活動報告

公約達成度を報告します。

前回総選挙での公約達成度を報告します。

改革を実現し、民間の力を信じた、活力ある国づくりへ

昨年9月の金融担当大臣就任から1年。志を政策に反映する格好の「場」を与えていただきました。大臣就任以前も2002年9月からは金融担当の内閣府副大臣、2003年10月には経済財政政策担当副大臣を兼務し、内閣の一員として「官から民へ」「国から地方へ」という方針に基づき、産業と金融の一体的再生、経済構造改革など積極的に推進してまいりました。

現在の日本は、目前に本格的な人口減少社会を控え、ここ1,2年の構造改革の成否によって、将来が大きく左右される大変重要な分岐点に立っています。日本の活力を維持しながら、個人や地域が力を発揮できる社会、また、官は真に官がすべきことだけを行い、その他の公的サービスについては「官から民へ」移管することによって、より効率的で質の高い公的サービスを提供し、一人一人の力が最大限活かされる「豊かな公・小さな官」を実現したいと考えています。

私は、皆様の負託を受けた者として、理想をひとつひとつ具体的な政策に変え、その実現に努めています。この重要な時期に、自らの理想と政治家としての使命を再認識し、これからも全力で行動していく決意です。この私の思いを、ぜひともご理解くださいますよう、お願い申し上げます。

達成された政策は一人の力でなしえたものではなく、自己評価ではありますが、前回選挙(2003年11月9日執行)での公約に基づき、この2年間の「伊藤達也の公約達成度報告書」を提出します。これは、93年の初当選以来、「具体的な公約を掲げ、常に改革への取り組みを報告すること」を自らの政治信条として、今日まで公約達成度の報告や国会会期ごとの活動報告をしてきた一環として行うものです。皆様のご批判、評価の材料としていただき、ご指導賜ることができれば幸いです。

伊藤達也 公約成績表

公約の達成度については、日頃からご指導いただいている明治学院大学法学部長の川上和久教授に評価していただきました。そして、改革をさらに推進するため、今後の課題や取り組みについても明らかにしました。皆様にご評価いただき、ご指導賜ることができれば幸いです。

決断1「小さくて効率的な政府の実現(行財政改革)」(評価:A-)

① 公務員改革:増税論議の前に、徹底した官のスリム化を(評価:A-)

[達成]公務員の定数の純減目標を今秋の基本指針に明記することを決定。

経済財政政策担当副大臣として「経済財政運営の基本方針2004(骨太の方針)」で道筋をつけた「政府部門の本格的な改革」を受け、「骨太2005」では「公務員の総人件費削減」が打ち出されました。年間27兆円にものぼる国・地方公務員の人件費総額の削減は、徹底した歳出改革を進める上で避けて通れない課題です。

[課題]
実効性のある公務員人件費の削減を実現するために、表面的な公務員数や給与水準を見直すばかりでなく、公的セクター全体の業務のあり方を見直してまいります。

② 予算制度改革:将来世代にツケを残さぬよう「聖域なき歳出改革」を推進(評価:A-)

[達成]歳出削減と予算のより効果的な執行のための新たな仕組みづくりの構築。

「歳出改革」を柱のひとつにした「骨太2004」を受け、05年度予算では、一般歳出を前年度以下に抑制し、公共投資はバブル期以前の規模に縮減しました。さらに、重複予算の排除を徹底する仕組みである「政策群」の導入や、予算執行の複数年度化等、同額予算でより高い政策効果を発揮できる「モデル事業」を導入しました。

[課題]
「モデル事業」を一般化し、Plan(計画)→Do(実行)→Check(評価)→Action(次の予算へ反映)の成果主義型予算のサイクルを完全に実施するよう努めます。

◇今後の取り組み◇

わが国は07年から人口減少社会に突入します。年金・医療・介護などを合わせた社会保障給付費の増大が見込まれており、このままでは働く世代に大きな負担がのしかかってきます。社会保障にかかる国民負担は、2004年度の78兆円から2025年度には155兆円となるという試算もあります。また、わが国の長期債務残高は、2005年度末で770兆円を超しており、先進国の中でもっとも高い水準になっています。政府の非効率をなくして経済を活性化させなければ、巨額な財政赤字に追われ、国民生活はさらに厳しいものになってしまうでしょう。政治の強いリーダーシップで公的部門のリストラを進め、小さくとも能力の高い政府を実現して、活力の維持と持続的発展を図らなくてはなりません。

