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国会活動報告 2002夏号

あの時の約束は、今・・・
公約達成度中間報告書


選挙公約の達成度をご報告します。 

私は、93年の初当選以来「具体的な公約を掲げ、常に改革への取り組みを報告すること」を自らの政治信条として、今日まで公約達成度の報告や国会会期ごとの活動報告をしてまいりました。今回は前回の総選挙(2000年6月25日執行)での公約に基き、「伊藤達也の公約達成度中間報告書」を提出します。

これは自己評価であり、また達成された政策も一人の力で成し得たものではありませんが、「官主導体制を打ち破って、もっと民間の力を信じ、市民社会に根ざした活力ある国づくりを」という理想に向かって、初心を忘れず、全力で走りつづけてまいりました。またこの2年かを振り返りますと、前回選挙の後には通商産業政務次官となって政府の立場から、また、政務次官退任後は衆議院の経済産業委員会筆頭理事や環境委員会理事、党の経済産業部会長やe-Japan重点計画特命委員会事務局長等20以上の政策プロジェクトのメンバーや責任者として、与党の立場から、経済構造改革の推進とIT政策、環境政策、経済産業政策の立案及び実行など、公約の実現に取り組んでまいりました。この2年間の活動実績をまとめ、皆様のご批判や評価の材料として頂きたく、本報告書を作成しました。

前回の選挙の際、私は引き続き皆様に対して5つの決断をお約束しました。その内容は、「政府の仕事の徹底した見直し(行財政改革)」「行政機能の透明化(透明な社会の実現)」「活力と持続性のある経済社会の実現(経済構造改革)」「地域から国を作り直す(地域主導の確立)」「命ある全てを大切にし、潤いある福祉社会の構築」でした。これらは、概して、市民が今の行政のあり方や税金の使い道をチェックし、自らの判断をもとに「投票」を通じて望ましい社会の方向性を決めていくという、市民本位の政治を実現するための前提条件と言えるもので、これからの日本の基軸となるべき政策と考えています。

現在、それぞれの取り組みが形となり、様々な改革が進行しています。中には既に法制化されたり、方向性が決まったりしたものもあります。しかし、まだ全ては達成できておらず、満足できるものではありません。これからも私は、実現をしっかり見据え、公約の達成と理想の実現に向け、任期の限りあらゆる努力をしていく事をあらためてお誓い申し上げます。選挙区割りの見直しにより新たに三鷹市が加わり、調布、狛江、稲城によって新東京22区が構成される事になりました。有権者の皆様のご期待に添えますよう、決意も新たに全力で活動してまいりますので、今後ともご指導のほど心からお願い申し上げます。


伊藤達也 公約成績表


公約の達成度については、日頃からご指導いただいている慶應義塾大学経済学部の島田晴雄教授に評価していただきました。そして、改革をさらに推進するため、今後の課題や取り組みについても明らかにしました。皆様にご評価頂き、ご指導頂ければ幸いです。

決断1:「政府の仕事の徹底した見直し(行財政改革)」
決断2:「行政機能の透明化(透明な社会の実現)」 

1.非効率な予算編成の打破 
達成 
予算編成のあり方について、e-Japan事務局長として、10億円以上のすべての電子政府関連プロジェクトの分析を通じてIT関連予算の縦割り査定の問題に切り込むとともに、政治主導による横断的な査定に基づく、ムダのない、望ましい予算編成の必要性を訴えてきました。こうした取組みにより、税金が効率的に使われるような歳出構造の改革に向けて、政策効果を問いながら、予算、財政、政策評価制度をリンクさせる新しいモデルをIT関連予算で提示しました。

課題 
破綻の危機にある国家財政を立て直し、国民の将来不安をするために、新たな歳出コントロールの枠組みを導入するべく全力を挙げます。

A
2.行政手続のオンライン化法案の策定 
達成 
2000年には通産政務次官として、行政サイドから「IT基本法」の作成・成立にかかわり、その後は、e-Japan事務局長として、将来にわたって原則すべての行政手続を2003年春までに電子化する新しい法案(通則法)作成を具現化しました。これにより、51,000件にのぼる申請、手続きをいつでもインターネットを通じて手続きする事ができます。こうした一連の政策を通じて、行政の効率化、コスト削減、住民の利便性向上を実現する、小さいながらも能力の高い政府をつくること目指しています。

課題
オンライン化法案の国会での早期成立を目指すとともに、電子政府の本質は行政との理念のもと、政府の手続きの徹底的な簡素・合理化を図るとともに基幹業務の改革を行い、行政の効率化を実現します。

A
3.石油公団廃止関連2法の成立と特殊法人改革
達成 
特殊法人改革の先陣を切って、経済産業部会長として「石油公団廃止関連2法」の成立につとめ、唐行政改革推進本部の幹事としては、道路公団をはじめとする特殊法人改革、公務員制度改革、公益法人改革に取り組んでいるところです。また、2で述べた「行政手続きのオンライン化法」は、手続きかかる手数料収入等に依存する特殊法人・公益法人の改革に不可欠なものです。

