伊藤達也がメディアに登場しました!

J-WAVE『Jam the World』

9月13日に、FMラジオ局・J-WAVE(81.3)で午後20:00からオンエアーされている

「JAM THE WORLD」

に生出演しました。

月~金の曜日に各割り当てられたナビゲーターがおり、そして彼ら独自の視点から事件・事故を報道するニュース番組です。

今回私は、月曜日担当である、角谷浩一さんの回に約30分程ゲストとして出演させていただき、
「著作権を担保に製作資金を融資する制度」についてお話させていただきました。


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皆さんは「担保」になるものと聞いて何を想像しますか?一般的に「不動産」や「証券」といったお金に直接結びつくようなものがお馴染みですが、実は今、アニメや映画などの著作権を担保にしてお金を貸そう!という制度が注目を集めているんだそうです。つまり、アイディアを担保にお金を貸してくれる、という事なんですが、一体どういうものなのでしょうか?■「Jam the World」のHPより■

そこで今夜は小泉内閣きっての金融通、金融・経済財政政策担当副大臣の伊藤達也さんをスタジオにお招きしてお話を伺いました。

この制度は知的財産権有効活用支援事業制度というもので、著作権などの知的財産権をもっと有効活用して映画やアニメ、ゲームなどのコンテンツ産業の資金難を解決する事ができるようになる制度で、一般の人に対しては新しい投資をする対象ができ、コンテンツ産業などに投資をするという楽しみも生まれるそうです。また、コンテンツ産業にはとても大きな経済効果が見込まれていて、それもこの知的財産権政策に繋がったそうです。国家戦略としてコンテンツ産業を応援していこうというものでもあるそうです。

■やり取りの模様■

※ナビゲーター角谷氏を(ナ)、伊藤を(伊)と省略

(ナ)一般にお金を借りる際に必要な、いわゆる「担保」というとどんなものを想像しますでしょうか?不動産や有価証券というものを思い浮かべるのではないでしょうか。
実は今、アニメや映画などの著作権を担保にお金を貸そうという制度が注目を集めています。
この制度は、知的財産権有効活用支援事業制度とって、著作権などの知的財産権をもっと有効活用しようという支援制度です。今までは映画やアニメを作る時に、どうやって資金を集めるか、多くの製作者の悩みの種であった。世界の黒沢も苦労していたようです。
ところがこの制度を利用すれば世界的に大ヒットした作品の著作権が担保になるので資金集めに苦労する必要がなくなるかもしれないんですね。
この制度を利用した第1号案件として先月(8月)29日に政策投資銀行が東京三菱とともに㈱ゴンゾが製作する新作アニメ作品に対し投資を決めました。この制度良いアイデアではないかと思うのですが。

(伊)もちろん日本の国内にいるたくさんのクリエイター、映画監督など、いろんなアイデアを持っている人たちが活躍する場が増えます。「お金を出しましょう」という人が増えるならば、これは良い制度であり可能性としてチャンスが増えることになります。

(中略)

(ナ)早速ですが、この知的財産権有効活用支援事業制度をどう思われますか?

(伊)産業界の資金需要がまだ低迷していると言う人がいますが、映画であるとか、マニメ、ゲームソフト、音楽といったコンテンツ産業は慢性的な資金不足の状態にあります。成長分野として注目されているコンテンツ産業を大きく育てていくためには、この問題の解決が大きな課題であります。実は今までこの分野においても新しい資金調達の取り組みというのはなされてきました。海外ではデビットボウイという有名なアーティストがいますが、彼は自分の曲300曲を、これを15年間のロイヤリティを元に債券化をするということで資金を調達しました。これをボウイボンドと言っていました。日本に目を向けると、プレステ2のゲームソフトで「ときめきメモリアル」というものがあったと思いますが、この事業化にあったてもゲームファンドというのが実は行われました。さらに新人グラビアアイドルを育てることでアイドルファンドというものもあります。このようにいろいろな形の資金調達がはじまってきて、そしてこの制度はそれを加速するひとつの取り組みだと思います。

(ナ)つまり映画だけではないということですね。

(伊)リスクがあることに対して挑戦しないという風土が世の中にあったと思います。一方で日本ではお金が余っているということを言われます。余っているお金と新しいことに挑戦しようというチャレンジの精神というものを、うまく結びつけていくと新しい物語が始まるんじゃないか。それを応援していこうということを考えているわけです。

(ナ)この制度によって具体的にどんな方たちにメリットがあるのでしょうか?

