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国会活動報告 No.40

経済再生に向け、本格的な改革構造、社会改革の実現を


新春の集いにて

衆議院の定数是正をめぐって冒頭から与野党が全面対決し、二週間も国会が空転するという異常なスタートでしたが、国会審議も本格的な論戦がおこなわれています。今国会でも引き続き、経済対策、科学技術政策、そして安全保障問題や法務行政を担当し、全力で国政の活動に取り組んでいます。

景気は、株価が2万円台に向かい、平成11年度の経済成長も0.6%程度を達成し得る状態になるなど回復を示す指標が相次いできました。小渕政権が誕生して今日まで経済再生のためあらゆる分野で「緊急対策」を実施し、ようやく最悪期を脱することができたと思います。

しかし、日本経済が長期にわたり低迷してきたのは、単にバブルが崩壊し、資産デフレによって金融危機が生じ成長が鈍化したからだけではありません。この10年間、世界の市場経済の人口が60億人に倍増し、情報通信革命の進展により市場の質が大きく変わる中で、日本の経済構造がそれに対応できなくなっていることにも原因があります。さらには、今までの高度成長を支えてきた日本の社会制度、いわゆる日本型システムの限界が露呈し、日本の社会保障や雇用の安心感、土地投資に対する期待感、銀行に対する信頼感などが、一気に崩れてきていることにも大きな問題があります。

このようにこれからの課題は、成長率の引き上げから構造問題への取り組み、さらには技術革新による市場経済の質的変化に対応するための社会改革と、2つの次元の異なる政策を強力に推進することにあります。それができなければ、経済再生のチャンスを逃がすばかりか、将来の負担だけが累増し、財政破綻という危険な袋小路に追い込まれてしまいます。

多くの日本人が、潜在意識の中にある危機感を行動に結びつけられないのは、結局のところいくつものタブーに呪縛されているからではないかと思います。戦後の高度経済成長を支えてきた中央集権体制、社会保障、終身雇用制度、教育、安全保障など、議論することに尻込みしてしまう日本独特のタブーが、改革を阻む大きな要因となっています。それを打ち破りタブーを越えた議論と行動をすることが、特にしがらみや、権力構造の中に組みこまれていない若い政治家の使命だと思います。

98年の金融危機で露呈したように、官主導による改革の限界は明らかです。金融危機を突破口に、経済構造に地殻変動が起き、政治の構造をも大きく揺さぶっています。財政政策をフル出動させて金融危機を克服したつもりが、今では政府そのものが容赦のない格付けの対象になりつつあり、利益誘導型政治のその基盤が音をたてて壊れようとしています。

小渕政権の誕生とともに与党の一員となり、今まで経済再生に全力を尽くしてきましたが、経済的変化が、日本の政治構造を大きく揺さぶっていることを今まで以上に実感をしています。しかし、残念ながら野党からは、党内の事情からか改革の具体案が提示されてきません。だからこそ、与党の立場からもしっかりした改革の基軸を打ち出して、さらなる改革勢力の結集を図っていかなければなりません。ラストチャンスともいうべきこの重要な時期に、自らの初心と政治家としての使命を再認識し、「政治を変えたい」という多くの国民の皆様の声を忘れることなく、これからも任期の限り全力で行動していく決意ですので、今後ともご指導のほど心からお願いいたします。

衆議院議員  伊藤達也


第147回通常国会で審議予定の主な法案 
(第147回通常国会…平成12年1月20日から6月17日までの150日間)

◎犯罪被害者保護関連法案 
被害者が公判を優先的に傍聴できる権利を規定。性犯罪の告訴期間(6か月)を撤廃。

◎商法改正案 
企業の事業部門の分離・独立を容易にする企業分割制度を導入。

◎預金保険法改正案 
ペイオフ凍結解除を2001年4月から1年延期。

◎金融サービス法案 
金融機関が金融商品を販売する際に十分な説明を行わなかった場合、損害賠償責任を負わせる。

◎年金改革関連法案(継続) 
厚生年金の報酬比例部分の支給開始年齢を段階的に65歳へ引き上げ。

◎医療保険改革関連法案 
高額療養費の自己負担限度額や入院時の食事代を引き上げ。

◎確定拠出年金法案 
運用実績次第で年金の受取額が増減する確定拠出型年金を2001年から導入。

◎児童手当法改正案 

児童手当の支給対象を現行の3歳未満から未就学児童に拡大。

◎雇用保険改革関連法案
雇用保険料率を現行の0.8%から1.2%に引き上げ。自発的失業者と非自発的失業者とで失業給付に格差を設ける。

◎産業技術力強化法案
産学連携を進めるため、国立大学の技術系教員の民間企業役員兼務を認める。

◎高齢者・身障者等移動円滑化促進法案(バリアフリー法案) 
鉄道駅や空港などの公共交通機関施設にエレベーターやエスカレーターなどの設備を促進。

◎著作権法改正案 
著作権を侵害した法人への罰金額の上限を現行の300万円から1億円に引き上げ。

◎※公職選挙法改正案(継続) 
衆議院比例代表定数を20削減。

◎※永住外国人地方参政権付与法案 

永住外国人に都道府県・市区町村の首長・議員選挙の選挙権を認める。

◎警察法改正案 
国家・都道府県公安委員会に、警察庁や都道府県警に対する監察指示権を付与。

◎再生資源利用促進法(リサイクル法)
改正案 ごみが発生しにくい製品などの開発を企業に求める。

◎※自然エネルギー利用促進法案
太陽光、風力などの自然エネルギーを利用した発電事業者に国が助成。

◎ヒトクローン禁止法案
クローン技術を使ってヒトクローンを作ることを禁止。

◎※祝日法改正案
4月29日の「みどりの日」を「昭和の日」に変更。

※は議員提出法案

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