活動報告

e-Japan重点計画特命委員会 緊急申入書

これまでe-Japan重点計画特命委員会として10数回の議論を重ねた成果として中間取りまとめを行い、11月6日には竹中経済財政政策担当大臣(IT担当大臣)に、7日には小泉総理大臣にお会いし、下記のような緊急申し入れをしました。

緊急申入書の要点     
特命委員会の成果        

0013

緊 急 申 入 書
自由民主党e‐Japan重点計画特命委員会
平成十三年十一月六日

我が党は、e‐Japan重点計画を着実に実施するとともに、一層の充実を図る観点から、十数次にわたり、当委員会において、精力的な議論を行ったが、この申入れは、現下の経済状況に鑑み、IT革命によって我が国経済の建て直しを行うことを目的として、緊急にとりまとめたものである。
政府においては、この申入れ内容を確実に、かつ早急に実行に移すよう強く申し入れる。

1.IT関係予算

平成14年度のIT関係予算は、e‐Japan重点計画及びe‐Japan2002プログラムの内容を踏まえ、「5年以内に世界最先端のIT国家になる」との我が国の目標達成に資するものかどうかを厳正に査定し、決定すること。
特に全省庁が取り組む電子政府に係る予算並びに、関係省庁が複数にまたがる地域の情報化及び医療の情報化等に係る予算については、縦割りから生じる非効率や重複が排除されるよう、関係省庁は相互に連絡・調整を行うとともに、財務省は厳正に査定を行うこと。

2.電子政府

(1)総論

① 電子政府の本質は行政改革であるとの認識に立って、各省庁は手続の電子化に加え、規制や手続の廃止・見直し及び簡素化、添付事項の削減等を進めるとともに、アウトソーシング(業務の外部委託)やPFI(民間資金の活用による公共事業)などの手法を用いた業務の合理化を推進すること。特に、各省共通の基幹業務(会計、給与、旅費、人事、物品、共済など)については、その業務の標準化及び合理化を強力に進めること。

② 質の高い電子政府構築のためには大手のソフトウェア開発企業による安値受注を誘発している現行の情報システムに係る政府調達制度(中央政府・地方自治体)を早急に見直すこと。

③ 利用者である国民、企業が行う手続に係る手間や時間が大幅に削減され、複数の申請が1回の手続で済むなど、利用者の利便を高める観点からシステム開発など関係するプロジェクトの企画段階で、利用者のニーズを取り入れるための具体的な方策を講じること。

④ 各省庁が独立にバラバラにシステムを開発するという非効率を排除し、利用者の利便性を優先する観点から、
・関係用語の標準化及び使用方法の統一を図ること
・システム開発に当たっては、企画等の段階で専門性を有した機関を有効に活用してそれぞれに開発されるシステムの汎用性が十分確保されるよう努めること
・特段の事情がない限り、既に開発されたシステムを活用し、システムの統一化・標準化を図り、互換性及び相互運用性を確保すること
・先行官庁は、既に開発したシステムの内容を公開し、それを他の官庁が利用できるための環境整備を行うこと
を行うこと。
なお、以上は自治体の情報化及び特殊法人の情報化におけるシステム開発・運用にも適用すること。

⑤ 効率的かつ公正に電子政府を構築するため、電子政府予算によって締結された契約(自治体の情報化及び特殊法人の情報化に係るシステム開発・運用を含む)は、積算なども含めて全て公開すること。

⑥ 自治体の情報化への意欲を高めるために、先進的な自治体に対する支援の充実、早期に情報化に取り組む自治体に対する支援措置を講じること。

⑦ 以上のような電子政府実現に当たっての基本方針を実効たらしめるため、
・各省庁が行う業務の効率化及び電子化に対する内部の責任体制を明確にするため、具体的な対応を図り、
・各省庁の取組みを外部から監視するための具体的な組織を整備すること。

