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国会活動報告 【3月】

◆未来志向の金融システム構築のために◆

金融担当大臣を拝命してから半年がたとうとしていますが、わが国の金融をめぐる局面は変わろうとしています。

これまで日本経済を苦しめてきた不良債権問題を解決するため「金融再生プログラム」の諸施策を実施してまいりました。この結果、不良債権比率は着実に低下し、2005年4月期には、2002年3月期の不良債権比率(8.4%)をおおむね半減させるという目標が視野に入ってきました。

現在は、不良債権問題への緊急対応から、将来の望ましい金融システムを目指す未来志向の局面へと転換しつつあります。そこで、新たなステージに立って利用者重視の活力ある金融システムを構築していくために「金融改革プログラム~金融サービス立国への挑戦」を策定したところです。

本年4月からの2年間、金融行政の指針ともいえる「金融改革プログラム」の諸施策を着実に実施することによって、利用者の満足度が高く、国際的にも高い評価が得られるような金融システムを、官の主導ではなく、民の力で実現をしていきたいと思います。

こうした新たな金融改革の取り組みと、具体的なプログラムについて、海外の金融監督当局のトップや中央銀行総裁に、直接説明をし、意見交換を行っています。世界経済の活力を維持していくためにも、アジアの金融資本市場の発展は重要であり、その中で日本の果たすべき役割はとても大きいと考えています。

今後も、経済の国際化の更なる進展とわが国経済の持続的成長に資するためにも、構造改革の一環としての金融改革を、積極的に進めていきたいと思います。

◆身近な課題にも果敢に挑戦◆

◇ペイオフ解禁拡大◇
4月1日から、予定通りペイオフ解禁を拡大し、日本の金融システムが公的資金に頼らない、自立した、国際的にも平常時の状態になったことを明らかにしてまいります。
これまでは、金融機関が多額の不良債権を抱えており、金融システムに対する不安の高まりなどを背景に、臨時異例の措置として平成8年から預金全額保護の特例措置がとられてきました。預金全額保護は、万が一金融機関が破綻しても、預金を全額払い戻せるよう、金融機関が預金保険機構へ納めている預金保険料でまかないきれない部分を税金でカバーするという仕組みです。この特例措置は、平成14年4月に定期預金に関してはすでに解禁されていましたが、今回の解禁拡大により、国民の税負担まで求めて預金を全額保護するという体制から、預金が一部カットされることもありうるという本来の体制に完全に移行することになります。

ペイオフ解禁拡大により、預金者は厳しい目で、自分の大切なお金を預ける金融機関を選別するようになりますので、金融機関側としても、一段と緊張感を持って経営基盤の強化と収益力の向上、また丁寧な情報開示に取り組むことが期待されます。この結果、金融システム全体の効率化、ひいてはわが国経済の活力の維持・向上につながるものと考えています。

◇偽造キャッシュカード問題◇
知らないうちに銀行のキャッシュカードを偽造され、預金が引き出される事件が急増しています。

私は、今までの要請に加え、さらにこの問題への対応を進めるよう指示するとともに、被害の実態調査を行いました。そして、本年2月に取りまとめられた調査結果を受け、預金を取り扱う全金融機関に対しICカード等による偽造防止や一日当たりの引き出し限度額の引き下げ、被害者に対する補償など対策の徹底を要請いたしました。また、同時に有識者による「偽造キャッシュカード問題に関するスタディグループ」を立ち上げました。被害を受けた預金者への補償のあり方等について4月下旬を目処に結論を得られるよう、検討を進めています。

偽造キャッシュカード被害の実態調査結果(概要)

2004年度上半期の偽造キャッシュカード被害件数は117件で4億6800万円に達する。
被害にあった預金口座の90%が関東地方に集中。
100万円超の被害は、60%。
引出し回数がもっとも多いのは、深夜のコンビニATM。
被害にあったカードの暗証番号が判明しているもののうち、約6割が生年月日を使用。
スキミング被害にあった心当たりのある場所は、ゴルフ場が最多。

◇金融経済教育◇
金融をめぐる状況も、個人を取り巻く金融環境も変わりつつあります。そうした中で、人生を豊かにしていくために、ライフステージの様々なお金との付き合い方を学んでいく、そういう機会を増やしていくことが非常に重要になっていくと考えます。

そこで、今後の金融教育をどのように充実すべきか等について、社会人教育や義務教育の現場に精通されている方、金融経済教育に精通されている有識者の方々に、ご議論いただくため、「金融経済教育懇談会」を大臣の私的懇談会として設けることといたしました。

◇利用者保護のために◇ 
「金融改革プログラム」は、利用者の利便性の向上と利用者保護の徹底を一つの重要な柱として掲げています。

銀行、証券、保険が提供する金融商品・サービスの販売チャネルが広がったり、逆に一つの金融機関に立ち寄るだけで多様なサービスを受けることが出来れば、今までより便利になります。こうした利便性の向上につながるように環境を整備していきます。

一方、利用者保護を徹底させていくために、時代にあった利用者保護の法律的な枠組みを作っていく必要があると考えています。最近では、アイドルの卵に投資する「アイドルファンド」や学校が資金調達を目的に生徒の父兄などを対象に発行する「学校債」など、新しい金融商品が次々に登場しています。こうした新しい金融商品やサービスは、従来の定義に当てはまらず、投資家保護の仕組みがありません。法律の隙間を突いて、不正販売や悪質な勧誘を行う悪質業者の横行を懸念しています。このような問題に個別の法改正によって対応するのではなく、現行法を抜本的に見直し、さまざまな金融商品を網羅的にカバーできる新らな法律「投資サービス法(仮称)」の制定を検討してまいります。


◇国際的にも活躍◇

大臣就任後、来日する海外の金融監督当局責任者との会談を積極的に重ねただけでなく、昨年12月26日から27日にかけて、北京を訪問し、金融担当大臣としてはじめて劉明康銀行業監督管理委員会主席と会い、周小川中国人民銀行総裁とも会談を行いました。日本と中国の経済連携が深まる中、金融面でもつながりは強まっています。今回自ら中国を訪問させていただき、両国の責任者同士の信頼関係を築くことができました。

また、1月5日から9日にかけては、英仏両国を訪れ、マッカーシー英国金融サービス機構長官、キング・イングランド銀行総裁、ノワイエ・フランス銀行総裁らと会談を行いました。日本及び英仏を含む欧州における金融セクターの動向や金融行政の取組み、経済状況について意見交換をさせていただき、信頼関係をさらに深めてまいりました。

◆都議会議員とともに◆

伊藤は、調布市・狛江市選出の遠藤衛都議、三鷹市選出の吉野利明都議、稲城市・多摩市選出の小礒明都議とともに、活動してまいりました。この夏の東京都議会議員選挙にむけて、皆様の温かいご支援を賜りますようよろしくお願い申し上げます。


 

 

『国会活動報告 【3月】1 (pdf)』

『国会活動報告 【3月】2 (pdf)』

『国会活動報告 【3月】3 (pdf)』

 

 

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