活動報告

【動画】これからの国のかたちを創る税制抜本改革

企業人政治フォーラムの皆さん、衆議院議員の伊藤達也です。シリーズの締めくくりとなる今回は、税制改正、この国のかたちを考えるというテーマで国と地方のあり方を含めお話しをさせていただきたいと思います。

秋には税制改革が政治の大きなテーマとなります。安易な増税を阻止するためにも、国と地方の役割分担の見直しはとても重要な課題です。地方に比べ国の財政赤字は大きなものになっていますが、基礎的財政収支黒字化後の財政再建の目標として、国、地方で債務残高のGDP比を安定的に引き下げるのか、国単独なのか、それとも国と地方の財源の分担の見直しをやったうえでのことなのかということでは、まったく違ってきます。

例えば、国の債務残高を安定的に引き下げるというケースを試算すると、消費税をかなり上げないといけないことになってしまいます。だからといって今すぐに増税しないと、経済財政運営に対する信任が崩れる状況ではないと思っています。

高齢化に伴う医療、年金、介護など社会保障分野での支出増が見込まれていますが、歳出削減や安定的な経済成長によって、増税なしでもプライマリーバランスは改善することが期待できます。また、急激に金利が上昇しないように歳出改革や資産圧縮など、経済財政一体改革のきちんとした設計図を昨年、描いてきました。

つまり、今年の秋の税制改革はマスコミで先行しているような、数字合わせの増税論議を行うタイミングではありません。基礎的財政収支の回復を目指して、増税なき財政再建の旗をかかげ、着実にメニューをこなすことが肝要です。安易な増税は改革努力に水を差すものであり、百害あって一利なしです。

しかし、より中長期的には歳出削減には限界が訪れます。団塊世代が後期高齢期に入れば社会保障費は膨張しますし、公共投資の削減を繰り返すだけでは成長国家のためのインフラ整備が遅れてしまいます。つまり、少子高齢化を乗り越えていく国のかたちになっていないことからくる限界が予測されるのです。

安倍政権では公的部分の効率化のために公務員制度改革が始まりましたが、次に乗り越えなければいけない課題の一つが、道州制や省庁再々編です。例えば地方支分部局、都道府県と市町村で行われている二重、三重の行政を正し、21世紀型行政への転換を目指すことです。税制改革の場で我々が議論しなければならないのは、中長期的な視線に立った国のあり方についての骨太な議論です。そうでないと、単に国が赤字だから増税をして歳入を増やせばいいという国民負担を強いるだけの議論になってしまいます。

成熟社会に突入した現在、地域社会を再生して地域の実情に合った、住民が主導する地域づくりに舵を切るべきです。経団連も提唱している道州制は、理想の地域社会を構築するための有効な切り札です。道州制は分権革命です。本格的な導入には地域自治体、住民の合意形成や体制整備のため、ある程度の時間が必要です。当面の処置として各地方、ブロックにバラバラに存在し、中央の縦割り行政を展開している各省の地方支分部局を統合し、各ブロックに地方分権庁を創設することが検討されるべきだと思います。

地方分権庁はいったんこれまで中央省庁から配分されてきた予算や権限を引き継ぐこととし、関係自治体と協議をしたうえで地域の実情をふまえた独自の予算要求、政策実施が行えるよう制度改正を早急に行い、道州制を導入するための先導的な役割を果たさせることが重要だと考えています。

このような大きな課題に取り組むため、安倍政権を私もしっかり支えていきたいと思います。