(伊)これは先ほどお話したように、映画を作る人、アニメや音楽に携わっている方々、こうした方々に大きなメリットがあると思います。その自分たちの作った著作権というもの、これを担保にして、事業に必要な費用というものを調達する仕組みが作れるんです。

(ナ)では逆に一般の消費者に対しては何かメリットがあるのでしょうか?

(伊)新しい投資をする対象が生まれます。自分が出したお金が映画になるとか、ゲームソフトになるとか、アニメになってきたら楽しいことになってきませんか。そういうチャンスが広がるということです。

(ナ)そういうものを作るのは映画会社の人たちだけではなく、私たちも参加できる可能性も広がるということなんですね。

(伊)自分たちが参加したからこの映画が成功したんだ。このゲームソフトができたんだ。というと夢が広がりますよね。そういうチャンスを広げていこうということなんです。

(ナ)例えば逆に、今野球の問題も揉めてますが、ライブドアみたいにお金が潤沢にあるところじゃなくて、お金はそんなでもないけど、野球の球団を持ちたいという人が出てきた時には、その基金を募りたいといったら、おれも出すよ、という人がいたら、もしかしたらできる可能性もありますか?

(伊)そういう可能性もありますね。多くの人に参加してもらえるような仕組みを作るというのがこの制度の目的にひとつです。

(ナ)そして中に出てくる言葉で難しいのが、「SPC方式」というがあるそうですが、それはどういうものなのでしょうか?

(伊)ちょっと言葉は難しいですが、「特定目的会社」のことを「SPC」と言います。2000年11月に法律で施行された「資産流動化法」という法律があります。これに基づいて資産の管理や運用といった特別な目的のために設立された会社のことを言います。この会社は税制上の優遇措置を受けられます。

(ナ)となると、今までは映画ではみんながお金を出し合う、いろんなスポンサーが付くことによって出来上がる。「○○映画製作委員会」とかというものがエンドロールに出ますね。そういうのではなく、もう少し法人格に近づけるようなもののことをいうのでしょうか?

(伊)「SPC方式」というのは、一つ一つの作品、それを製作するプロジェクトのために、ひとつの会社を作ろうというものです。

(ナ)出資した人は、ある人はゲームとして出資したよとか、キャラクターのライセンスだけに出資したよとか、DVDの版権だけに出資したよとか、そういう今までの出資の仕方ではなくて、みんなでひとつの会社にしてしまおうという、そこからどういうふうにうまく成功させて分配していくか、という仕組みが法人格化していくということなのでしょうか?

(伊)このことによって、作ることからプロモーションをしていくまで、すべてのことを一括して運用できる。そのことで大きな利益を得られる可能性が広がります。

(ナ)入口と出口が一本化されるから窓口もひとつになるということですね。

(伊)今まではバラバラだったので、そのことによってうまく行かなかったり、あるいは利益が得られるチャンスを逃していました。それを一括してやっていこうということです。

(ナ)それがこれまでの製作委員会システムでの問題点だったのですか?

(伊)製作委員会方式というのは、アニメや映画などの主に映像製作の資金調達に使われる仕組みです。しかし、その委員会の構成メンバーというのは、基本的に業界のプロに限定されていて、共同事業体といった性格が強い。例えば、映画の製作委員会では出版社、配給会社、ビデオ販売会社、テレビ局、広告会社といったコンテンツ業界の中でも比較的規模の大きい、映画の製作から販売、プロモーション、流通まで担っている企業が名を連ねることが多かった。

(ナ)縄張りが無くなったことによってひとつの形になっていくということなのでしょうか?