郵政の民営化もそのための重要なステップのひとつです。

税金の無駄遣いを厳しく排除するとともに、限られた予算をより効率的に執行するため、政策評価をきちんと行い、その評価が次の予算査定に結びつく成果主義型予算を08年度予算で完全に実施できるよう努めます。

決断2「活力・持続性のある経済社会の実現(経済構造改革)」(評価:A)

③ 金融再生:不良債権問題の正常化(評価:A+)

[達成]主要行の不良債権比率は2002年度3月期の8.4%から、2004年度3月期には2.9%へ減少。

「金融再生プログラム」では、04年3月期に不良債権比率を4%台にすることを目指していましたが、この目標を大きく上回る成果を達成することができました。バブル崩壊以降日本経済の足かせとなってきた不良債権問題が正常化したことを、金融担当大臣として内外に宣言し、海外からも高い評価を受けているところです。

[課題]
新たな金融行政の指針として策定した「金融改革プログラム」を「工程表」に従って着実に実施し、「民」の活力を中心に、利用者満足度が高く、国際的にも高い評価が得られ、地域経済にも貢献できるような金融システムを実現してまいります。

④ 規制改革:「官から民へ」の流れを加速(評価:A)

[達成]1000項目以上の規制改革が実現。
官業の民間開放のため、「市場化テスト」のモデル事業を8分野で実施。

規制改革は金融再生と並ぶ構造改革の柱のひとつです。官と民が競争入札で公的サービスの担い手を決める「市場化テスト」の導入を「骨太2004」に盛り込みました。今春よりハローワークの運営や社会保険庁の電話相談など8つの分野でモデル事業がはじまっています。

[課題]
市場化テストを本格的に導入するため、「市場化テスト法案」(仮称)の今年度中の成立に向け尽力します。

◇今後の取り組み◇

不良債権問題が終結し、「バブル後」の長期低迷を脱しつつある現在、負の遺産を清算するための「守りの改革」から、新しい成長の姿をつくるための「攻めの改革」へと転じるときに来ています。

金融の面では、わが国の新しい成長を支える金融システムを構築すべく、「金融改革プログラム」など諸施策を着実に実施してまいります。

また、「攻めの改革」の基本的な考え方である「民でできることは民で」を徹底します。「官から民へ」の開放を包括的に進めることで、「小さな政府」を実現し、民間の持つ潜在的能力を十分に開花させるよう取り組んでまいります。さらなる規制改革・民間開放を進め、事業者間の競争促進によるサービスの提供費用の低下、事業経営のノウハウ導入による経営の効率化、また民間の創意工夫による利用者のニーズにあったサービス提供や多様な選択肢の創出などをはかります。

決断3「地域から国をつくり直す(地域主権の確立)」(評価:A-)

⑤ 地域再生:地域の自主的な取組みを国が後押し(評価:A-)

[達成]549件の構造改革特区を実現。374件の地域再生計画を認定。

経済産業部会長時代に構造改革特区を提言し、その後も内閣府副大臣として、地域の創意工夫を国が支援する仕組みづくりに尽力してまいりました。

[課題]
地域限定の規制改革の取組みとして行われていた構造改革特区のうち、46件が全国的な規制改革へ展開されることが決まりました。こうした動きを加速し、わが国全体の経済活性化に結び付けてまいります。

⑥ 地域金融:活力ある地域社会を支える金融の機能強化(評価:A-)

[達成]地域・中小企業金融の円滑化。

「貸し渋り」や「貸しはがし」が大きな社会問題となっていた02年9月に、金融担当の副大臣に就任しました。私は、主要行の不良債権問題の抜本的解決を目指すと同時に、地域や中小企業に対する金融が円滑に機能するよう「アクションプログラム」を策定しました。地域金融機関の経営改善支援により約4分の1が業況改善するとともに、不動産担保・保証に過度に依存しない融資も02年度の5463億円から04年度には2兆7737億円に増加しています。

[課題]
旧「アクションプラン」を承継する「地域密着型金融の機能強化の推進に関するアクションプログラム」を本年3月に策定しました。これに従い、地域の中小企業金融の一層の円滑化をはかります。

