活動報告

公務員制度改革の要諦

公務員制度改革の議論が山場を迎えている。安倍総理は「押しつけ的なあっせんを根絶」し、「機能する新・人材バンクへ一元化」するよう指示している。これを、早急に具体化する作業を詰めていかなければならない。

しかしながら、公務員制度改革が、新・人材バンク創設で手仕舞いとなってはならない。まだ、残された重要な論点がある。3点指摘したい。

まず1つめは、天下り規制と表裏一体の関係にある、年功序列慣行の徹底排除である。年次や入省時の試験区分にとらわれずに、能力や業績をきちんと評価して、それに基づいて、昇格・昇級はもちろん、場合によっては降格・減給も行えるようにすることを、法文上明確にすることが肝要だ。実は、現行の国家公務員法にも、勤務実績に応じて任用、給与の支給を行うべきと明記されている。たとえば、国家公務員法第33条は、「すべて職員の任用は、(中略)その者の受験成績、勤務成績又はその他の能力の実証に基いて、これを行う」とある。こうした規定があるにもかかわらず、従来の慣行にとらわれたり、組合の反対によって、能力・実績評価によらない年功序列的な人事管理が行われてきているのが実態だ。

したがって、年功序列的な人事管理を排除するという政府与党の方針を、国会審議の過程で明らかにすると同時に、国家公務員法に、主語を入れて一層明確に規定することを検討する必要があるだろう。たとえば、「内閣総理大臣及び関係庁の長は、職員の在職期間、年齢、採用試験の種類にかかわらず、職員がその職務を遂行する上で発揮した能力及び業績についての評価に基づいた適切な人事管理を行わなければならない」といった趣旨の条文ではどうだろうか。

2つ目は、地方公務員制度改革である。国家公務員が先行しているが、国家公務員は約95万人であるのに対し、地方公務員は約304万人と対象人数も多く、その制度改革に切り込んでいかなければならない。まずは、地方公務員の天下り、給与水準、年功序列慣行などの早急な実態解明が必要だ。実態を早急に明らかにし、国家公務員と同様の天下り規制、人事評価制度の導入の必要性とその方針を明確にすべきだ。

地方公務員人件費は、その地域の民間の給与に比べて、2割程度高くなっている地域も多い。地方の行財政改革に切り込まずして、到底、増税を国民にお願いすることはできない。給与調査対象企業の選定方法、財政状況も考慮に入れた給与勧告が可能となるような人事委員会のあり方も検討されるべきである。

3つ目は、官民交流制度だ。その制約を撤廃し、交流を抜本的に拡大していくことが望ましい。民間の専門的知見の活用を阻害するような、民間人受け入れポスト規制がある。これは見直していくべきだろう。たとえば、所管企業の民間人の課長以上のポストへの受け入れは禁止されている。役員交流の禁止、交流期間の制約(原則3年、最長5年)の撤廃などにより、幹部公務員と民間人との交流促進策は、検討されていいと思う。

21世紀型行政を支える公務員制度を、国と地方双方において、しっかりと構築していかなければならない。