では、行政に情報公開を義務づける「情報公開法」や、行政改革や地域主権を確立していくための「地方分権一括法」が成立しました。これらは私の重要な公約であり、今日まで長い間議論が続いてきましたが、ようやく実現することができました。しかし、まだその理念や目的を具現化するためには多くの課題が残されており、引き続きそうした重要な問題に取り組んでいきます。

小渕政権が成立して1年が過ぎ、経済再生のためにあらゆる緊急対策が講じられ、一昨年の金融危機以来の最悪期を脱することはできたと思います。しかし、これからは緊急対策の影に隠れてしまった財政赤字をはじめとした本格的な構造改革、社会改革を進めなければ日本の再生はありえません。ラストチャンスともいうべきこの重要な時期に、自らの政治家としての使命を再認識し、「政治を変えたい」という多くの国民の声を忘れることなく、これからも任期の限り全力で行動していく決意です。

衆議院議員 伊藤達也


主要法案賛否とその理由一覧

第143回臨時国会

法案名 伊藤 備考
金融安定化関連法 賛成 ※1
旧国鉄債務処理法 賛成
労働基準法改正 賛成 ※2
対人地雷禁止条約 賛成
金融システム改革法 賛成
中小企業信用保険法改正 賛成
地球温暖化対策推進法 賛成 ※3
宝くじ法 賛成
祝日法改正(ハッピーマンデー法) 賛成 ※4
議院証言法改正 賛成
平成十年度一般会計第二次補正予算 賛成

 

 

第144回臨時国会

法案名 伊藤 備考
平成十年度一般会計第三次補正予算 賛成
市町村合併特例法改正 賛成
地方交付税法改正 賛成
日本開発銀行法等改正 賛成
破綻金融機関融資先中堅事業者に係る信用保険特例臨時措置法 賛成 ※5
新事業創出促進法 賛成 ※6
財革凍結法 賛成 ※7

 

 

第145回臨時国会

法案名 伊藤 備考
平成十一年度一般会計予算 賛成
平成十一年度一般会計予算を撤回の上編成替えを求める動議 反対 ※8

※ 1:破綻前処理策として健全性に応じた条件による公的資金投入、破綻処理策として特別公的管理(一時国有化)とブリッジバンク制度の創設、整理回収機構(日本版RTC)や金融再生委員会の創設など、金融再生を目指した九つの法律。健全銀行に対しては破綻を防ぎつつ、不健全銀行については借り手の保護を重視し円滑な破綻処理を行う仕組みを整えたことで金融危機を防げると考え、賛成した。

※ 2:働いた時間ではなく成果で賃金が決まる裁量労働制の適用対象の拡大、仕事の繁閑に合わせメリハリの効いた働き方を可能にする一年単位の変形労働制の規制の緩和、女子保護規定の撤廃などを定めた法律。働き方の選択肢が増えること、女性の昇進等の機会が対等になることなどから賛成したが、長時間労働を恒常化する手段とならないように今後厳しく監視していきたい。

※ 3:国が温暖化ガスの排出量を規制する基本計画をつくり、これに伴って総排出量の多い事業者に自主的な抑制を促すことなどを定めた法律。温暖化対策は地球の生態系に影響を及ぼす緊急の問題なので、賛成した。

※ 4:2000年から成人の日を1月の第2月曜日に、体育の日を10月の第2月曜日にする法律。余暇の充実、生産性の向上、消費の拡大などが見込めると考え、賛成した。

※ 5:破綻金融機関の融資先である中堅事業者に対する事業資金を円滑にするため、当分の間、中堅事業者の債務に対し信用保証協会による保証を行う特例措置を講じた法律。金融機関が破綻しても事業者に資金が円滑に供給されるシステムを作らなければ、連鎖倒産が起こる可能性があるので、賛成した。

※ 6:小渕内閣の産業再生計画の考え方に基づき、新事業創出のため審査の上ベンチャー等中小企業に資金を重点配分する日本版SBIR制度など、創業期への直接支援を中心とした法律。日本経済の再生のためには、新たな事業の創出を促し、雇用機会を創出していくことが必要不可欠であるので、賛成した。

※ 7・8:厳しい経済情勢を踏まえ、財政構造改革を推進するという基本的考え方は守りつつ、経済の回復を図るため、財政構造改革推進特別措置法の施行を一時凍結する法律。わが国の危機的な経済状況を考えると緊急対策として財政出動もやむをえないと考え賛成した。したがって、野党提出の予算案を撤回の上編成替えを求める動議には反対したが、極度な財政赤字の拡大により過度に将来の負担を残すことのないよう厳しく監視していきたい。

※ 9:特殊法人の情報公開が含まれていないなど不十分な点もあるが、根拠法のなかった中央省庁の行政文書について原則公開を義務付けた点は大きく前進したと考え、賛成した。

