VOICE NET

■2008/08/25 VoiceNet 夏号(2008年8月25日号)

・新たな決意で改革に臨む
・「せんたく」議連の事務局長に
・予算委員会で質問に立つ
・行政のムダ削減で社会保障や教育の充実

・総理補佐官として社会保障のグランドデザインを描く
年金・雇用(所得保障・確保分科会)
医療・介護(サービス保障分科会)
少子化・ワークライフバランス(持続可能な社会の構築分科会)
「5つの安心プラン」

新たな決意で改革に臨む

初当選させていただいてから、この7月で丸15年の節目を迎えました。

私の政治の原点は、納税者の視点で国家経営を見据えることです。つまり、税金を利権の分捕り合戦の手段とし、無駄に遣い、結局国民に増税を押し付ける「バラマキ政治」ではいけないという問題意識です。

世界が経験したことがない少子高齢社会を乗り越えていく社会をつくり上げるためにも、政治や行政の生産性を向上させながら、国民の方々の将来に対する不安を払拭して、安心できる社会保障制度のグランドデザインを描く必要があります。

2月予算委員会で質問に立った翌日、総理から社会保障担当の総理補佐官の就任を打診されました。躊躇はありましたが、総理の、国民生活に密着した改革を進めたいという熱意にこたえるべく、毎週のように総理と意見交換をしながら、社会保障の制度改革に取り組んできました。

6月には、担当する社会保障国民会議で中間報告を取りまとめ、持続可能性に力点を置いたこれまでの改革成果の上に立ち、今後は社会保障の機能強化を図ることが進むべき道であるという、グランドデザインの方向性を明確にしました。

経済成長と財政規律の下で、「制度の持続可能性・安定性」を維持しながら、国民の安全と安心を支える社会保障を構築することが最大の課題です。そのためには、単に財源を増やせばいいのではなく、医療・介護・年金など、制度の担い手と受け手の間で、将来にわたって効率的にサービスが行われていけるような仕組みを再構築し、サービスの質と利便性、持続可能性を高めていくための改革に取り組まなければなりません。

現在、与野党ともに「バラマキ政治」に戻る傾向がみられます。しかし、バラマキ政治の延長に日本の将来はありません。もう一度、経済社会改革の方向性を示し、世界経済が大きく揺れ動く中で、それに対応できる21世紀型の行財政システムを構築していかなくてはなりません。

今が、政治の正念場です。政局のための政治ではなく、また官僚の上に乗った政治でもなく、有権者の方の思いを政策に変えて、改革の明確な道筋を示し、新しい時代を切り拓いていく覚悟です。

「せんたく」議連の事務局長に

東国原知事、橋下知事等、改革派首長等が「地域・生活者起点で日本を洗濯(選択)する国民連合(せんたく)」を結成しました。私はこの「せんたく」と連携する超党派の議員連盟「せんたく議連」の発起人ならびに自民党事務局長となりました。

せんたく議連は、脱官僚、生活者起点を基本とし、真に政策で競い合う政治を目指しています。党の事情は乗り越えて、質の高い議論を進め、まとめられるものはまとめる、政党が競い合うものは競い合うという活動方針で、オープンな運営に努めています。

予算委員会で質問に立つ

2月7日、衆議院予算委員会で質問に立ちました。

経済財政一体改革の理念と日本経済の現状

日本経済は今、二つの意味で大きな岐路に立っています。 第一は、サブプライム問題に端を発する世界経済・金融の混乱と、わが国経済自身の景気回復のテンポの鈍化にどう対応するかという点。 第二は、今後他の国が経験したことのないスピードで突入していく少子高齢化社会をどのように乗り越え、活力と誇りある国を築いていくかという点です。 成長に対する政治の確固たる意思表明がマーケットにとっても必要だと訴えました。

