活動報告

4月18日 憲法審査会 (2013/04/23 )

4月18日に行われた憲法審査会で「財政」について議論を行いました。

伊藤達也の意見表明を以下にご紹介します。

・財政民主主義の実質化・国会による財政統制の充実
・予算単年度主義
・健全財政主義
・習俗的行事への参加に対する公費支出
・私学助成に対する憲法上の疑義

自由民主党の伊藤達也です。日本国憲法の各条章のうち、第7章「財政」につきまして、我が党を代表して意見表明いたします。

まず、「論点表」の区分に従い、「財政民主主義の実質化・国会による財政統制の充実」について申し上げます。

現行憲法90条1項では、決算について、「国会に提出しなければならない」と定めるのみで、国会が決算をどう扱うかについて規定はありません。
実際には、決算は国会への単なる「報告」案件に過ぎず、会計検査院から提出される検査報告等を参考に、各院が独立・別個に決算を審議し、議決を行うという運用を行っているところです。しかし、政府の行った支出に対し、国会が責任を持って十分なチェックを果たすという観点からは、これを運用に任せるのではなく、憲法上の要請とすべきではないかと考えます。そこで、我が党の憲法改正草案では、決算を国会の承認を要するものと、憲法上明記することとしました。

また、国会における決算審査の結果を、予算編成に活用すべきとの議論は以前から行われてきたところであります。
この点に関し、我が党の憲法改正草案90条3項では、内閣は、「検査報告の内容を予算案に反映させ、国会に対し、その結果について報告しなければならない」と憲法に明記することとしました。これにより、会計検査院の検査の実効性についても飛躍的に高まるものと考えます。
以上から、「財政民主主義の実質化・国会による財政統制の充実」の論点については、論点表ではAの立場になります。

続いて、予算単年度主義について申し上げます。
予算単年度主義に関しては、財政規律の維持や国会による財政統制という観点から、その意義も認められるところではありますが、一方で、財政の効率的な運営という観点からは、予算編成の硬直化や年度末の無理な予算執行など、その弊害も指摘されているところであります。

先進国で複数年度予算の要素を取り入れている事例として、例えばイギリスでは1998年、「包括的歳出見直し」により、向こう3年間の省庁別歳出の上限を定めています。予算執行に当り、流用や繰越しを認め、省庁に一定の裁量を与えながらも、支出管理の改善と支出ルールの強化を3ヶ年単位の予算とすることで図りました。これにより従来、毎年の予算折衝で、財務省も各省庁も多大なエネルギーを投入することが是正され、財政の効率的な運営を実現しています。
そしてフランスでは、2008年の憲法改正により、複数年計画を導入し、2年に一度、3ヶ年計画が「財政計画法」として予算法案とあわせて国会に提出され審議可決されています。

そこで、我が党の憲法改正草案は86条4項で、複数年度にわたる予算について、「毎会計年度の予算は、法律の定めるところにより、国会の議決を経て、翌年度以降の年度においても支出することができる。」と、明確な規定を新設しました。これは、現行制度でも認められている繰越明許費や継続費などを憲法上認めることとしたものです。論点表では、A3の立場です。

次に、健全財政主義について申し上げます。現行憲法にはこれに関する規定はありませんが、財政の健全性の確保を憲法上明記し、財政運営の指針とすることは、大きな意味があると考えます。
我が党の憲法改正草案では、83条2項を新設して「財政の健全性は、法律の定めるところにより、確保されなければならない。」とし、財政の健全性を、憲法上の価値として明記しました。論点表では、Aの立場です。
なお、具体的な健全性の基準については、我が党がかつて提出した「財政健全化責任法案」のような法律で規定することを想定しています

次に、公の財産の支出制限のうち、習俗的行事への参加に対する公費支出について申し上げます。
政教分離原則については、第3章、人権の章でも申しましたが、地鎮祭への玉串料の支出など、ごく一般的な社会的儀礼・習俗的行為の範囲を超えないものについては、公共性のある行為として公費の支出が認められるべきと考えます。これについてはこれまでも裁判が提起されるなどしてきましたが、憲法上の疑義が生じないよう、明文改憲が必要と考えています。論点表のAの立場です。

次に、私学助成の憲法問題について申し上げます。
現行の憲法89条は、「公の支配」に属しない慈善・教育・博愛の事業に対する公金の支出等を禁止しています。これを文言通りに読めば、私立学校に対する国の助成が違憲であるとの疑いを払いきれません。

解釈上は、私立学校もその設立や教育内容について国等の一定の関与を受けていることから、「公の支配」に属し、私学助成は合憲であるとされております。しかし、私立学校の建学の精神に照らして考えると、「公の支配」に属するというのは、適切な表現ではないと思われます。

そこで、我が党の憲法改正草案においては、「公の支配に属しない」の文言を改め、国等の「監督が及ばない」慈善・教育・博愛事業への公金の支出等のみを禁じることとし、私学助成が憲法違反ではないことを明らかにしました。論点表のAの立場です。

以上、自由民主党を代表しての意見表明といたします。