※ 10:膨張した現在の一府二十二省庁を一府十二省庁に再編し、省庁からサービス部門を切り離して独立行政法人を設置し業績等を評価することで、行政の透明化、効率化が図れると考え、賛成した。しかし、省庁再編が単なる数合わせに終わらないようにするためには具体化に向けた作業の中で小さく効率の高い政府の視点を骨抜きにされないことが極めて重要であり、今後厳しく対応していきたい

※ 11:国の地方自治体への関与等を必要最小限にし、今まで自治体を縛ってきた機関委任事務を廃止し法定受託事務と自治体独自の判断で政策を行うことのできる自治事務とに再構成する法律。自治体が主体性を持って自らの地域に合った政策を今までより行えるようになることから賛成したが、財源問題については解決することができず、今後しっかり取り組んでいきたい。

※ 12:今国会から官僚が政治家に代わって答弁する政府委員制度を廃止して、国会を政治家同士の討論の場とする法律。2001年の省庁再編時には副大臣、政務官制度が導入される。政治主導の国会運営を行えるように改革することは以前から訴えてきたことなので、賛成した。

※ 13:来年の通常国会から衆参両院に調査会を設置して、憲法について議論を行うことを規定した法律。21世紀に向け憲法問題のあり方について積極的に議論すべきと主張してきたので賛成した。

※ 14:産業の活力を再生するために硬直した企業法制並びに税制の改革、ベンチャー支援を主目的とした法律。今まで具体的に提案してきた内容が法の骨子に取り入れられており、賛成した。

※ 15:民主党が起業家を支援するための包括的な法案を提案したことは積極的に評価したい。しかしその内容が女性のみへの創業支援に重点が置かれていたり、ベンチャー支援税制の改革の方向が多くの創業者や個人投資家に積極的に活用してもらうという視点よりも非課税限度額を引き上げることのみに重点が置かれており、残念ながら反対した。これからは与野党の活発な議論を通じてさらに充実したベンチャー支援の政策を実現していきたい。


 

国会活動レポート
金融安定化に関する特別委員会 平成10年9月14日
金融関連法案 質疑

<伊藤>日本の銀行の自己資本というものが、欧米の銀行に比べて決定的に劣っている面がある。この春、政府は大手銀行に対して資本注入をしたが、その後の様子を見ていると、残念ながら今現在はその効果が十分にでていない。逆に銀行間の体力の格差が広がってしまっている。今、与野党協議の中でもその部分についていろいろな議論がされているが、大蔵大臣はどのような問題意識を持っているか。
<宮沢大蔵大臣>ビッグバンと不良債権処理が同じ時点で起こったということは問題を難しくしていて、本来、政府が銀行に金をつぎ込むということは自慢できるものではない。しかし、日本の銀行がすべてジャパンプレミアムを払っているような今の時代には、システムの信頼を回復するためにやむを得なかったと思う。早く不良債権処理を終わらせて、どこへ行っても競争できるような体質の強い金融機関が生まれなければならない。また行政はそれを妨げることをしてはいけない。しかしその競争から生まれるいろいろな欠点については検査、監督等を厳しくしなければならない。
<伊藤>悪い債権、不健全な債権を見つけるのは非常に難しい点があると思う。しかし、これを分けてやっていかないと、保証協会の保証を拡充しても、あるいは政府系金融機関に多くのお金をつけても、またモラルハザードを引き起こしてしまう。したがって、この部分について新たな知恵をだしていかなければいけないが、堺屋長官の所見を伺いたい。
<堺屋経企庁長官>ある時期から日本の金融機関は担保主義になり、その担保である土地あるいは株式が下落したから、今やどれが信用できるのか判断できる能力がない。これが日本の金融機関が直面している深刻な問題である。明らかに良い企業、悪い企業というのは誰が見てもわかる。真ん中の企業について、担保はないけれども計画はしっかりしているとか、担保はあるけれども今は赤字だとか、こういう企業をどう見分けるかというのはケースバイケースでいろいろだと思う。
<伊藤>金融監督庁のさらなる組織 の充実、あるいは組織を機能させて いくミクロ的な見地からの工夫とい うものが必要ではないかと思うが、 長官の見解を伺いたい。
<日野金融監督庁長官>単に人を増 やすだけでなく、可能な限り検査監 督のノウハウを有する人材を広く、 官のみならず民間にも求めていきた いと考えている。現在、公認会計士 の資格を有する方5名を検査官とし て採用している。こういった視点で 将来はこの検査監督の充実を図って いかなければ、金融がこれからます ます国際化していくのに対してもな かなか対応できないのではないかと 考えている。