歳出改革と官民給与格差

歳出改革は、単なる数字あわせではありません。行政の無駄を廃し、非効率な制度改革を正し、成熟社会を担う、生産性が高く信頼できる21世紀型の行財政システムをつくることが本来の姿です。ところが、歳出構造をみると、最大の支出項目である社会保障費31兆円とほぼ同じだけ国と地方の公務員人件費がかかっています。
地方における官民の給与格差は下のグラフのとおりです。地域が疲弊しているとの指摘は多いですが、最大の地場産業が市役所では地域の発展は望めません。限られた財源を、官の高い人件費を守るために使うのではなく、民間の雇用を作り出す方向に使うべきだと訴えました。

行政のムダ削減で社会保障や教育の充実を

公務員人件費へさらに切り込むと同時に、行政の仕事を棚卸しし、ムダを徹底的に排除することが必要です。これまで各省庁で行ってきた公益法人見直しの取り組みでは不十分です。7月25日、福田総理の指示で、行政の「無駄ゼロ」に取り組む有識者懇談会が設置されました。
マッサージチェアや居酒屋タクシーなどの根絶はもちろんのこと、さらに〈1〉公益法人への支出見直し〈2〉旅費など業務効率化〈3〉不要な政策の廃止――などの観点から無駄な支出を洗い出していきます。この検討結果を平成21年度予算に反映させ、社会保障などの重点施策に当てていく方針です。

総理補佐官として社会保障のグランドデザインを描く

社会保障国民会議は、将来にわたり持続可能で皆が安心できる社会保障制度を実現するために、幅広い視野から、国民の目線に立って検討を進めるため、総理の指示で1月に設置されました。所得確保(雇用・年金)、サービス保障(医療・介護・福祉)、持続可能な社会の構築(少子化・仕事と生活の調和)の3つの分科会を含め議論を重ね、6月19日中間報告を取りまとめたところです。

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【3-1】
社会保障国民会議(議長・福田総理)

年金・雇用(所得保障・確保分科会)

少子高齢化で年金財政が厳しさを増す中、社会保険庁のずさんな行政への不信や、未納・未加入問題への対応の必要性などから公的年金制度を巡って、各方面から様々な改革案が提案されています。そこで、これらの提案を念頭において、給付と負担の関係について客観的・中立的に複数の試算を行い、 5月19日公表いたしました。
この試算結果が、今後の議論の共通の土俵として出来るだけ幅広く共有され、公的年金制度の改革につながるよう努めてまいります。
安心の老後のためにも、また豊かな経済社会の維持のためにも、もっとも重要なのは現役世代の活力です。大企業の社員のみではなく、全ての働く人が安心して暮らし、豊かな老後を送ることができるような社会づくりを目指します。

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【3-2】
若者キャリアセンター「ジョブカフェちば」(船橋市)

【3-3】
谷本・石川県知事からキャリア教育支援施策について説明を受ける

医療・介護(サービス保障分科会)
認知症診療で成果をあげている杏林大学病院や、杉並のグループホームに伺いました。また、石川県や山形県、岩手県を訪ね、地域医療再生の取り組みも拝見しました。
費用を抑えて、質の高い医療・介護サービスを提供していくためには、IT導入、標準化に始まり、もう一歩踏み込んだ医療~介護~福祉~保健の連携と一元化、医療・介護サービス提供体制の再構築などといった構造改革を断行すること、それによる費用対効果を最大限に導く施策が必要です。
また、人口減少と高齢化が進む状況では、地域にあるすべての医療機関がすべての診療科をそろえているような今まで通りのあり方を続けていくことは現実的に難しくなります。病院単位ではなく、地域全体で医療や介護サービスをいかに提供するかという発想が必要です。集約と医療機関の役割分担が求められていくのだと思います。
地域の住民の方のニーズに応えられるような地域の医療体制を支援する政策をパッケージにして、地域医療の構造改革を進めてまいります。

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【3-4】
杏林大学医学部付属病院「もの忘れセンター」(三鷹市)/高齢医学教授でもの忘れセンター長を務められる鳥羽研二教授から、最先端の高齢者認知症治療の現状の説明をうける

