活動報告

価格転嫁で中小企業の構造的賃上げを【経済対策】

総合経済対策を取りまとめる総理指示を受け、経済産業部会関係合同部会が開催されました。活発な設備投資、構造的な賃上げ、そして人への投資による経済の好循環を実現し、経済の熱量を感じられる「適温経済」への転換を実現しなければなりません。

いま日本は、30年間続いたデフレの後、物価は世界的な資源やエネルギー価格の高騰と円安を背景に上昇基調にありますが、コストプッシュ型の構造となっています。

賃金については、大企業では価格転嫁が進み賃上げの原資を確保できる環境となっていますが、中小企業では価格転嫁がなかなか進んでいません。下請け中小企業が、原材料費は100%を転嫁、エネルギー費は100%転嫁かつ燃料上昇分を自動的に転嫁できるような契約上の条項の創設が必要です。そして、中小企業がもっとも転嫁に苦しんでいるのは労務費です。最低賃金が4.3%も上昇する中、中小企業もしっかりと賃金を構造的に上げられるようにするためには、労務費については、たとえば、最低賃金の上昇率もしくは親会社の賃上げ率と同程度は認められるようにしていく社会的な合意が必須であり、政府としても何らかの工夫ができないかと考えています。

そして、人手不足も深刻です。コロナ禍より回復しつつある需要や旺盛なインバウンドといった需要を人手不足により取り逃すことのないようにしなければなりません。チャットGPTやRPS等の活用含め、省人化に向けた投資にも積極的に取り組む事業者を後押しできる政策が必要です。

中小企業調査会では、5月に中小企業の構造改革を進め、潜在成長率を引き上げ、持続的に賃金を上げていけるような政策を推進していくための提言を取りまとめ、政府に申し入れています。この具体化もしっかり進めていきたいと思います。