(2)各論

① 手続の電子化に関する法的措置については、

・世界最高の電子政府樹立という目標に対し、十分に応え得る法制であること
・国際的に見て、遜色無く、また十分に説明ができる法制であること
・手続は、原則として全て電子化できるという基本思想が明確にわかる法制であること
・電子化をしない手続が、電子化しないことを対外的に説明することが必要となる法制であること
・将来にわたって、手続の電子化作業が継続するような非効率な事態を招かないことを踏まえ個別に各法を改正し、それらを束ねる方式を採用せず、全手続を対象に電子化を可能とする通則法の方式を採用することとし、次期通常国会に必要な法案を提出すること。

②政府調達の電子化については、

・公共事業は当初計画を1年間前倒しして、本年より電子入札を実施し、平成15年度には完全実施を行うこと。
・物品の調達などは、当初計画(平成14年10月より一部実施予定)を前倒しすることができるかどうか引き続き検討し、平成15年度には、完全実施を行うこと。
・ソフト・システムは、安値落札などの問題を二度と起こさせないよう、総務省、財務省、経済産業省、公正取引委員会が中心となり全省庁ベースで、早急に総合評価落札方式の見直し及び中小企業の競争参加の拡大を含む現行調達制度(中央政府及び地方自治体)の見直しなど対応策を年内にまとめ、平成14年度から実施すること。

③ 港湾内関係手続については、当初計画を半年間前倒しして、複数の申請が1回の手続で可能となるシングルウィンドウ化を平成15年夏を目途に実施すること。

④ 国税及び地方税については、相互の連携を図り手続の効率化などを行うとともに、 その申告や徴収に関するシステムを前倒しして開発し、早急に普及させること。

⑤ ICカードについては、開発者側の事情により、利用者にバラバラのカードを持たせるのではなく、利用者の利便を最優先する観点から、利用者のニーズ及び選択に応じ、医療情報など公的サービスに加え、民間のサービスも、可能な限り搭載できるよう開発及びその普及を促進すること。その際、可能な限り、国際標準に準拠するとともに、更に、国際標準の形成に寄与すること。

3.光ファイバーの利用促進

(1) 道路・河川の施設管理用等の未利用光ファイバー(自治体が保有するものを含む)の情報公開及び利用促進について、国土交通省は関係府省と連携して技術上及び制度上の諸課題について、年内目途に整理し、年度内に結論を得ること。
(2) 電力会社や鉄道会社が保有する未利用光ファイバーについて、一層の情報公開及び利用促進を図ることとし、経済産業省及び国土交通省は、それを積極的に勧奨すること。
(3) 法務省は、集合住宅に光ファイバーを敷設する際、
・管理人室などに光端末装置を設置
・集合住宅内配線は既存の電話線等を利用
などの場合、管理組合の単純多数決(1/2以上)で敷設可能となるよう区分所有法の解釈を年内に提示するとともに、関係省庁は連携を図りつつ、新築集合住宅のIT化標準を年度内に策定すること。また、関係省庁は既存集合住宅に関するIT化標準の策定、改修のための合意形成マニュアル、技術指針の策定を行うこと。

4.経済効果ある規制緩和

別表に従い、規制を所管する省庁は、その緩和・見直しに向けた取り組みを行うこと。 別表に記載する規制の緩和・見直しに伴い、公正競争環境が阻害されず更には健全に発展するよう、独禁法の運用強化などを行うこと。

5.公共分野の情報化については、

(1) 医療機関の情報公開を進めるとともに、保険者機能の強化を図るため、平成14年度以内にレセプト(診療報酬明細書)の電子化を容認すること。併せて、レセプトの審査業務を早急に民間に開放すること。
(2) 診療行為の効率化及び標準化を図るため、関係省庁は連携をとりつつ、関連用語統一を含むカルテの標準化及び電子化を進めるとともに、遠隔医療の充実、大学病院と民間医療機関等との診療情報の流通を促進するための環境の整備を行うこと。
(3) 社会保険及び労働保険に係る事業主の届出を共通窓口である認証受付システムで行うなど社会保険庁の所管する一連の事務について、一層のIT化及び効率化を推進すること。
(4) 介護保険制度の導入に当たり、介護サービスの充実に加え、介護認定、介護報酬請求事務などのIT化を促進すること。