商工委員会 平成11年2月10日
一般質疑 

<伊藤>政府はベンチャー企業育成に重点を置きそのための予算を増やしているが、注目すべきベンチャーが次々誕生するような状況にはなっていない。今までの政策の改善が必要である。なかでも店頭公開市場の改革が必要と考えるが、通産大臣の問題意識を伺いたい。
<与謝野通産大臣>ベンチャー企業等への資金調達の円滑化、新規開業の促進のためには店頭市場を活性化して魅力ある市場とすることが不可欠である。昨年12月には日本証券業協会が幾つかの活性化策を実施したが、今後はマーケットメークの本格的な実施、公開前規制の見直し、証券会社以外からの意見の反映等、店頭市場の抜本的改革を積極的に働きかけていく。
<伊藤>欧州の店頭市場のEASDAQが立ち上がりに成功した要因は、民間主導で誰もが儲かる仕組みを作り上げたことにある。改革にあたっては、誰のための改革なのか十分留意する必要がある。また、小さいが極めて専門性の高い証券会社であるマーケットメーカーを次々に誕生させて、値づけ対象銘柄を増やして、店頭市場を活性化させねばならない。さらには、今の店頭市場に対して競争的な、新しい店頭市場をつくるということも重要ではないか。
<与謝野通産大臣>株式市場に投資することは銀行に預金するよりもリスクは高いが、その中から有望な会社がたくさん生まれてくる。今後、投資家の意識の変革、店頭市場上場の際の基準や規制の変革、証券会社、専門家集団の確保が必要である。店頭市場は事業者と投資家の出会いの場であるので、おっしゃる通りに民間主導やより重要な店頭での登録取引ということも課題となろう。
<伊藤>あわせてエンゼル(ベンチャー企業を支援する個人投資家)の育成のためにエンゼル税制のさらなる充実も必要である。次に、倒産法制の現状及び倒産者が再起することが可能な法制度の構築に向けての通産大臣の認識を伺いたい。 <与謝野通産大臣>:倒産法制は手続きが煩雑であり、現在の経済情勢に対応しきれておらず、特に中小企業に大変使い勝手が悪いものとなっている。現在の経済社会に合わせたものに直していかなければならない。手続きが迅速、合理的であるとともに、失敗した者に過重な社会的制裁を加えないようにすべきことは、先生のご指摘の通りである。


商工委員会  平成11年7月28日
産業活力再生特別措置法案 参考人質疑

<伊藤>日本経済の活性化、産業の再生のためには理念ある規制改革が必要である。そして、これからの日本の産業構造や経済のあり方についての大きな戦略を築き上げねばならないと考えるが、この点について今井参考人の意見を伺いたい。
<今井経団連会長>新しい産業を起こすため、企業の高コスト構造の是正のため、そして産業の活性化のためにも、規制の撤廃、緩和、規制制度の改革は極めて重要である。戦略については、日本の予算は省庁別に単年度で組まれており、大きな戦略をもってプロジェクトを行うことに適していない。大きなプロジェクトを進める予算を総理の手元に置き、実行できる体制を整えることが必要である。
<伊藤>日本でベンチャービジネスを育てていくには、①大きな戦略を持ち規制改革をやりぬくこと、②ベンチャーに対する支援税制とリスクマネー市場の整備、③日本版SBIR制度の活用と大学のあり方の見直し、④雇用の流動化と労働力の価値の強化、⑤失敗しても再チャレンジすることを評価する社会風土の醸成、という5つの課題があると思っている。そこで、ベンチャー企業が創業初期から資金調達を行えるようにするには、リスクマネー市場の整備を行わなければ日本でエンゼルをどんどん輩出することにはならないと考えるが、髙橋参考人のご意見を伺いたい。
<髙橋日本総合研究所調査部長>企業が資金調達できる場をさらに強化することと、サプライサイドを強化することの両面が必要と考える。直接間接を問わず市場を通じて資金調達できる場がないことが大きなネックになっており、各地方で独自の資金調達ができるようなシステムを作り上げることが必要と考える。サプライサイドについては、現在リスクをとりたがっていない個人にリスクマネーを供給したいと思わせるような税制が必要と考える。
<伊藤>個人が市場に参加し一緒に産業を起こしていくという気持ちにさせる税制を組み立てねばならない。さらには、金融のチャネルを増やし、現在の資金調達事情を変える必要もあると考える。  次に、日本版SBIR制度を積極的に活用してハイテクベンチャーを育てなければならないが、この制度に調達を行う主要官庁の全てが参加しているわけではない。この点が問題と考えるが、佐伯参考人のご意見を伺いたい。  また、大学が開発研究成果を活用 して新しい産業を起こす中心になれ るか危惧しているが、その点を濱田 参考人にお聞きしたい。
<佐伯全国中小企業団体中央会常任 理事>私も賛成である。製品技術は 各省庁にまたがっているので、各省 庁が横断的な組織でSBIR制度に 参加すればさらに発展できると考え る。
<濱田北海道大学経済学部教授>理 系の研究者で産学協同をやってみた いと考えるものは多く、可能性はあ る。やり方がわからないことが原因 で実際には余り行われていないので、 そこを改善する必要がある。