活動報告

改革の配当が家計にも

「経済教室」に掲載された竹中さんの論文に対するコメント第2弾の前に、17日の「配当所得、家計を潤す」という日本経済新聞の記事に対して、若干私の意見を述べてみたい。

「配当所得、家計を潤す 05年度51%増、賃金伸び悩み補う」
「家計への所得分配率 7年ぶり上昇」
「2005年度の国民所得のうち家計に回った所得の比率(分配率)が75.3%と前年度比で0.4ポイント上昇した。上昇は7年ぶり。賃金はほぼ横ばいだったものの、配当所得が51%増と急増したためで、家計が預貯金を株式に徐々に振り向けているのが背景。賃金が伸び悩む中、配当を含む財産所得が家計の所得を補っていることを示している」
「05年度の家計の財産所得は17兆2000億円と、前年度比で9.8%増えた。最大の押し上げ要因は株式投資に伴う配当所得。配当所得は7兆4000億円と前年度比51%も増え、内閣府の国民経済計算が現行形式となった96年度以降の最高となった。」
(日本経済新聞 1月17日)

これは、改革の配当が家計に及びつつあることの証左であり、企業業績の回復が家計へ波及してきたことを明確に示している。日本経済は持続的成長に伴い、法人税収は03年度から06年度にかけて7.3兆円増加しており、家計所得は03年から05年に14兆円増加している。

企業は内外での激烈な競争にさらされているため、賃上げには慎重であるようだが、競争に勝ち残れば、配当というかたちで家計に還元されることになる。法人税を中心とした税金や規制は、国際競争における競争条件の一つであり、日本が他国に遅れをとれば、日本企業は競争に敗北することになる。そうなれば、配当を家計に支払うこともできなくなろう。そうした観点から、税制改革、規制改革を進めていく必要がある。

同時に、「貯蓄から投資へ」の流れも確かなものにしていかなければならない。そうでなければ、配当を得られる家計が偏在し問題となろう。企業の業績を着実に家計に届けるという精神を貫いた証券税制を、しっかり構築していかなくてはならないと考えている。

参考資料:内閣府国民経済計算のポイント