課題 
特殊法人等整理合理化計画を着実に具体化し、不透明な金の流れを断ち切り、より簡素・効率的・透明な政府の実現を目指します。

A
4.官製談合の問題への取り組み
達成 

公共入札の談合は税金のムダ使いです。こうした談合に公務員が関与するケースをすくなくするため、「官製談合防止法」を議員立法で成立させました。これは、今国会で改正された「あっせん利得処罰法」とともに、政治や行政とおカネの関係をきれいにするものであり、かつ政府による資材調達の過程を透明にするものです。

課題 
情報公開を更に推し進めるとともに、各役所が外部の知見を企画・立案に積極的に取り入れ、スピーディーで質の高い政策形成ができる体質に整備します。

A
A



決断3:「活力の持続性のある経済社会の実現(経済構造改革)」 

5.不良債権処理での提言
達成 

不良債権処理の遅れが景気回復の足かせとなっています。そこで、不良債権の正常化を促すと同時に、そのために理不尽な取扱いを受ける中小企業への資金提供の円滑化、さらに雇用のセーフティ・ネットの充実など、構造改革のコストを出来る限り抑えながら、できるだけ早く経済再生が図られる施策の提言・普及を活発に行ってきました。

課題 
今日まで先送りにされてきた金融問題の大手術に取り組むとともに、不良債権問題の正常化と過剰債務を抱える企業の再生を果たします。

C+
6.戦略的な規制改革の推進と構造改革特区の実現
達成 

戦略的な規制改革による公正競争推進のため、通産政務次官時にはADSLの規制改革に取り組み、質、料金とも世界一のADSL市場を構築し、その後、e-japan特命委員会では、国等が持つ未使用の光ファイバー(ダークファイバー)を開放して市場を作り上げ、新築・既設の集合住宅の情報化標準を策定して、光ファイバー等を引きやすくしました。

課題 
国際競争力と地域経済の潜在力を引き出すため、今まで提案してきた構造改革特区の具現化を目指します。さらにインターネット時代にふさわしい競争環境の整備を行うため、「新情報通信法」の制定に全力を尽くします。

A
7.研究開発投資の抜本的改革
達成 

研究開発自体が目的化しがちな基礎研究段階への研究開発投資の重点化を、最初から目標を明確にした上で、産官学が連携し、基礎から実用化まで推進する「ターゲットドリブン型」研究開発に改革し、産業競争力を高める方策を提言し、その考えが半導体関連予算に導入されました。

課題 
今後さらに、IT、環境エネルギー、ナノ・テクノロジー、バイオなど集中的に取り組むことで経済波及効果の高い分野にこの投資を導入する事を目指します。

A
B+

決断4:「地域から国をつくり直す(地域主導の確立)」 

8.都市再生と行政のアウトソーシング
達成 

議会や首長が都市行政に関して専門知識や経験をもったシティマネージャーに行政実務の多くを委託する制度に学び、ITを活用した「地域まちづくり支援センター」を設立して住民の知恵を集め、活力溢れる、効率的な都市再生を行うことを提言しました。

課題 
公立施設の管理や公立学校給食など、政府や地方自治体の業務をアウトソーシングやPFI(民間資金による社会資本整備)の形で民間に業務委託することで、新たな産業を生み出し、雇用を創出し、地域経済の自立・活性化を図ることに尽力します。

B
B


決断5:「命ある全てを大切にし、潤いのある福祉社会の構築」 

9.チャレンジド(障害者)を納税者にできるIT立国を目指して
達成 

「チャレンジドを納税者にできるIT立国日本」をスローガンに、全国各地の在宅チャレンジドがITを活用して仕事をし、社会参画できるようにする活動をしている社会福祉法人・プロップステーションの竹中ナミ理事長に共感し、その積極的な福祉活動を応援しています。社会を支える強い福祉を目指し、情報バリアフリー施策を推進しました。

課題 
今後は、ITを駆使して多用な働き方を支援する機関の設置や、職業訓練校等の学習の質と受講方法の充実化等、チャレンジドが自立できる環境整備を図ります。

A
10.フロン回収・破壊法と自動車リサイクル法の成立
達成 

地球環境に悪影響をもたらすフロン類の回収・破壊システムを構築するため、議員立法でフロン回収・破壊法を成立させました。自動車メーカーと破壊の双方に責任を負う「拡大生産者責任」を規定した、国際的にも画期的な環境政策といえます。
また、自動車リサイクル法を成立させ、年間約500万台もの使用済み自動車のリサイクルシステムを構築しました。

