活動報告

予算委員会(後半)

2月7日 衆議院予算委員会(後半)での質疑概要と資料

(3)成長戦略

内閣府の試算では、2011年度の成長率予測(名目)が0.6%も下振れをしたが、それを取り戻す気概を持たなければならない。その材料が5000頁にわたる「技術戦略マップ」にある。イノベーションを通じて何十兆もの市場を生み出す可能性が見えてくる。もっと積極的に活用すべき。

これからの産業は「バリューチェーン」としてつながっており、縦割りを越えて産業構造を見据える視点を持つべきではないか。

福田総理:新しい産業を興すという気持ちで取り組む。たとえば、地域連携拠点を設けITを徹底的な活用も考えている。連携により新しい価値を生むことを応援していきたい。

マップを広く国民の方々に読み解いていただく工夫を。

(4)歳出改革

歳出改革は、単なる数字あわせのために行っているのではなく、行政の無駄を正し、非効率な制度改革をし、成熟社会を担う、生産性が高く信頼できる21世紀型の行財政システムをつくることが本来の姿。06年当時は、2011年度のPB黒字化のために約16.5兆円必要と見込み、その70~90%を歳出改革で賄うというシナリオを策定した。
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小泉政権で財政の健全化は着実に進んだ。それは歳出改革の努力と経済が安定してきたことによる。あともう少しで黒字化できる。ここで歳出改革と成長戦略のたずなを緩めてはならない。

そこで歳出構造をみると、最大の支出項目である社会保障費30兆円と同じだけ国と地方の公務員人件費がかかっている。私はここに歳出改革の課題がまだあると思っている。

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官民格差は明らか。一生懸命働く公務員の方にしっかりした給与を保証することは大切だが、一方でこの格差はあまりだ。ここに改革のメスを入れなくてはならない。多少公務員の方々に我慢していただいて、民間の方の給与を上げていくことに、税金の使い方を変えるように決断すべきだ。すべての地方を一律で議論できないが、地方分権が進む中、地方における行政改革がどうあるべきか、総務大臣のお考えは。

増田大臣:こうした格差は、地方自治に対する国民の期待を損なうことにつながると危惧。国民の間に厳しい批判があることを十分認識すべきと承知している。昨年7月に総務省では技能労務職員の給与と民間との比較調査の結果について公表した。やはり同様の結果だった。これを材料に首長や議会で議論いただきたい。また、官民給与格差の見直しに向けた基本的な考え方と具体的な取り組み方針を今年中に作成し公表するよう、各自治体に要請している。そうした状況が明らかになることで、地域の住民の方々から変えようという力につながっていくことを促していきたい。公務員の定員削減の計画をつくり、真摯に取り組んでいく。

公務員の給与が労使の慣れ合いの中で民間では考えられないようなことがもしあるとするならば、それは正していかなければならない。地域が厳しい厳しいと言いながら、地域の最大の地場産業が県庁や市役所であったなら、笑い話にもならない。民間に雇用を作り出していく、そのために予算をつかうという方向に改革を進めなければならない。

(5)資産・負債改革

約700兆という巨大なバランスシートをスリム化するために、当時の財政改革研究会の具体的な提案を政府は受け止め、10年以内に国の資産を約140兆円規模で圧縮することを決定した。

その後、バランスシート改革について「埋蔵金」という文学的な表現がなされ、その取組について今まで以上に注目が集まっているところ。重要なのは、埋蔵金のあるなしではなく、埋蔵金を毎年産み出すような仕組みを作る行政システムそのものの改革にある。

今、政府の下に集められている巨額な資金や資産をいかに国民のために効率的に運用し、その果実を国民に還元するか、そのことに十分な能力があるものが責任を持って透明性を確保し、実行していく体制整備が必要だ。
そのためにはまず、前提として公会計制度を抜本的に見通し、資金の効率的な運用やリスク管理がしっかり行われているかどうか、これまで以上に十分な説明責任を果たすことが求められているところ。財務大臣の見解は。

額賀大臣:資産債務両建ての縮減し金利変動のリスクを低減し、簡素で効率的な政府を目指す。

経済財政諮問会議の重要な役割は改革の継続をねばり強く訴えていくことにあると思う。大田大臣には、成長戦略大綱、歳出改革、バランスシート改革のローリングにしっかり取り組み、改革の加速をお願いする。

(6)金融政策

私も3年間金融行政を担当し、福井総裁と一緒に仕事をし不良債権の正常化に努めてきた。非常に困難な局面にあるなかで、大変難しいかじとりをされてきた実績を高く評価している。足元のリスクをしっかり固めていくことが重要と思う。今後の日銀の金融政策を行う上で特に重視すべき点について、総裁の5年間の総括を含め、見解をお伺いしたい。

福井総裁:足元の景気の減速の短期的なリスクに注意深くなければならない。G7でも国際的な認識をきちんと揃えなければならない。原油高についてもきちんと見て金融政策に反映させる。長期的な観点で言えば、景気の振幅をできるだけ抑えながら、政府民間の努力で潜在的な成長力をできるだけ実際の成長にしていくことに必要な金融環境を整えること。

G7では国際協調に立って、世界経済、金融安定につながるメッセージを出していただきたい。世界第一の経済大国米国が減速している今、世界第二の日本が世界経済安定化のために断固たる決意で臨んでいくという決意を力強く出していただきたい。

(7)社会保障国民会議

国民の最大の関心事は、医療、年金、介護などの社会保障制度だ。総理が国民会議を立ち上げたのは、まさにこうした声に応え、生活に密着した現実感のある改革路線を提示されたと思う。

労働市場や家族のあり方など新しい動きを把握し、制度の新たな担い手の声を反映するように努める必要もあると思います。また、この会議の主人公は国民自身であることを明確にすべく国民会議と総理が名付けられたのだと思いますので、国民がそれぞれの働き方や世代ごとに社会保障のあり方を実感でき、またいくつかの選択肢をつくることも、会議の大切な目的であり、広く国民との対話に心を砕くべきとも思います。

以上のことを考えると、今までの審議会などとは全く異なる発想で、会議が運営されることが期待される。そこで、総理がどのような基本的な考えでこの国民会議をリードされるのか、少子化対策も含め今後の課題や運営についても総理の考えをお伺いしたい。

福田総理:日本の社会構造が大転換する中、将来の安心のために、社会保障のあるべき姿、政府や個人、企業が担うべき役割、制度を維持するための負担の在り方について、国民の皆様に全体像がわかるように議論をしていただきたい。

年末、司馬遼太郎の代表作である「坂の上の雲」を読んだ。その中で描かれている明治の群像は、東洋の小国日本が近代国家をめざして邁進する気概ある日本人の姿だ。「日本人とは何か」「日本という国はどういう国なのか」司馬遼太郎が著作を通じて生涯向き合ったテーマといわれている。今まさにそのことが政治に問われていると思う。夢や理想にむかって邁進する日本人のあり方、日本の国のあり方につながる政権運営を総理にお願いして質問を終えたい。