(伊)業界全体のパイを新しい方式によって広げていくことができる。今までですと非常に限られた中で、業界の中でしか資金調達することができなかった。そのことによって出資比率に応じて、言葉は荒いですが、収益を吸い上げていってしまう。物の作り手というのはどちらかというと単なる請け負になってしまってたと思うんです。

(ナ)この制度で今後、銀行が映画とか、アニメとか、音楽とかもそうですが、どんどんお金を出すようになっていくものなのでしょうか。

(伊)このことによってお金の出し手が増えていくと思います。そういう意味では資金調達の多様化、広がりというものがかなり出てくると思われます。

(ナ)僕たちもそれにひとつ噛みたいと、「君はDVD会社でもなければ出版社でもないないからダメだよ」とは言われなくなってくる。僕たちも参加できるし、そのパイが広がることによって映画自体の制作費が大きくなってくる。マーケットもどんどん大きくなってくる。そういう良い話しかないように思うのですが、それが今までどうしてできなかったのでしょうか?

(伊)やはりいろいろな形でお金を集めていく知恵というものがなかなか無かったと思うんです。もうひとつは、こうした業界というのは非常に閉鎖的で、中がどうなっているかよく分からなかった。その姿を開示をして、様子というものを広く広めていくことによっていろんな人が興味を持ち、そしていろんな人が参加して、自分たちでもこうしたことに挑戦しながら夢を追いたいという気持ちになってきたのではないでしょうか。

(ナ)日本のアニメ界、映画界にも大きな影響を与えそうということが分かってきましたが、この背景には日本政府が考える日本の経済の未来が大きく関係しているようです。一体どういうことなのでしょうか。ここで一曲聴いてから、また、お尋ねしたいと思います。

(一曲)

(ナ)さて、この制度を導入した背景には日本政府の大きな狙いがあったということなのですが、具体的どういうことなのでしょうか?

(伊)政策投資銀行がこの制度を導入しましたが、その背景は、世界的にこのコンテンツ産業の成長率というのは6%以上で成長していくと言われています。これは世界のGDPより高い水準で推移していくということになります。それだけではなく、この分野というのは他の産業と比べても非常に高い経済波及効果をもたらすと言われています。例えば「ポケモン」ですけれども、国内で1兆円近い経済効果があったと言われています。海外でもものすごい広がりですが、海外の波及効果を入れると2兆3千億とも言われています。それだけ大きな経済効果があるんです。それだけではなく文化への理解であるとか、あるいは国に対するイメージというものを良くしていくことにもつながっています。いま日本では韓国ドラマブームですね。このことによって韓国のイメージが上がっていく。あるいは韓国製品を買おうということで広がりが出てきています。

(ナ)ハングルを習うことも増えてますね。

(伊)日本の映画でも「ラブレター」という映画がありましたよね。これが韓国をはじめアジアで放映されたら、なんとロケ地である小樽、ここに来る人たちがこの2年間で3倍に膨れ上がったんです。

(ナ)冬ソナの観光ツアーも別に驚くことではなくて、日本にも来る方(人)がたくさんいるんですね。

(伊)このことによって自然に日本への理解も深まってくるんだと思います。

(ナ)しかし、日本は逆に言えばアニメは相当強い力を持っていると思うんですが、映画に関しては、とは言え、中国や韓国が作る映画のパワーの方がありそうですね。中国や韓国は国策として映画というものを世界に向け、自分の文化として見せていく。韓国の映画やドラマが日本で人気なのは、実はどうも仲良くなかったと思っていても、見てみると似たようなところがたくさんあるから、ドラマだって、すんなり、現代劇なんかは日本のドラマと近い感じで見られる。実は近いものもたくさんあると思うんです。日本の映画も世界に出て行って良いような気がするんですが、そういうことの支援は今回の知的財産権の問題などでは相当役に立つのでしょうか?