課題 
2000年に成立させた循環型社会構築の基本法である環境型社会形成推進基本法に基づく、循環型社会形成推進基本計画の策定に向け、尽力しています。

A
A


今後の取り組み


決断1「政府の仕事の徹底した見直し(行財政改革)」
決断2「行政機能の透明化(透明な社会の実現)」 

今後の取り組み 

約693兆円(2002年度末見込み)にも上る巨額の財政赤字と高齢社会の倒来による社会保障費の増大をこのままにしていては、国民にさらなる負担を強いる結果となり、日本の活力を奪うことになりかねません。国家再生を果たすために政治の強いリーダーシップの下、財政のたれ流しを止め、行政のムダをなくし、それを国民にほぼ全て公開し、小さくても能力の高い政府を目指すべきです。
これまでその目標のもと、e-Japan特命委員会においてIT予算・政策や手続・業務等の無駄を省いてきました。今後はIT政策をさらに推し進めるとともに、これを予算・行政全体にまで広げ、さらには特殊法人等の改革につなげていきたいと考えています。
同時に、包括予算化や流用・繰り越しの容易化を図りつつ、政策効果の説明責任を厳しく問う制度や、新たな歳出コントロールの枠組みの導入、公会計制度改革などを行う「新財政構造改革法」の制定に尽力していきます。


決断3「活力と持続性ある経済社会の実現(経済構造改革)」 
今後の取り組み 

不良債権問題は小泉構造改革の最大の課題ですが、未だに日本の景気の足を引っ張り、解決が遅れています。これまで何度も積極的に提言してきましたが、古い体質の残る金融行政の問題先送り策に阻まれ、実現できませんでした。不良債権問題については、今後とも、政治がリーダーシップを発揮して正常化を目指します。
また、私が規制改革を絶えず訴えつづけてきたのは、これまでの官主導の護送船団行政に代表される規制行政では経済の活力を削ぐことになるので、規制を改革し、民間の活力を引き出し、国民一人一人が自己実現できるような経済社会を築きたいとの思いからでした。その具体的成果として、今回、ADSLの普及や未利用光サイバー市場の形成等の実現ができましたが、今後とも戦略的に経済効果が高い分野での規制改革を進めるとともに、税制の改革によって今まで蓄積されてきたストック(資産)を投資や、消費につなげ、国際競争力の高い、民需主導の経済社会を創っていきたいと考えています。また、IT分野がその象徴的分野となるように、事業者間の公正競争の確保と競争政策上必要のない規制の原則撤廃を定めた「新情報通信法」の制定に取り組んでいきます。


決断4「地域から国をつくり直す(地域主権の確立)」 
今後の取り組み 

これまで「中央主権・官主導」体制のもと、地方に様々な規制や補助が行われ、一方、地方は政府の支援をあてにして自ら活動することが消極的になり、活力と意欲を減退させていました。この現状を打破し、多彩で活力ある地域を作るためには、国の規制・関与を極力排し、「地域主権・民主導」のシステムに変えなければなりません。地域行政、企業とともに、市民が主体的に地域行政・経済・街づくりを考え、各主体が責任をもって協力しながら、進んで地域の括性化にたずさわれるような仕組み作りが重要で、その障害となる現在の交付金や補助金制度などを変えていきたいと考えています。
その一環として、行政のアウトソーシングを提言しています。地域主権の確立には、地域経済の自立が必要です。民業を圧迫している事業を、アウトソーシングやPFIの形で民間に業務委託することで、新たな市場を創造し、地域経済の成長力を高めます。


決断5「命ある全てを大切にし、潤いある福祉社会の構築」 
今後の取り組み 

勤労意欲のある障害者や高齢者を支援し、社会参加や自立をできるようにすることで、全ての人が自己実現できる豊かな共生社会を築きたいと考えています。今後は、ITによって、障害者の方が社会参画しやすい環境に整備したり、子ども達の知的好奇心を刺激していけるような施策を推進していきたいと思います。
また、従来の大量生産・大量消費・大量廃棄型の社会から脱却し、循環型社会の構築を図る事は、国内に少ない資源しか有してない我が国にとって、極めて重要な課題です。一方、廃棄物の最終処分場の逼迫、資源の枯渇への懸念の増大、地球環境問題などの課題は、むしろ、新たな経済成長の要因として前向きに捉え、環境と経済が両立した新たな経済システムを構築する事が重要だと考えます。日本が真の循環型社会になるためには、社会全体のシステムの見直しが今後も必要です。廃棄物・リサイクル法制の更なる改革に加え、「産業の環境化」、「環境の産業化」、「グリーン物品の市場の拡大」等に、引き続き、強力に取り組むべきというのが私の考えです。


ご意見、お問い合わせは伊藤達也事務所までお気軽にお尋ねください。また、もっと伊藤達也を知りたい!という方は、議事録などもありますのでご連絡ください。

電子メール…tatsuya@tatsuyaito.com