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国会活動報告 No.38

第146回臨時国会(99年10月~12月)活動報告
日本経済を支える中小企業への対策を中心とした「中小企業国会」として招集された第146回臨時国会が、99年12月15日閉会しました。

今国会でも引き続き商工委員会の理事として、国政の最重要課題であった中小企業関連の諸法案を担当し、共産党を除くすべての政党の方々に賛成を頂き、成立させることができました。特に、中小企業に対する金融支援を強化した「中小企業事業活動活性化法」やベンチャー支援を拡充した「新事業創出促進法」、企業経営に失敗しても再び挑戦できるような社会をつくるための、倒産法制の改正を目的とした「民事再生法」の成立は、私が国会の場で具体的に提案してきたことであり、公約をさらに実現することができたと思います。

さらに、党の法務部会副部会長として取り組んだ「商工ローン規制関連法」や「オウム真理教対策関連法」、科学技術部会長代理として立案にたずさわった「原子力災害対策特別措置法」を成立させることができました。

そして、15ヶ月予算の考えに基づいて成立した今回の第二次補正予算、いわゆる経済対策は従来型の公共事業から情報通信の整備や教育関連施設の充実などに重点を移し、例えばインターネットを使っても通信料金を低額、一定にする定額制の促進やインターネットを完全に学校に普及させることをもりこんだ内容となっています。

1990年代最後の年であったこの一年の国政をふりかえると、経済を再生させ、政治、行政全体を改革するための土台づくりは、質量ともに記録的な法案を成立させることでかなりすすんだと思います。しかし、これからは個別の利害が激しくぶつかり合い、膨大な財政赤字をかかえた中で、本格的な構造改革、社会改革を進めなければ、日本の新生はありえません。21世紀に向けたこの重要な時期に、皆様の期待に応えられるよう一層身を引き締め、国政の活動に全力で取り組んでいきます。

今までのあたたかいご指導ご支援本当にありがとうございます。ミレニアムに向け皆様の更なるご多幸とご健康を心からお祈りいたします。

衆議院議員   伊藤達也


主要法案賛否とその理由一覧

法案名 伊藤 備考
平成十一年度一般会計第二次補正予算 賛 成
中小企業基本法改正 賛 成 ※1
民法改正・任意後見契約法 賛 成
オウム真理教対策関連法 賛 成
民事再生法 賛 成 ※2
原子力災害対策特別措置法 賛 成
中央省庁等改革関係法施行法 賛 成
政治資金規正法改正 賛 成
新事業創出促進法改正 賛 成 ※3
中小企業事業活動活性化法 賛 成 ※4
良質な賃貸住宅等の供給促進特別措置法 賛 成 ※5
出資法・貸金業規制法改正(商工ローン規制関連法) 賛 成 ※6
特定債務の調整促進のための特定調停法 賛 成
動物の保護及び管理に関する法改正 賛 成

※ 1:大企業との格差是正という基本理念を転換し、中小企業を「多様で活力ある独立した経済発展の担い手」と位置付け、政策体系を①経営革新や創業に向けての自助努力支援、②競争条件の整備、③セーフティーネットの整備という3本柱に再構築するとともに、中小企業者の範囲を経済の実態に合わせ拡大した法律。一律・硬直的な保護策が能力ある企業や意欲ある創業期の企業の成長機会を奪い全体の活力を喪失させていることなど、制定してすでに36年が経過し現状と合わなくなっており、産業構造の変化を踏まえた改革を行うべきと考えていたため、賛成した。

※ 2:経営不振になった中小企業等が、破綻する前に再建手続きに入れるようにする法律。破綻前でも債務の支払いが事業の継続に重大な支障をきたす場合には、債務者、債権者双方の申し立てによって再建手続きに入ることを認めるほか、事業の継続に必要な資産を差押え等から守るため、裁判所が強制執行の包括的禁止令など資産保全のため強力な手続きを取れるようにした。2月の商工委員会にて具体的に提言した内容が取り入れられており、一度失敗したものが再チャレンジできる公平、透明、迅速なシステムを整備することは経済の活性化に必要なので、賛成した。

※ 3:著しい成長発展を目指し新たな事業分野の開拓を図る事業者(株式公開志向型ベンチャー企業)を支援するため、ストックオプションの付与上限の引き上げと付与対象の拡大、無議決権株式の発行要件の緩和等を行うとともに、「目利き」と「育業」のできるベンチャーキャピタリストの育成と活用のために公的機関による出資制度を創設する法律。ベンチャー企業が人材・資金を円滑に確保でき、成功した際それに見合った魅力的な報酬が得られるようになることで、リスクを恐れず急成長を目指すベンチャー企業が多く創出して経済の活性化が果たせると考えられ、賛成した。

※ 4:中小企業を活性化するため7つの法律の改正案を束ねた法律。担保が乏しく融資が受けにくかった中小・ベンチャー企業向けに、事業の将来性を加味した資金供給制度を中小企業金融公庫に創設することや、中小企業が発行する私募債に対し、信用保証協会の保証を付与する制度を導入することなどを定めている。中小・ベンチャー企業が銀行だけでなく直接金融などさまざまな方法で資金を調達できるようにすることは事業活動の円滑化、発展に資すると考え、賛成した。だが、本来株式や社債は発行する企業の信用度に応じて評価されるべきであり、信用保証協会による保証の付与は直接金融が日本に根付くまでのつなぎと考えている。

※ 5:貸主の正当事由の有無にかかわらず、当初定めた契約期間が終了すれば確実に賃貸借関係が終了する定期借家権制度を認めた法律。既存制度からの切り替えができない等不十分な点もあるが、借家市場の流動性を高め、広く安く良質な住宅供給を促すための端緒となると考え、賛成した。

※ 6:商工ローン問題に対処するために、罰則を伴う上限金利を29.2%(現行40.004%)までに引き下げ、脅迫的な取り立てに対する罰則を強化し、連帯保証人が知らない追加融資の分まで返済責任を負う「根保証契約」について融資額を増やすたびに書面での通知義務を定めた法律。商工ローンによる被害の拡大を早急に防ぐ必要から賛成したが、問題の本質は間接金融しか資金調達手段のない中小企業が銀行の貸し渋りにより資金を調達できなくなり、高金利でも商工ローンから借りざるをえない現状であり、資金調達手段の多様化など中小企業政策を今後とも全力を尽くして行いたい。