(伊)この制度が直接役に立つということではないと思いますが、国家戦略とし海外に日本の映画の魅力というものを広げていくために、国際的なイベントがありますね。そうしたものを積極的に応援していこうとか、日本でも東京の国際映画祭、これをもっとパワーアップしていこうとか、そういうことを一生懸命、国としても応援していこうと考えています。

(ナ)一方で、知的財産政策というのも進めてこられたのは分かりましたれども、確か継続審議となっている信託業法改正というのは、この秋10月の国会にもう一度出ると思いますが、この中身、どうやら80年振りということですが、中身を教えてください。

(伊)先ほどからご紹介があった政策投資銀行の制度だけではなくて、この知的財産権というものを信託できるように規制改革して行こうというのが、今回の法律改正の大きな目的です。

(ナ)僕たちは「信託業」という、銀行の信託銀行の意味があまり分からないので、分かりやすくお願いします。

(伊)実は「信託」という仕組みを使うと、先ほどのお話にも関連しますが、多様な形で資金調達をすることができるし、また、多くの人たちが信託会社から発行される債券を買って、そして参加をしていくという道も広がっていきます。それだけではなく、信託の分野というのは今まで金融機関だけだったのですが、それを今回の法律の改正によって事業会社も信託分野に参加できるようにしようというものです。さらに代理店の制度というものを設け、生命保険会社であるとか、私たちの身近な代理店でもこの信託の販売ができるようになります。そうするといろんな人たちが身近でこうしたコンテンツ産業の試みに参加できるようになる。窓口も増やしていこうということなんです。

(ナ)ちなみち日本のコンテンツビジネスというものは海外から見て高い位置にあるのでしょうか?

(伊)かなり高い位置にあると思います。私の地元の三鷹というところに「ジブリの森」というのがありますが、宮崎駿監督が「千と千尋の神隠し」でアカデミー賞をとりました。それだけではなくて、先ほどの「ポケモン」は世界中に広がっているし、「クレヨンしんちゃん」であるとか「ドラえもん」というのは世界的人気キャラクターですよね。そしてアニメの放送の分野では、約60%が実はMade in Japanなんです。非常に日本の地位というのは高いんです。しかし、なかなかビジネスにつなげてやっていこうという試みがちょっと弱かった。そこをしっかりやって行かなきゃいけないと思います。

(ナ)アニメは世界に冠たる文化になっているかもしれません。今までは、マニメが伸びてきた理由は映画の規模ではなかなか資金調達ができなかったから、アニメという世界でまとめてきたのかしれませんが、これからはそれがもっと広がって、実写の映画の世界にまで広げられる力、こういう仕組みができてくるかもしれませんね。

(伊)これからはゲームであるとか、出版であるとか幅広い分野で同じようなことが起きてくるのではないでしょうか。

(ナ)時代とともに日本経済をリードしていく産業というのは変わってきているようですが、今後、この知的財産分野というのはリードしていくのでしょうか?

(伊)今まで自動車をはじめとした物作りが大きな重要な位置を占めてきていました。このことは変わらないと思いますが、新たなリーディングインダストリーとしてそのコンテンツ産業は極めて高い潜在力を持っている。その力を発揮することによって日本の国際競争力を強化して行く、そうしたことにつながるんだと思います。非常に大切な分野だと思っています。

(ナ)なかなか知的財産政策とか、信託業法改正とか僕たちには遠い話に見えましたけれも、どうやら大分近いという話であったということが分かってきました。これが分かるまでに随分時間がかかったんですが、ということは、これは通商産業省や金融庁がいろんなこういうプランを出しているが、なかなか僕たちの耳にまでは到達しない。ということは、もう少し宣伝した方が良いのではないでしょうか。

(伊)そうですね、しっかりと宣伝をして行かなければいけないと思いますし、やはり私たちの身近なところでそうした動きがあるんだ、こうしたものに参加したよ、という成功事例をたくさんつくることが大切なことだと思います。

(ナ)これはちょっと期待できることかもしれませんね。

(以上)