◇今後の取り組み◇

地域のことを一番よくご存知なのは、そこに暮らす方々です。市民、研究機関、企業、行政の協働により地域が真に活性化するよう、国の規制・関与を極力廃すると同時に、権限や財源の委譲を進めてまいります。まちづくりの先進地区と国際的にも評価の高い三鷹市の多様な取組みや、全国から注目を集める「介護のまちづくり地域システム構想」を打ち出した稲城市の取組みなどに国は学び、「国から地方へ」の流れをさらに加速してまいります。

また、活力ある地域社会をしっかりと支える金融機能が円滑に機能するよう、05~06年度の金融行政の指針である「金融改革プログラム」では、具体的な施策の三本柱のひとつに「地域経済への貢献」を掲げました。これに基づく新たな「アクションプログラム」の着実な実施をはかります。

決断4「命あるすべてを大切にし、潤いのある福祉社会の構築(環境・福祉)」(評価:B)

⑦ 少子化対策:安心して産み、育てることのできる環境整備(評価:B)

[達成]「子ども・子育て応援プラン」策定

総理を座長とする「少子化社会対策会議」の委員として、この4月から5年間で取り組む少子化対策「応援プラン」を昨年末に策定いたしました。「保育所枠12万人増」「育休取得率男性10%女性80%」などの数値目標を盛り込むとともに、企業や地域など社会全体で取り組む施策に重点を移しました。

[課題]
子どもが健康に育つ社会、子どもを安心して生み、子育ての喜びを実感できる社会の実現に向けて、今後も取り組んでまいります。

⑧ 環境にやさしい社会の構築:科学技術を活用した環境保護と経済発展の両立(評価:B)

[達成]世界に先駆けた低公害車、太陽光発電、燃料電池など環境技術の開発と普及。

低公害車は、3年で約15倍に急速に普及し、国内太陽光発電導入量と太陽電池生産量は世界一を誇るまでに成長、風力発電購入量も5年間で約20倍に増加しています。
衆議院経済産業委員会筆頭理事として成立を図った「自動車リサイクル法」は、本年1月に本格的に施行され、循環型社会の構築に向け一歩前進しています。
また、本年2月に発効した「京都議定書」を受け、「京都議定書目標達成計画」を閣議決定するとともに、温室効果ガスの1990年比6%削減を達成するため、まずは政府全体の冷房温度を28℃に設定し「クールビズ」にも取り組んでいます。

[課題]
わが国の優れた環境技術を活かし、世界各国の先頭に立って地球環境保護を進めてまいります。

◇今後の取り組み◇

超高齢社会の「安心の基盤」となりうる、持続可能な社会保障制度を構築しなくてはなりません。広く国民の皆様のご意見を伺いながら、税制と社会保障全体を一体的に見直し、年金、医療、介護など諸制度の抜本的な改革を進めます。

地球と日本の美しく安定した環境を守り、次の世代に引き継ぐとともに、豊かな夢のある社会生活を実現しなくてはなりません。私は、内閣総理大臣を本部長とする「地球温暖化対策推進本部」の本部員として、地球温暖化対策を総合的かつ計画的に推進するべく尽力するとともに、科学技術の力によって環境保護と経済発展を両立する循環型社会の構築をめざします。

決断5「政策で政治を変える(政治改革)」(評価:A)

⑧ 政治改革:マニフェストの精神を行政改革に活用(評価:A)

[達成]マニフェストを提示し、工程表を作成して目標達成という政治改革の手法を行政改革に導入。「金融再生プログラム」で実現。

私は初当選以来、政策目標を具体的に示すことで、改革実現への道筋を明らかにし、総論賛成、各論反対の政治を打ち破ってまいりました。こうした手法は政界でも徐々に広まり、前回総選挙では各政党が政策綱領を打ち出し選挙に臨みました。
金融担当の内閣府副大臣に就任した際に、このアプローチを行政運営に適用しました。「金融再生プログラム」で、具体的な政策を数値目標および達成時期とともに明記したほか、「工程表」を作成し、実現への詳細な道筋をつけ、目標を達成することができました。新たな「金融改革プログラム」も同様な手法で改革を進めています。

[課題]
今後も、具体的な目標を掲げて政策運営にあたり、その達成状況を皆様にご報告してまいります。