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■2011/10/01 『中間層に過度な負担を強いる野田「増税」。』2011年10月号

■中間層に過度な負担を強いる野田「増税」。
野田佳彦首相は「政治を正さなければ日本は良くならない」との志を共有する松下政経塾の4年先輩です。衆議院議員の当選は同期であり、所属政党は異なっても、国政の改革にあたっては常に連携してきました。それだけに、野田新首相がこの国難を打開することを心から期待しています。
しかし、就任1カ月余の政権運営には疑問を抱かざるをえません。(本文へ)■復興景気を腰折れさせた橋本増税の教訓に学べ。
■活動報告

■中間層に過度な負担を強いる野田「増税」。野田佳彦首相は「政治を正さなければ日本は良くならない」との志を共有する松下政経塾の4年先輩です。衆議院議員の当選は同期であり、所属政党は異なっても、国政の改革にあたっては常に連携してきました。それだけに、野田新首相がこの国難を打開することを心から期待しています。
しかし、就任1カ月余の政権運営には疑問を抱かざるをえません。9月27日、政府民主党は東日本大震災からの復興費用を賄う10年間の臨時増税などを決定しました。
私は、この増税策には反対です。所得税と住民税を増税するということは、働く世帯の負担増に直結します。野田首相は「中間層の厚みを増す」と語りましたが、これでは真逆です。取りやすいところから取るという官僚的発想で、理念と手段がねじれています。
また、復興景気の腰を折り、長期不況のきっかけとなった橋本増税の教訓に学ばねばなりません。財政健全化はもちろん必要です。ただ、現状は復興への道筋もいまだ不透明で、産業空洞化も加速し、ヨーロッパ発の金融危機が懸念されています。このような状況で10兆円近い増税をすれば、デフレは加速し、不況はさらに深刻になるでしょう。結局、財政も悪化することになるのです。
財政赤字がこれほど積み上がっている理由は、社会保障関連の歳出の急拡大と長引く税収の低迷によるものです。したがって、今なすべきは、持続可能な社会保障制度の再設計と、経済を成長させる政策への集中的な取り組みです。震災後は復興特需で景気は良くなります。迅速に予算を組んで執行することが肝要です。同時に、超円高を是正するために日本銀行と緊密に連携をとらねばなりません。財政再建については、行政改革を徹底し歳出構造を変えることです。
政経塾時代、「増税は、知恵なき政治の末路である」「できるだけ少ない税金で、どれだけ質の高い行政を実現できるかに衆知を集めるのが政治だ」と松下幸之助さんから教えられました。安易な増税に逃げる前に、やらなければならないことはたくさんあるのです。
東日本の復興を日本の再生につなげる。経済と財政を好転させる。そうした政治を実現するため、ふたたび国政に参画できるよう全力を尽くしてまいります。ご指導ご鞭撻を賜りますようお願い申し上げます。

 

 

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