17日、自民党「デジタル社会推進本部」では、第一次提言を取りまとめました。明日には平井大臣へ申し入れを行います。
行政システムのバラバラを正し、高コスト体制を是正して、国民のためのデジタル庁を創設しなければなりません。私はこの視点に立って、これまでデジタル本部で発言を重ねてきました。
以下は、こうした私の考え方をまとめたもので、甘利座長や官邸にも提言させていただいたものです。
新しく創設するデジタル庁においては、優秀な民間人材の登用とともに、霞ヶ関の人材を柔軟に活用することが極めて重要です。霞ヶ関の縦割りをデジタル庁に持ち込んではならないという点も、本日強く指摘しました。
デジタル庁成功のための5つのポイント PDF版はこちら→20201117203706
- デジタル・ガバメントの課題
国・自治体・公共のITシステムのバラバラによる給付の遅れと国民の不満。世界各国で、コロナ対応においてデジタルは対策の成功の必須要件(台湾等の成功)。
日本の国・自治体のIT調達額は年間約1兆円と世界的高コスト構造(韓国は、政府内に優秀なエンジニア集団を雇用して国・地方のデジタル基盤を統一し、年間の必要額を日本の10分の1に)。
変えるべきは、20年間の電子政府の取組でも改革できなかった行政システムのバラバラと高コスト体質の背景にある構造問題。
⑴煩雑な手続きや給付の遅れ、自治体職員の負担の原因である行政システムの5つのバラバラ
①業務手順・システムの設計が自治体ごとにバラバラ
②基礎データと手続きシステムが分断
③自治体間の基礎データがバラバラ
④基礎データが自治体と国でバラバラ
⑤マイナンバーで手続きデータを住民データと紐づけられない
⑵調達側にデジタル知識のない役人しかおらず、予算をにぎる役人が旧来型のITベンダーに丸投げしずぶずぶの関係になる相互依存関係
⑶情報システムの統一・共通・標準化の意味はそれぞれ違うにもかかわらず定義を明確化せず、現在も標準化の名のもとにバラバラのシステム調達を後押し
⑷省庁・自治体に対する司令塔機能の不在
⑸「地方自治」の下での1700市町村バラバラのシステム調達の温存と地方公共団体情報システム機構(J-LIS)の存在
- デジタル庁の役割
デジタル庁は上記の構造問題を打破・突破するものとすることが不可欠。そのため、デジタル庁は、以下の機能を持つ強い組織とするべき。
⑴内閣サイバーセキュリティセンター<NISC>、個人情報保護委員会<PPC>、J-LIS等との関係を整理し、必要な権限を確保。
⑵恒久的な組織とし、かつ復興庁のように各省よりも一段高い立場から国・自治体・公共のDXを推進する強い司令塔・予算配分・監督機能
⑶全国民と行政をデジタルでつなぐためのマイナンバー等の一元的整備
⑷デジタル教育・オンライン医療等の当たり前の国民サービスの推進
- デジタル庁成功の5つのポイント
こうした機能を果たし日本社会全体のDXを加速化するためには、デジタル庁の設計において以下の5つが必須。
⑴強力な司令塔としての権限の明確化
・個人情報保護とサイバーセキュリティに関する影響力の確保
・予算を一元化し、不要なシステム廃止・重要なシステムへの重点投資
・マイナンバーの失敗を糧にJ-LIS含めた解体的見直し・国への一元化
⑵ITシステムと規制改革を一体的に推進する権限の確保
ITの付加価値は規制改革を同時実現してこそ生まれるもの。第1ステージが行政システムのバラバラと高コスト体質の見直しとするならば、デジタル改革の第2ステージは、デジタル改革による新たな富の創出につながる構造改革。経済諮問会議、規制改革会議等関係会議と連携して推進できる能力の確保
⑶組織トップのみならず主要な局長に民間IT人材を抜擢
トップ1名ではお飾りに。改革には仲間がボードメンバーに不可欠。海外のデジタル庁組織は幹部に民間人材を多数抜擢(英、米、豪州、シンガポール等)
⑷意思決定ラインの中枢(課長/企画官クラス)にも民間プロ人材を
官尊民卑思想の下で、これまでIT人材は非常勤での雇用のみ。ラインに入れず。
⑸霞が関の人事制度改革の断行(デジタル庁への出向を幹部登用の必須要件に、各省や自治体若手の公募・ドラフト制度などデジタルネイティブの若者・女性等の抜擢)
今こそ霞が関文化(法律重視・技術・デジタル軽視)を変えるべき。