【3-5】
遠野市助産院(岩手県)/妊婦遠隔検診システムを視察

【3-6】
グループホーム方南(杉並区)/「通い(デイサービス)」、「泊まり(ショートステイ)」など、高齢者認知症対応も含めた介護ケアを総合的に提供する施設として、「まちづくり」を念頭に置いた生活支援を行う施設

【3-7】
恵寿総合病院(石川県)/ITによる効率化事例、医療・介護・福祉のワンストップサービスなどの取り組みを伺う

少子化・ワークライフバランス(持続可能な社会の構築分科会)
子育て現場のさまざまな声をお伺いしています。「ご主人の帰りが遅い」「家で一人で子育てしていると煮詰まってしまう。助け合える関係をつくれる場所がもっと必要」「働く母親にとって、保育園入園の壁、小1の壁、小4の壁がある」など、切実なご要望やご指摘をお聞きしています。
子育て支援策や少子化対策が、もっと使い勝手がよく、ニーズに合ったものとなるよう、制度の改革や運用改善を行っていかなくてはなりません。そのためにも、お父さん、お母さんの生の声の中にあるさまざまな知恵をぜひお伺いしたいと思います。首相官邸ホームページに「子育て応援プロジェクト」サイトを立ち上げ、ご意見、ご提言の募集をしています。私の事務所へ直接ご連絡いただいてももちろん結構です。いただいたご意見を参考に、さらに子育て支援策を充実してまいります。

【4-1】お母さんの声を聞かせて下さい・ミニ集会(狛江市)

【4-2】お母さんの声を聞かせて下さい・ミニ集会(調布市)

【4-3】お母さんの声を聞かせて下さい・ミニ集会(横浜市)

「お母さんの声を聞かせて下さい」ミニ集会
随時開催しています。企画して下さる方も募集中。詳細は事務所までご連絡ください。(042-499-0501)

「5つの安心プラン」
「将来に希望を持って安心して働き、安心して子どもを生み育てられること」、「病気になっても安心して医療を受けられること」、「いくつになっても安心して働き、住み慣れた地域や家庭で安心して暮らせること」。これらは誰もが求める「安心」です。6月にまとめた社会保障国民会議の中間報告を踏まえ、緊急に対応すべき事項について「5つの安心プラン」を公表しました。

5つの安心プラン
① 高齢者が活力を持って、安心して暮らせる社会
② 健康に心配があれば、誰もが医療を受けられる社会
③ 未来を担う「子どもたち」を守り育てる社会
④ 派遣やパートなどで働く者が将来に希望を持てる社会
⑤ 厚生労働行政に対する信頼の回復

海外視察報告
7月7日~13日の日程で、アメリカ(ワシントンDC)、オランダ(ハーグ)へ出張し、社会保障や中央銀行の関係者との面会や、関係施設の視察を行いました。

アメリカ
米国においても社会保障費の拡大は財政上も大きな問題です。特に、医療・介護費については、高齢化や技術進歩に伴い近年急増しています。社会保障庁、歳入庁、労働省の方と面談、介護・終末期ケアのワシントンホームとジョージワシントン大学病院の救急医療室を視察しました。また、FRB(米国連邦準備銀行)コーン副議長を訪問し、米国経済の見通し等について、幅広く意見交換をしました。
【3-8】寄付やボランティアの役割の大きさが印象的なワシントンホーム

【3-9】内国歳入庁 シュルマン長官


オランダ
オランダでは、健康・福祉・スポーツ省、日本の経団連にあたる産業・使用者連盟、社会・雇用省を訪問するとともに、オランダ中央銀行、経済財政諮問会議にあたる社会経済評議会カン議長と面談しました。
オランダは世界トップ10以内の一人当たりGDPを維持するために、1)オープンな経済を維持し、2)今後10年間の労働需要の増加と人口減少に対処し、3)国際的な競争を通じ、働く人々の適応力、知識レベルを向上させる労働市場の抜本改革に取り組んでいます。
各国は改革を加速、深化させています。日本は改革疲れで一休みをしている間はありません。特に、労働市場の抜本的な改革が喫緊の課題であると強く感じました。

【4-4】社会経済評議会カン議長と世界経済の動向等について意見交換